小児科 すこやかアレルギークリニック

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肺炎球菌ワクチン始めます
2010年03月25日 更新

テレビで報道したようですのでご存知の方も多いようですが、新しいワクチンが発売になりました。肺炎球菌に対しての免疫をつける予防接種です。

親御さんにとっては朗報、お子さんにとっては半分朗報といってところでしょうか?。また痛い思いをする機会が増えるからです(汗)。

「はっ、はいえんきゅうきん?」って方もいらっしゃると思います。ヒブワクチンもあるので、「またよく分からないワクチンが増えたな」と思っている方もいることでしょう。

乳幼児は体が強くなく、重い感染症を起こしやすいのは紛れもない事実だと思います。その最たるものが細菌性髄膜炎でしょう。頭に菌が回ってしまう重症な感染症です。以前は、1/3が死亡し、1/3が後遺症を残し、1/3が治るなんて言われていましたが、最近は抗生剤治療の進歩もあり、死亡率は数%、てんかんや発達の遅れ、麻痺、難聴などの後遺症が10~20%というところまで改善しているようです。しかし、亡くならないまでもそれだけの率の後遺症とは、いまだにトップクラスに恐い病気と言えると思います。

その髄膜炎の原因菌は年齢により異なるのですが、幼児期で多いのがインフルエンザ菌で、その次が肺炎球菌と言われています。この2つの菌だけで髄膜炎の原因の3/4を占めます。インフルエンザ菌は、既に発売されているヒブワクチンで予防しますから、今回肺炎球菌に対する予防接種ができるようになったのです。

実はインフルエンザ菌も肺炎球菌も細菌性髄膜炎の他に、中耳炎の原因菌でもあります。中耳炎は以前は治りやすい病気だったように思いますが、最近は抗生物質の効きにくい耐性菌が増えており、インフルエンザ菌も肺炎球菌も抗生剤内服では叩ききれずに、入院加療が必要になったり、何度も繰り返すケースも確実に増えています。

ヒブワクチンはインフルエンザ菌による中耳炎には効果があまり期待できないようですが、今回の肺炎球菌ワクチンは、中耳炎にも有効のようです。鼓膜切開などの処置も減ることが期待されています。先行して接種が行われているアメリカでは中耳炎が減ったとの報告があるようです。

肺炎球菌もインフルエンザ菌と同様に、母のへその緒からもらった免疫が切れる頃から感染しやすくなってきますので、生後2ヶ月から適応になります。生後2ヶ月以上7ヶ月未満のお子さんは1ヶ月以上の間隔を空けて3回接種(初回免疫)し、2ヶ月以上空けて追加免疫をもう1回打ちます。生後7ヶ月以上12ヶ月未満なら初回免疫が2回、12ヶ月以上24ヶ月未満なら1回で、それぞれ2ヶ月以上空けて追加免疫をします。なお、24ヶ月以上9歳以下なら1回のみの接種になります。

接種のスケジュールが三種混合、ヒブワクチンとほぼ同じになっています。当院では三種混合とヒブワクチンの同時接種を行っています。実はそれに肺炎球菌ワクチンを加えた“3点同時接種”が認められています。右腕、左腕、どちらかの腕の接種部から1インチ(2.5センチ)離したところだそうです。子どもにとっても、親御さんにとっても有り難くない話かもしれません。子どもは3回も痛い、親御さんは財布に痛い…という意味です(汗)。

予防接種は、ある意味で保険のようなものでしょう。かかると悪いから受けておくものです。髄膜炎はそんなに頻度の高い病気ではないと思います。かといって、どのお子さんにもかかる可能性があり、いつお子さんの身に降り掛かってくるか分かりません。「転ばぬ先の杖」といった感じでしょう。私なら自分の子に接種すると思います。

ヒブワクチンはやはり報道の影響で問い合わせが増えました。入手困難なワクチンで、お子さんの分を確保してホッとしている親御さんもいることと思いますが、肺炎球菌の予防接種も済ませて初めて細菌性髄膜炎の対策を立てたと言えると思います。

なお、肺炎球菌ワクチンである「プレベナー」という薬はヒブワクチンと違って供給不足にはならないようです。予約すれば打てると聞いています。ついでに申しますと、入手の困難だったヒブワクチンは今年の秋から増産され、来年からはかなり市場に出回る予定だそうです。

今年の冬はRSウィルスが大流行しました。2歳以下の乳幼児でゼーゼー言ったお子さんが少なくありませんでした。今後も風邪などの気道感染を契機に強い咳込みがみられる可能性が高いと思います。肺炎球菌ワクチンは文字通り肺炎の原因にもなるし、今日お話しした中耳炎も起こします。

アレルギーと呼吸器を専門にやっている小児科医としては、ぜんそくとその予備軍、RSウィルス感染者には、是非とも今回のワクチンを受けて頂きたいと考えています。予約を始めましたので、お問い合わせください。