小児科 すこやかアレルギークリニック

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「○○、ごめんなー」
2010年02月18日 更新

これは、先日、当院を初診されたお子さんを連れてきたお父さんがお子さんに向かっておっしゃった言葉です。○○には、お子さんの名前が入ります。

皮膚がカサカサしてあまりにも痒がるということで当院を初診されました。問診票には卵アレルギーがあったが治ったと記載されていました。

診察室に入ってくる直前に親御さんの記入した問診票に目を通しますが、パッと見た時点がアトピー性皮膚があるかどうか確認する必要があるなと考えました。何故なら、乳幼児のアトピー性皮膚炎に高率に食物アレルギーが合併するからです。

皮膚を診てみると、アトピーが強く疑われる状況でした。過去の状況を問診してみて、アトピーであると確信しました。これまで乾燥肌と診断されていたようですが、残念ながら診断が正しくなければ治療も間違ってしまいます。

治療として時折ステロイドも出ていたようですが、未だにステロイドの使用をためらう患者さんも少なくありません。キチンとした説明もなくステロイドを渡され、しかも症状が改善しなければ、親御さんは不安に陥り、医療機関を替えたくなる気持ちもよくわかります。

また、卵アレルギーの診断もアレルギー検査で卵の数値が陽性というだけで判断されていましたが、卵アレルギーの診断は卵の含まれる食品を食べることで、アレルギー症状が誘発されるものを指します。また、決して良い解除法ではないのですが、家で食べさせてみるように指示されて、食べてみて何ともなかったというパターンだったようです。

アトピーと食物アレルギーがあると、ぜんそくを合併する印象が強いので、念のために日頃の咳の具合を聞いてみると、ぜんそくも充分に考えられる状況でした。咳が長引くと風邪薬をもらっていたそうですが、私の経験では風邪でないので、風邪薬は効果はあまり期待できないと思います。

患者さんはもうじき小学生ですが、つまりこの6年間、症状が落ち着かずに親御さんはずっとモヤモヤしたまま過ごしてこられたのだと思います。

親御さんも好きでアレルギーになった訳ではありませんが、親御さんのアレルギー歴からお子さんがアレルギーを持つ可能性が高かったことから話し始め、これらの症状がすべてつながっていることをお話ししました。その時にお父さんがお子さんの頭をなでつつ「○○、ごめんなー」とお子さんにこれまでのことを謝ったのです。

「いやいや、お父さんは悪くないよ」と言いましたが、お父さんは責任を感じているようでした。その様子を目の当たりにして、私はやるせない気持ちになりました。

小児科では、感染症の次にアレルギーが多いはずです。ぜんそく、アトピー、食物アレルギーはいずれも子どもの5~10%前後の割合があるため、本来なら医師は皆が詳しくなければならないのです。

私の恩師がアレルギーの分野において、数々のガイドラインを作成されました。そのガイドラインを参考にすれば、都会でも田舎でも、北海道から沖縄まで患者さんがプロ並みの治療が受けられるはずなのです。新規で当院を受診してくださる他の患者さんをみても、同じようなケースが少なくなく、これが現実なのだと言わざるを得ません。

食物アレルギーの医療に欠かせない「食物負荷試験」を県内に広めることが私の使命だと思っていました。しかし、ぜんそくもアトピーもガイドラインに準拠した治療も広めなければならないと思います。スケールの大きな話ですが、程なく実現できそうな目標ならつまりません。

実は、先日の食物アレルギー研究会で発表したのちに、私が新潟県でアレルギー医療に力を入れていることを知ってくださった方々が何人も私のもとに来て、「一緒に啓発活動をやっていきましょう」と声をかけて下さいました。

「○○、ごめんなー」という言葉をなくすためにも、皆さんの力をお借りしながら、私のやるべき仕事を一歩一歩進めていきたいと考えています。