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セカンドオピニオンの勧め
2010年03月18日 更新

以前もこんなタイトルで書いたことがあると記憶していますが、アレルギーの子どもを取り巻く環境は、全然満足のいくものではありません。

当院も上越では多少は知名度が上がってきたせいか、アレルギーで困っているお子さんがご指名で受診して下さるようになってきています。本当にビックリするような対応をされているケースが少なくありません。

中には、医師による誤解もあります。ぜんそくを風邪やマイコプラズマ、アトピーを乳児湿疹、乾燥肌と診断されているケースが毎日のように経験しています。アレルギー検査の数値で食べられる食べられないの判断をされて、みすみす食べられるものを食べさせていないケースも繰り返されています。

新潟県はアレルギー科の医師が多いことになっていますが、かかっていても症状が改善されずに困っている患者さんが当院に多く受診されており、そんなところをみると、アレルギーの分野こそ、別の医師に診断や治療について相談を求める「セカンドオピニオン」が普及すべきだと思っています。

つい先日も、自分の治療や対応に自信を持つ医師ほどセカンドオピニオンに応じてくれるはずというアレルギー専門医の意見を紹介しましたが、逆ですよね?。自信を持っていないアレルギーが専門でいない医師ほど、セカンドオピニオンに応じなければならないと思っています。

県外のあるアレルギー科の小児科医の先生のホームページに患者さんからの質問コーナーがあるのですが、そこにこんな質問が投げかけられていました。お子さんが蕁麻疹が出やすく、アレルギー検査をしてもらったら卵、乳、小麦、大豆、魚が陽性だったそうです。

最初に行ったAという小児科で「アレルギー検査で陽性のものは食べてはいけない」と指導され、厳格に除去を続けてみたそうです。それだけの食生活は当然のようにストレスもあり、蕁麻疹も引かなかったそうです。セカンドオピニオンのつもりでBという小児科に行ったら、今度は食べさせてよいという意見を言われたそうです。「最近は経口減感作という治療もあるので、食べているうちに蕁麻疹は出なくなる」と説明されたそうです。

全く逆の意見です。新潟県ではないようですが、どちらもその地元では有名なアレルギー科の小児科医の意見だそうです。

まず、敢えて言わせて頂きますが、「有名」=「良い医者」とは限りません。テレビやラジオでよく宣伝している医師もいますが、“営業”に偏っていることが少なくありません。素人からみると医師の世界はよく分からないはずですが、アレルギーの学会で姿を見たことのない“アレルギー科”の先生もいます。テレビに出る医師は真の実力者と、そうでない医師もいることを知っておいて損はないと思います。

食物アレルギーの専門医は「食物負荷試験」で正しい判断をしたいと考えています。つまり、アレルギー検査が正しいこともあれば、正しくないことも多々あるからです。当院は卵やミルクの値がクラス2や3、あるいは4であっても「食物負荷試験」を行っています。少なくとも加工品なら充分食べられると思っています。しかし、自宅で食べてみることを勧めている訳ではありません。食物アレルギーに理解のある専門医の前で食べさせることが肝心です。

Aという医院の医師の意見は正しくないと言っては気の毒ですが、昔の意見だと言えます。若かりし頃の私も似たようなことを言っていた気がします(汗)。そもそも除去して症状が良くならなければ、自分の指導が間違っているのではないかと見直しをする必要があると思います。

卵、乳、大豆、小麦、魚を完全に除去することは不可能に近いと思っています。だいたいそんな食生活をその医師はできるのでしょうか?。逆に食べられるものを一緒に探してあげるのが“かかりつけ”の責任だと思います。

その点、Bの医師は今風の指導かなと思います。相談された先生も回答の中で、Bの先生と相談しながら治療することを勧めています。私も自分が診ることができないのならば、Bの先生と答えると思いますが、ただ対応がちょっと異なります。

最初からBの先生のもとを受診していたらよかったのですが、Aの先生からアレルギー検査が陽性のものを食べると強いアレルギー症状を起こすと脅かされていると思うのです。お母さんは食べさせることに恐怖心を抱いているはずです。

「数値が高い」=「アレルギー症状を起こす」は正しくありませんが、「数値が高い」=「アレルギー症状を起こす可能性がある」、これは事実でしょう。だったら卵、乳、小麦、大豆、魚と「食物負荷試験」をして、どこまで食べられ、どこから食べられないことを明らかにする必要があると思うのです。

少し気になるのは、Bの医師が言っている「蕁麻疹が出ても食べ続けていい」という指導が正しいかどうかです。確かに経口減感作療法という治療が脚光を浴びています。これまで食物アレルギーの対応は除去や制限しかなかったので、画期的な治療法だと思います。

相談の文面では、どの程度の蕁麻疹がどういうタイミングで出ているのかが書かれていません。食べて、広範囲の蕁麻疹が出ているのなら、お子さんは痒くて仕方ないはずです。「食べてはいけない」という指導の方が現実的です。さほどひどい蕁麻疹でなくても、「症状が出るものは除去が原則」であることは間違いではないと思います。食べ続ければ出なくなるのかは、やってみなければ分からないと考えていますし、個人差もあるのではないかと思います。

先の患者さんもAの先生の指導を続けていたら、栄養失調になる可能性もあります。でもBの先生の言う通り、症状が出ても食べ続けた方が食べられる近道なのかはまだ解明されていないと思います。

食物アレルギーは、医師によってこんなにも指導が異なります。つまり、混乱状態にあると言えるだろうと思います。経口減感作療法は、まだ研究段階のため、まだ未解明な部分も少なくなく、キチンとした結論がなるべく早く出るといいなと思っています。

現時点では、今回の患者さんの対応の正しいであろう答えは、各食品について「食物負荷試験」を行い、どこまで食べられるのか追求し、安全に食べられる範囲内で食べてもらうことだと考えています。食物アレルギーで困っている患者さんは少なくなく、医師の指導で混乱している患者さんは専門医にセカンドオピニオンを求めるのも方法だと思っています。