小児科 すこやかアレルギークリニック

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見破れなかった
2009年12月23日 更新

当院は29日(火)からお休みに入らせて頂きます。

今年の診療は、残り1週間を切ったことになります。その気持ちも分からなくもないですが、ぜんそくやアトピーが悪くなってから、「何とかしてくれー」とばかりに受診されるケースも結構とあります。

皆さん、平穏無事な年末年始を期待されているはずです。お子さんの咳や皮膚の状態を良くして欲しいと願っています。ここ最近の当院では、そういった気持ちを汲み取って、何とか症状を安定させるモードの医療に突入しています。つまり、ゴールを近くに設定して治療に取り組んでいるという意味です。と言っても、通常の治療とそんなに変わりはないのですが…。

そんなモードの診療の中で、関東から帰省されている患者さんが発熱4日目で当院を初診されました。実は前日、病院の救急外来でインフルエンザとRSウィルスを調べていたそうです。ともに陰性だったので担当の先生が「風邪などのウィルス感染症でしょうから、様子を見て」と説明されて帰されたそうです。

私の中では熱が3日以上続くと「風邪でない可能性が高い」と考え、血液検査をさせて頂いています。見たいのは白血球の数とCRPという炎症反応です。これらの値はばい菌が悪さをするとともに上昇し、風邪などのウィルス感染だと横ばいなので、発熱の原因がばい菌(細菌)かウィルスか判断するために行っています。

ばい菌が原因であれば抗生剤を使わせて頂くし、ウィルスなら抗生剤を使う理由がありません。先日も触れたかもしれませんが、市内の小児科で上越市で大流行しているRSウィルスが原因で熱が続いているお子さんに、血液検査をしてウィルスが原因であろうと分かっているにもかかわらず、何日も抗生剤の点滴に通わせている事例がありました。小児科医としては初歩的なミスです。

いつも言っている通り、判断が間違っているのに、点滴などかかった治療費を請求されてしまうのが日本の医療制度のおかしいところです。ちなみに医療機関を替えてしまったので、その医師は自分のミスに気づいておらず、また同じことを繰り返すと思います。“間違って儲かる”という仕事はそうそうないと思います。結局、正しいことをやりたいという良心がなければ、よい医療ができないのです。すぐ検査して、すぐ点滴する医療はおかしいと私は思います。上越の親御さんには小児科医の良心を見極める努力をして頂きたいと思っています。

話は元に戻りますが、発熱4日目のお子さんに検査をしてみたら、白血球数14000、炎症反応10以上とともに極めて高い値でビックリしました。正常値は前者は6000~8000、後者が0.3以下なのでその高さがお分かり頂けると思います。

前日に調べたインフルエンザもRSウィルスもともにウィルスなので、血液検査はこんな値は取りません。何らかのばい菌が悪さしていると思われました。咳も出ていると言うこと、肺炎が起きているのだろうと予想しました。聴診では肺の音は悪くなかったのですが、聴診だけでは判断できません。この検査結果ではすぐに入院加療が必要だと判断し、病院に電話して入院のお願いをしました。

夕方になり、この患者さんの兄弟が受診されました。状況を聞いてみると「アデノウィルス」が原因だったそうです。それを聞いて「しまった」と思いました。確かにアデノウィルスも考えなければならなかったのに、見破れなかった自分を恥ずかしく思いました。

実は、アデノウィルスは文字通りウィルスなのに、例外的に白血球や炎症反応が悪くなります。上越ではアデノウィルスは流行っていないので、私の頭からちょっと消えていました(涙)。でも関東の方なので、向こうの方では流行っていたのでしょう。

ひとつ言い訳をさせて頂くとすると、アデノウィルスの場合はのどに膿が付くのが典型的ですが、そんな所見はなく、通常咳も出ないと思います。発熱4日目、咳、炎症反応高値などから肺炎を疑ってしまいました。インフルエンザにA型とB型があるように、アデノウィルスにはいくつかの型があります。7型だと重症肺炎を来すと言われています。速やかに改善して、元気に退院して欲しいと思っています。

通常、細菌感染が重症化し、炎症反応が10もあれば入院が原則だと思います。年の瀬も迫り、炎症反応が10以上だったので、早く入院加療して平穏無事な年末年始を迎えて欲しいと思いました。紹介先でもレントゲンは撮るでしょうから、肺炎を確定するレントゲンは当院では撮りませんでした。私も若干慌ててしまったのかもしれません(汗)。

患者さんの退院時に、通常私の書いた紹介状の返事が郵送されてきて、最終的な診断名と治療の経過を教えてもらえます。今回は、たまたま兄弟の受診で先に分かったことですが、いずにしても私がアデノウィルスを見破れなかったことが判明しました。紹介したことで“答え”が分かった訳です。

小児科医は、病気の原因を見極めるプロでなければなりません。今回は、大きな“誤診”といったレベルではないのですが、私も修行が足りないなと反省させられました。こういう反省を元に、自分は進化していかなければならないと思っています。