小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

私は非常識!?
2010年03月24日 更新

N市から受診されているお子さんで、食物アレルギーが重症なお子さんがいます。

前にかかっていた小児科では、アレルギー検査を繰り返し、項目が陽性だと「あれも食べられない、これも食べられない」と指導していました。その先生はアレルギー専門でないので、もちろん悪気はないのですが、親御さんは食べられるものがひとつ減り、ふたつ減りと徐々に追い込まれていきました。

そんな状況で、当院のホームページをご覧になったのだと思いますが、当院を受診されるようになりました。「食物負荷試験」を行って、どこまで食べられるのかをハッキリさせるのが、今の正しい医療だとホームページで書いていますので、その内容に嘘偽りがあってはなりません。

いくつかの食品と同様に卵も完全除去するように前医から言われていました。別に数値が高いからといって臆することはなく、加工品なら食べられるのではないかと考え、「食物負荷試験」をやることにしました。

普通なら「数値が高い」=「食べられない」と判断されています。それが“常識”とされています。私としては「卵成分の含むものは何でもいいから食べさせてあげたい」と“執念”を持って負荷試験を行っています。親御さんを同じ方向を見ているのだと思っています。

当院では毎日のように、ぜんそくなのに「風邪」や「マイコプラズマ」、アトピーなのに「乳児湿疹」、「乾燥肌」と診断されている新患の患者さんを診ています。ちょっと失礼な言い方になってしまうかもしれませんが、こういう過小診断は“思い込み(自身の常識)”が原因なのではないかと思っています。

卵の値はクラス6でしたが、ビスケットなら食べられる可能性があると考えました。先日負荷試験を行ったのですが、無事におやつとして使える分くらいは食べられました。何か症状が出るかもしれないと思っていましたが、蕁麻疹が出ることもなく、負荷試験を終えることができました。

クラス6なら症状が誘発される可能性がありました。それでも「食物負荷試験」を行うのは、とんでもなく“非常識”なのかもしれません。でも私は逆に、小児科医も親御さんも自身の“常識”にとらわれ過ぎではありませんか?と言いたいのです。さすがに私でもクラス6のお子さんに、いきなり卵焼きを食べさせるような“非常識”なことはしませんが、ビスケットやクッキーなら食べられても、私はさほど驚きません。

ただここで注意したいのは、クラス6でもみんながこうやって食べられる訳ではないことです。安易に自宅で食べさせてみることは避けて頂きたいと思います。あくまで専門医が医院で食べさせてみて食べられることが確認できた、という話です。卵の数値が高いのに「加工品なら食べられるから自宅で食べさせてみなさい」という乱暴な自宅負荷試験(?)を勧める医師も出てきて、困っているのです。「食物負荷試験」を広めたいと思っているのに、こんな指導が出てくるなんて私も想定外の出来事ですし、逆効果です。

確かに数値が高い食品を食べないように指導すれば、何も起きません。それがこれまでの“常識”でした。しかし、食物アレルギーの基本は「必要最小限の除去」とガイドラインに明記されています。「食べられるものは食べさせる」が“常識”なはずです。例え、アレルギー検査が陽性でもです。

新潟県では、依然として古い“常識”が普及しており、食べられるものまで除去されており、食物アレルギーのお子さんの人権が必要以上に侵害されていると言っていいのではないかと思います。診療のよりどころになるはずのガイドラインが守られていないのが現状でしょう。小児科医は必要以上の我慢を強いることをしない“執念”は持つべきだろうと思っています。

先に述べた「食べられるものは食べさせる」という考え方は決して“新しい”ものではないのですが、早急にこの“常識”を広めなければならないと思います。まず私の地元上越からと思っていますが、なかなか同業からの紹介もないのが現状です。この“非常識”をいずれは“常識”にしてやる、そういう気持ちで頑張っていかなければならないと思っています。

私の夢は、新潟県の子どものアレルギーの診療レベルを上げることですが、食物アレルギーに関しては「食物負荷試験」を“常識”にすることです。