12月3日の地元の新聞「上越タイムス」をみてビックリされた方も多いと思います。
上越市が大英断をしました。1歳から未就学(6歳)の健康な小児に対する「集団接種」にゴーサインを出したのです。報道によると、県内の自治体では初ということです。
県内には新型ワクチンの接種の希望者は極めて多いのに、現場ではワクチン不足の状況が続いています。国も県にも責任はあるのですが、子どもに罹患者が集中していることが分かるやいなや、健康小児に対し接種を前倒しなんて、言い方は悪いですがきれい事を言っています。小児科医としては正論で望むところですが、ワクチン不足のジレンマに陥っていました。
当院にはぜんそく患者さんが極めて多いため、私個人としては結構頑張って新型ワクチンを接種しているつもりです。診療時間のかなりの部分を割いて、ワクチンに力を入れています。しかし、まだまだ当院で診ている患者さんの一部にしか接種でいていないのが現実でした。
当院は、普通の小児科の医院とはかなり患者構成が異なるようで、ほとんどが通院患者さんです。つまりアレルギーを持っている常連さんと言っていいでしょう。まだぜんそく患者さんへの接種が終わらないし、ぜんそくを持たない、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの患者さんも抱えていますので、当院を頼って通院して下さっている患者さん、もしくは近隣の健康な小児への接種はなかなか手が回らない状況でした。親御さん達が最も知りたい「いつ接種できるのか」ということを聞かれても、見通しが立たず答えられないことの繰り返しでした。
そんな中、上越市が新型ワクチンの集団接種を行うというニュースが流れました。実は他の市でも集団接種を検討していたそうですが、話がまとまらずにポシャってしまったということは聞いていました。それだけではないのでしょうが、予防接種は自分の医院に多く集めれば、大きな収益を上げることができます。いろんな思惑の医師がいますから、安全性などの話も出たりして、集団接種の話はまとまるはずがないと思っていました。
それが、上越市の集団接種は「決定」ということなのです。市や医師会の上層部の英断には拍手したいと思っています。純粋に「上越市の子ども達を守りたい」という大人達の意見が市にそういう決定をさせた、ということになると思います。
方法としては、1歳から6歳(未就学ですから園児)までの子どもを日にちを指定して、市内の数カ所に集め、医師が新型ワクチンを接種するというものです。12月後半の日曜や祭日にも行い、働く親御さんにとっては嬉しいことに夕方の時間帯も設定するようです。
まだまだ詰めなければいけないことがあるでしょうが、実現すれば「何日に新型ワクチンを接種できる」ことが決定事項になる訳です。いつ接種できるのかヤキモキしていた親御さん達にとっては間違いなく朗報と言っていいでしょう。当院でもいずれは健康な小児に接種を行いたいと考えてはいました。子どもを思う親御さん達には“いずれは”という言葉は冷たく響いたことでしょう。熱い心を持った大人達が力を合わせて対応すれば、一気に小さな子ども達に接種を済ますことができるのです。
今は小児科医なら誰もがかなり疲弊していると思いますが、内科の先生方のバックアップを受けながら、この事業が速やかに進んでいくことを期待しています。接種を受けられずに困っている子ども達のことを考えれば、体を休めるべき休日も市の事業に喜んで協力をしたいと思っています。
予定の接種開始まで2週間しかありません。市からの広報に注目していて頂きたいと思っています。


