食物アレルギーの対応は学校や園で様々であると言わざるを得ません。
「必要最低限の除去」が基本の食物アレルギーの対応ではありますが、アナフィラキシーショックの既往があると周囲が不安に陥ってしまいます。それがエスカレートしてしまったケースを経験したことがあります。
某市の小学校に通うお子さんが、エビでアナフィラキシーショックを起こしたことがありました。比較的甲殻類に近い部類の食品である軟体類や貝類にも慎重になってしまいますし、アレルギーの体質が強いので花粉症もあり、となると果物アレルギーも合併してくることがあります。
その子の通う学校と話し合いを持ちました。エビの混入でショックを起こす可能性があり、細心の注意が必要であること、人間にはミスは付き物ですから誤食時の対応も考えておかないといけません。軽い時は抗ヒスタミン薬の内服、重い時はエピペンというショック改善薬の筋肉注射というような指導も行っていました。
当初はしっかり対応をして頂いていましたが、年度が変わり指導者が代わった途端に学校側の対応が180度変換してしまいました。給食に少しでも不安な食材が出る時に学校がお母さんをその都度呼び出し、何かあっても親に対応してもらうというスタンスに変わってしまったのです。かなりの頻度で呼び出され、まだ小さなお子さんもいるのでお母さんには大きな負担でした。
普通、こんな対応はしません。それでも飽き足らずに、何があっても学校側に責任を求めないとする念書を書くように求められたそうです。驚いたことに、こんな対応は新潟だけかと思いきや、全国各地で繰り返されているようです。
別のケースですが、微量の卵でも反応してしまうお子さんが今度小学校に上がることになりました。6歳になると卵アレルギーのお子さんでもそれなりの加工品は食べられることが多くなると思います。しかし、このお子さんは実際に「食物負荷試験」で微量でも症状が誘発されてしまいましたので、完全除去をお願いしました。
学校側の答えは、弁当持参でした。一般的に多種食物アレルギーのお子さんで、特に小麦アレルギーもあると、学校ではパンや麺類はよく出るので、弁当持参もやむを得ないと思います。卵の除去だけで「えっ、弁当!?」って聞き返してしまいました。
学校側の都合もあるでしょうが、多感になってくる時期に「なぜ僕だけ…」ってなってしまうのは避けたいところです。親御さんに「本当に弁当になるのかもう一度確認して下さい」と頼んでみたら、翌日には「弁当じゃなくなりました」の返事を頂きました。「学校の決定は、そんなに簡単にひるがえっちゃうものなのかな?」と思ってしまいました。
県内には、食物アレルギーがあると入園を断る幼稚園もあるそうです。その理由は「食物アレルギーの経験がないから」だそうです。園児の年代では5%程度の有病率があります。20人に1人の割合です。経験がないはずはないと思うし、少なくとも今後重症なケースに当たる可能性もあることでしょう。現実に直面しなければ、いつまでも対応できないことになってしまいます。
こういう対応の話を聞くと、ガッカリしてしまいますし、私自身の努力不足を感じてしまいます。子ども達は好きで食物アレルギーになってしまった訳ではありません。ただでさえ食べたいものを食べられないという我慢を強いられているにもかかわらず、周囲の大人達の理解不足から過剰な対応を求められてしまうのです。中には医師による過剰な除去、制限も問題になります。
結局、食物アレルギーの専門医が周囲を啓発しながら、食物アレルギーの子ども達の人権を守る努力をしなければならないのだと思っています。今年は新潟を変革するチャンスだと思っています。地道に前に進んで行こうと考えています。


