先月の2月に東京で食物アレルギー研究会がありました。
日本の食物アレルギーの専門家が集まる会合です。小児科医だけでなく、栄養士や行政の方、養護教諭、園の先生、企業も一堂に会する本格的なものです。そこで私の発表してきたのですが、その中で「すげーな」と思った発表がありました。
以前も触れたでしょうか、北九州の開業の先生で開院以来、「食物負荷試験」を3000件やっているという報告でした。3000件と言えば、食物アレルギーを売りにしている日本有数の専門病院並みの数です。
実はその先生とはつながりがありました。私が福岡に国内留学していた頃に福岡市で開催された学会にその先生が「食物負荷試験」に関する発表をされていたのです。しかも、2年前に当院で診ていた食物アレルギーの患者さんが北九州に転勤が決まり、転居先を聞いてみたら、その先生の医院の近くでしたので迷わず紹介状を書いたということもありました。真面目な先生で、学会でもよくお見かけしていたので、いつか話をしてみたいと思っていました。
昨年の12月、日本小児アレルギー学会が福岡で開催された時に、私も発表してきましたが、会場で私の発表を聞いていて下さっていました。姿をお見かけしましたので、速攻で挨拶に行きました。私が以前食物アレルギーの患者さんを紹介した旨を伝えると、私の発表の名前に「どこかで見たことのある名前だな」と思われていたようです。その日はしばらく「食物負荷試験」についてお話しさせて頂きました。
「食物負荷試験」をやっている小児科医は、自分の目の前でアレルゲンを食べさせる訳ですから、何か思わぬトラブルが起きてしまえば、言い逃れもできません。責任が降り掛かってきます。アレルギー検査が高いうちは「除去しなさい」と言っておけば、何も起きません。自分のリスクを顧みず、目の前の食べられずに困っている患者さんに「食べさせてあげたい」という強い思いがなければ「食物負荷試験」なんてできません。その先生には“同じ匂い”を感じていました。
食物アレルギー研究会でその先生に再会した訳ですが、開院7年で「食物負荷試験」を3000件となると相当ハイペースで負荷試験を行っていることになります。当院はここ最近はアレルギー診断書の希望者が多いため、1日4~5人のペースでやっていますが、これを1年通してやり続けなければならないくらいのペースだと思います。
昨年の季節性と新型インフルエンザワクチンで手が足りなかったのと、例年流行するインフルエンザのシーズン中は負荷試験の最中にインフルエンザを移してしまう可能性があるのと、インフルエンザの患者さん自体が多いため「食物負荷試験」に手が回りにくいなどの理由で、冬期間は当院の場合は「食物負荷試験」を休止せざるを得ません。その先生も一人でやられているのですが、当院では7年で3000件なんて無理な話です。どうしてそんなに負荷試験ができるのか聞いてみたいと思っていました。
実際にお聞きしてみて理由が分かりました。アレルギーの患者さんしか来ないそうです。言わば完全にアレルギーの特化した医院になっているそうです。ちょっと信じがたいのですが、インフルエンザのシーズンもインフルエンザの患者さんはほとんど来ないそうです。こんなこともおっしゃっていました。アトピー性皮膚炎の患者さんの診察をしていたところ、水ぶくれを見つけ、「こりゃ水ぼうそうになっています」と説明したら、「そうですか。帰りに小児科で水ぼうそうの薬をもらいます」と言われたそうです。ご本人してみたら結構ショックな話だと思います。その先生はアレルギー専門医ですが、もとはバリバリの小児科医だからです。
当院は感染症の患者さんも少なくないし、インフルエンザのシーズンはインフルエンザの患者さんも多く受診されるため、それだけの「食物負荷試験」を実施することは難しいなと思っています。「食物負荷試験」は時間も手間もかかります。普通の小児科医とアレルギー専門医の両立は、結構難しいと思っています。
先日、皮膚に発疹があると受診された赤ちゃんがいました。近くの皮膚科で薬をもらったけれども良くならないと、当院を受診して下さいました。光栄なことです。今回のケースはアトピーではありませんでした。その湿疹に見合ったと思われる薬を処方し、後日受診して頂きました。湿疹は改善していたため、肩の荷が下りたのですが、問診票に「鼻水が出ている」とも書いてあります。
こういうケースは、「一緒に風邪薬も出して下さい」と言われることが多いし、親御さんも一石二鳥でしょう。聴診もした上で「風邪薬も出しましょうか?」と聞いてみたら、「午前中に小児科に行ってきました」という返事…(涙)。「うちは小児科ですが」と言うと「イメージが…」と言われてしまいました。
その親御さんにとって、当院のイメージは「皮膚科」なのでしょうか??。感染症もキチンと診断しているつもりですし、耳も目も泌尿器もけいれんも小児科としてまともに対応しているつもりなのですが…。もっと小児科医としての自分をアピールした方がいいのでしょうか?(汗)。


