新年度を迎えるに当たり、食物アレルギー診断書の記載を求めて患者さんが受診されています。
食物アレルギーの難しいところは、成長とともに食べられるものが変わってきてしまうことです。これも有名なデータですが、相模原病院の出されたプロバビリティカーブというものがあります。アレルギー検査の数字がどれくらいだと、卵や牛乳をこれくらいの確率で食べたり飲んだすることができるというものです。
ミルクの値がクラス2(抗体香が3.0の場合)だと、0歳では90%症状が誘発されるものの、1歳では50%、2歳以上では30%程度と年齢が上がるにつれて、食べても何の症状も出ない確率が上がるというデータがあるのです。
アレルギー検査の数値だけで判断されるケースが多いのですが、本来なら年齢も加味しなければならないのです。アレルギー診断書は毎回見直さなければならないはずなのです。実際は数値が高い=食べてはダメと判断されていますので、食物アレルギーに理解のある小児科医が増えて欲しいと思っています。
私の悪い癖といえるかもしれませんが、子どもの嫌がる採血や検査はなるべく行わない方針です。アレルギー検査の数値はあまり当てにしていないので、検査はあまり行ってません。気がついたら1年以上検査していないことに気付いたりします。中には2ヶ月ごとに採血するところもあるようですが、これはやり過ぎでは?と思っています。検査を信用しすぎると、こういう対応になってしまうのかもしれません。
検査の数値がどんどん下がるお子さんもいれば、なかなか下がらないお子さんもいます。専門医なら皆そうだと思いますが、アレルギー検査を参考程度にみていると思います。重症なお子さんを除けば、数値の下がりが悪くても「食物負荷試験」をやると思うのです。
先日、ネットで食物アレルギーについて調べていたら、食物アレルギーをまとめて説明したファイルを見つけました。その中に興味深いと思った文面が2カ所ありました。
「良い医者を探すには」というタイトルのところにこんなことが書いてありました。
「アレルギーで適切な診断や処置がなされていないことは稀ではない。ここ最近、アレルギーの病気が増えていることと、医師免許が運転免許と違い数年毎の更新する必要がないことを考え合わせると当然のことだ」と書いてありました。確かにそうだなと思います。私もアレルギーの最新レベルにくっついていこうと、診療を休んでも年に数回学会に行って新しい知識を吸収しようと思っています。
私も必死です。他の医療機関と区別できるように「アレルギークリニック」を名乗っています。私がいい加減なことをやっていては、アレルギー科の看板を下ろさないといけません。結局、各医師の努力の有無で診療レベルが大きく変わってしまうのです。プロ野球選手も、レギュラーでチームの中心選手もいれば、同じ“プロ”でも試合に出られずリストラされそうな選手もいる訳です。特に開業医は解雇されることもないので、尚更努力しなければならないはずです。
もうひとつ、なるほどなと思ったのが、セカンドオピニオンの件です。「今診てもらっている医師に他の医師の意見も聞いてみたいと頼むのは気が引けるかもしれないが、自分の方針に自信のある医師ほど気軽に応じてくれるはず」と書かれていました。私の場合は、専門分野以外で自信がなくても紹介状を書いてしまいますが…(汗)。
もしアレルギーの分野でセカンドオピニオンを求められれば、私なら紹介状を書くと思います。慢性疾患である故に、患者さんと向かい合って治療していきたいと思うからです。患者さんに不安があるようなら、信頼関係は築きにくいと思っています。中には我流の医療を続けて、手放さない医師もいます。症状が良くならないために居ても立ってもいられず患者さんの方から当院を受診され、残念ながら180度違った話をせざるを得ないことも時々あります。
昨日話題に挙げた患者さんも、前の先生にことわって当院を受診された訳ではありません。今回当院をこっそり(?)と受診されたことで、次回風邪か何かで元の先生のところをかかりたいと思っても、かかりづらければ気の毒に思います。でも親御さんやお子さんは何も悪いことはしていないのです。お子さんの症状が良くならないから、当院に相談に来ただけなのです。ただし、医師の立場からすればきっと内心は快く思っていないだろうと思います。であれば、勇気を出してセカンドオピニオンということで紹介状を書いてもらうのがいいのではないでしょうか。
患者さんにしてみれば、医師とは気まずい関係になりたくない。でも症状が良くならなければ、かわいいお子さんのためにもっと良い治療法があるのではないかと考えると思うのです。良い医者を探すのは難しいと思いますし、アレルギーについては更に狭き門になっているのが現状だと思います。
今日の話題の“良い医者”を探すということは、良くない医者もいるということです。残念ながらこれは現実です。ちなみに私は良い医者とは思っていませんし、良い医者になりたいともがいていると思って頂くのが適切だと思います。もっと知識を増やしたいと思っているし、「食物負荷試験」でもっと多くの子ども達の食品除去を減らしたいし、いま話題の「経口減感作治療」も身につけたいと考えています。


