毎日、何十人もの子ども達にインフルエンザの予防接種をしています。
新型ワクチンは、ぜんそくを持つお子さんのみに接種していますが、当院はぜんそくの患者さんを大勢診ていますので、まだほんの一部の方にか接種できていません。また、季節性のワクチンが不足して、これまで打てなかった方が柏崎や妙高、糸魚川など市外からも受診して下さっています。ワクチン不足をこんなところからも実感できます。
新型は流行ってきていますし、季節性インフルエンザも早ければ12月下旬から流行してきます。どちらも接種を急がなければなりませんので、当院では「同時接種」を行っています。子どもには申し訳ないのですが、親御さんには「助かります」と評価を頂いております。
小児ぜんそくは、子どもの約7%くらいの割合でみられると言われています。
この数字、結構高いですよね。不思議なことに子どもでみられる熱性けいれんも約7%と言われています。
勤務医時代は、当直をしていると冬期は憂鬱でした。インフルエンザが流行すると、熱に伴いけいれんする子ども達が救急車で運ばれてくるからです。大きな街の大病院ならもっと多いのでしょうが、私の経験では3人くらい入院することもありました。
熱に伴いけいれんがみられれば、熱性けいれんだろうと思いますが、インフルエンザが原因の時はインフルエンザ脳症かもしれません。熱性けいれんの場合は、一般的にけいれんの時間が短く、けいれん後の意識の戻りもいいのです。中には、けいれんの長引く子もいます。けいれんが長引けば長引くほど、こちらの不安も増大してきます。
当院は、アレルギーのお子さんが多く、市内では知名度が低いので、インフルエンザで受診するアレルギーのないお子さんは少ないのです。ということは、インフルエンザの熱でけいれんが誘発される子どもの受診も少ないということになります。自宅でけいれんを起こすと、救急車を呼び、そのまま入院のできる病院に搬送されるケースが多いこともあるのでしょう。
開院して以来、駐車場に着いた時、隣の調剤薬局の待合室で、診察後帰ろうとした車の中でけいれんを起こし、医院の処置室に運び込まれたケースが何度かありました。
ほんの1~2分で既にけいれんが止まっていたこともありますし、速やかに点滴をしてけいれんを止める薬を注射して止めることもありました。そのまま院内で様子を見て、意識もしっかりと戻りヤレヤレと思うことがほとんどです。
先日、診療中に駐車場でけいれんを起こしたお子さんがスタッフにより処置室に運び込まれてきました。こうなると診療は完全ストップします。診察と予防接種の患者さんで待合室は混雑していましたが、それは仕方ありません。
けいれんを起こすと呼吸する筋肉も引きつってしまい、酸素の取り込みが悪くなることもあります。手早く診察し、体への酸素の取り込みを調べると、酸素不足が判明し、酸素投与を行います。点滴をして、けいれんを止める薬の注射も必要になります。私の経験からは、注射後まもなくけいれんが止まることがほとんどです。
しかし、その日はなかなかけいれんが止まってくれません。その時はけいれん止めの注射を追加するのですが、それでも止まりません。まだ小刻みなけいれんが持続しています。けいれんが止まれば、待合室はごった返していますので診察室に戻ることができるのですが、付きっきりになります。
20分経ってもけいれんは止まらず、「インフルエンザ脳症ではないか?」という考えが頭をよぎります。こうなると病院に紹介し、精査や入院管理が必要になります。病院の先生に経過を説明し、入院をお願いしました。紹介の準備をしている間に、けいれんは止まってくれました。意識も戻り、お母さんのことも分かるようになりました。結局、30分かかりました。
けいれんが30分以上持続するものを、けいれん重積といいますが、まさにこの状態に当たります。勤務医時代は、数人けいれん重積のお子さんの経験はありました。他の先生に外来診察を代わってもらえますので、付きっきりで対応できました。しかし、開業医は、医師が一人しかいません。こんなこともあるのです。待ち時間が更に長くなるのは致し方ないと思いますが、ご理解を頂きたいと思っています。
開業してから、こんな経験は初めてでしたが、肝を冷やしましたし、午後に出直して来て頂いた方もおりますので、午後が更に多忙だったことは言うまでもありません。
この患者さんはアレルギーがあり、当院かかりつけのお子さんでした。元気な状態をよく知っていましたので「何とかしたい」の一心でした。ちなみに、病院の先生の話によるとインフルエンザ脳症ではなく、熱性けいれんの長引いたものだろうということでした。
またこんなことが起こり得ますが、その都度適切に対処できるよう努力していきたいと思っています。


