以前も書いたことがありますが、入院施設を持つ病院は一見矛盾したことをやっているように見えます。
どういうことかと言うと、外来では病気が悪化しないように治療しています。もし悪化した場合は、入院が適切と判断されれば入院治療することになります。つまり外来で入院しないように治療している訳ですから、うまく治療してしまえば入院患者さんが減ってしまいます。
病院は入院治療も収益ですから、変な言い方になりますが、自分で自分の首を絞めているという言い方ができなくもありません。
近年は、ぜんそくのガイドラインという治療マニュアルができたお陰で、ぜんそくの入院が減っていると言われています。全国のアレルギー専門病院では、ぜんそく発作による入院が減っています。それはそれで時代の進歩な訳で、喜ぶべきことなのでしょう。
一方、私のような開業医にとっては、これまでなら入退院を繰り返していたような子ども達を外来管理することができるようになってきました。ということもあり、当院では多くのぜんそく患者さんを診させて頂いております。
つい先日、市の休日夜間診療所に仕事に行った時に、咳の止まらないお子さんの話をしました。これまでかかっていた小児科では「気管支炎」と診断されており、点滴などを繰り返し行われていたそうです。ところが、問診だけでぜんそくが強く疑われ、聴診してみたらかすかにゼーゼーというぜんそく特有の音が聞こえました。おまけにぜんそくの治療である吸入をしたら、症状がピタリと止まりました。
吸入は即効性がありますから、お母さんの目の前であれだけ続いた激しい咳がピタリと魔法のように止まってしまうと、「ぜんそくである」ことは明らかです。二人の医師が異なったことを言うと患者さんはどっちを信用していいか分からないでしょうが、これ以上の説明は必要ないでしょう。私としては医師にも知識や技術の差があることも理解して頂きたいと思っています。
既に重めの発作を起こしており、吸入で症状がピタリと止まったのですが、そんなに長い間効いていないので、再悪化することが予想されました。入院してぜんそく発作を治療するのがベストであろうと説明し、了解を頂きました。
後日談なのですが、紹介先の病院で入院加療を行ったそうです。主治医の先生に伺うと、入院時にはやはり喘鳴が出始めており、その辺も予想通りだった訳です。数日間、頑張って治療して元気に退院されたそうで、良かったなと思っています。
私としては、キチンとぜんそくと診断できる医師であれば、どこで治療してもらっても構わないと思っていました。つまり入院先の病院に通院して頂くことでもいいと思っていました。親御さんによっては、夜でも診てもらえる病院をかかりつけに選ぶ方も少なくありません。ましてや一度入院している訳ですから、その有り難さは身にしみているはずです。
退院時に、お母さんは当院での治療を希望して下さったそうです。有り難いことです。その期待に応えなければならないと思っています。
休日夜間診療所は、診療したら1~2日の薬を出し、またかかりつけに行ってもらうことがルールになっています。ただ、今回のケースは的確に診断され、治療を行われるべきケースだったと思いますし、私がぜんそくであることを示さなければ、また同じ症状に悩まされた可能性が高いと思っています。そこは私の専門ですし、短い診療時間の中で、ぜんそくについて説明し、きっと充分にご理解頂けたので、お母さんのハートをキャッチできたのかもしれないと考えています。
話は変わりますが、小児科医は、子ども達が何に興味を持っているかを把握している必要があります。幼稚園、保育園の年代の男の子なら仮面ライダーダブル、ゴセイジャー、女の子なら最近始まったハートキャッチプリキュアに興味を持っているようです。
当院には既に、ゴセイジャー、仮面ライダーダブル、ハートキャッチプリキュアの人形、絵本を各種取り揃えています。子ども達のハートをキャッチするために、そういった企業努力もしています。診察室に置いてあるので、診察室に入ってきた子ども達が一気にテンションが上がります(笑)。
先日、数ヶ月ぶりに当院を受診した女の子は、当院に向かう車の中で「ハートキャッチプリキュアの人形置いてあるかな?」とお母さんと話しながら来たそうです。当院が最新のおもちゃを揃えているのはご存知だったようです。もちろん期待は裏切りませんでした。
最近はアレルギー以外の受診も増えてきました。宣伝は一切していないのに、予防接種や検診も増えています。多少待ち時間が長くても、話を聞き、説明をする、自分のところに抱え込まず、必要があればより良い医療のできる先生のところに紹介するというスタンスを評価して頂いているのであれば、嬉しいことです。親御さん、子ども達の期待は裏切りたくないし、ハートもキャッチしたいと思っています。


