先日、「ザ!世界仰天ニュース アレルギーSP」について触れました。
日常診療では遭遇しないような重度のアレルギーの患者さんが取り上げられているので、私自身も勉強になるのですが、いわゆるバラエティ番組の一環かなと思っているので、ちょっと面白おかしい味付けになっているのが気になっています。
重度のピーナッツアレルギーに悩まされていた患者の親御さんが麻薬探知犬を取り扱ったテレビを観て、あることを思いつきます。犬は優れた嗅覚を持っているので、麻薬の匂いを嗅ぎ分けるようにトレーニングしている訳ですが、親御さんは「ピーナッツの匂いを嗅ぎ分けられないか?」と思いついたのです。
確かに番組内では、公園のベンチに座っただけでアナフィラキシーショックを起こし、その理由を直前にそのベンチに座っていた人がピーナッツを食べ、その粉がベンチに付着していたのではないかと推測していました。
また家中のピーナッツの含まれるものを処分していましたが、シャンプー、石けん、ローションにまで除去していました。アメリカでは年間100人前後の人がピーナッツによるアナフィラキシーショックで亡くなっているようなので、極めて重度の患者さんも多いのかもしれません。ちょっと想像がつきません…。
発症は母が母乳を与えていたら、顔が赤くなり、赤ちゃんの機嫌が悪くなったということで病院を受診したら、ピーナッツアレルギーと判明しました。その診察時に「家中のピーナッツの含まれているものは、すべて処分するように」という説明だったので、ちょっと指導が飛躍し過ぎているのかなとも思いました。
母乳に反応しただけで、ピーナッツの粉が落ちていたかもしれないベンチに座っただけでアナフィラキシーショックを起こすことまでは予想できなかったはずです。途中経過が端折られているのかもしれず、一般の方が観ていると曲解されてしまうかもしれません。まあ、アメリカのピーナッツアレルギー事情をよく知らないので、何とも言えませんが。
番組内に出ていたタレントが自分が何のアレルギーがあると申告していて、事前に行ったアレルギー検査で答え合わせをするコーナーもありました。あるタレントはサバを食べて具合が悪くなったことがあるそうです。アレルギー検査の結果ではサバは0
でした。また別のタレントは、ソバ殻の枕でも反応してしまうくらいで、ソバは30年も食べていないと言っていましたが、ソバも検査上は0でした。
検査結果を聞いて、二人とも怪訝そうな微妙な表情をし、周囲から笑いが漏れるのですが、番組的にはオッケーでしょう。しかし、何故こんなことが起きるのでしょうか?。
最初のタレントさんは、アニサキスという寄生虫へのアレルギーがクラス6と高く、サバではなく、サバに寄生していたアニサキスに反応していたのかもしれません。アニサキスアレルギーは魚の好きな成人に多いようですが、小児では診たことがないため、私も診断できる自信がないですね。
ソバを除去し続けてきたタレントさんは、ソバアレルギーがあったが治ってしまったのかもしれませんし、もともと何かの勘違いでソバにアレルギーがあると信じてきたのかもしれません。ただ、食物アレルギーは口の中に入れただけで、本人にしか分からない違和感を感じることがあり、ソバアレルギーがあったのは事実だろうと思います。本来なら「食物負荷試験」の適応になります。
ソバで過去にアレルギー症状があり、検査で強く反応していれば、一般的に日本ではソバは強い症状を起こすことで知られていますので、敢えて食べさせることはないと思います。このタレントさんの場合、これまで30年にも渡るソバへの恐怖心もあり、仮に「食物負荷試験」をやっても、ソバに対する先入観が邪魔をして口の中に違和感を覚えるかもしれません。蕁麻疹など客観的な症状が出れば、アレルギーが残っていると判断できますが、違和感程度ならアレルギーなのか、気持ちの問題なのか分かりません。30年も除去していれば、改めて食べたいとは思わないのでは?。ソバアレルギーがあるかを判断するのは難しい問題だろうと思っています。
他のタレントさんでも自己申告のあった食品と検査結果に差がありました。ダメだと思っていたのに検査は陰性だったり、食べていたのに陽性だったりということです。
特に大人の場合、例えば以前カキを食べて食中毒を起こしてしまったのをきっかけにカキを食べなくなってしまう、つまりアレルギーと誤認してしまうこともあるかもしれません。一方、検査が陽性であっても、不具合がなければ食べていいのは大人にも言えると思います。アレルギー検査は万能ではないため、必ずしも血液中の抗体が常にアレルギーを引き起こすものではないのです。そもそも、調べなければ検査が高いことには気づかなかった訳ですし、アレルギー検査のない時代には知らずに食べ続けていたでしょうし。
先ほどソバアレルギーについて触れましたが、子どもだと話が変わってきます。これから人生も長いし、自分の意志とは裏腹にソバが口の中に入ってしまう可能性があります。それを心配した親御さんからソバの「食物負荷試験」をやって欲しいと言われることがあります。過去に何度もソバの負荷試験をやっていますが、クラス2くらいでも食べて何ともないこともありました。
食物アレルギーは、大人や子どもで対応が異なったり、思い込みや気づいていないこともあるでしょうし、難しいなと思っています。


