食物アレルギーの診療には「食物負荷試験」が欠かせないと言われています。
新潟県は、「食物負荷試験」を実施している施設が非常に少ないため、「食物負荷試験」のことを知らされていない患者さんが極めて多いことが推測されます。当院の場合、市外からも負荷試験のために受診される患者さんが少なくありませんが、本当なら「食物負荷試験」のために受診される患者さんはもっと多いはずです。
アレルギー検査のみが食物アレルギーにおいて食べられる、食べられないの判断する基準であると信じている患者さんを一人でも減らすことが私の使命だと思っています。
かくいう私もナッツに関しては慎重派でした。どういうことかと言いますと、ピーナッツでアレルギー症状を起こした患者さんは、他のナッツ類でもアレルギー症状を起こす可能性があるため、そう言った場合はカシューナッツも、アーモンドもクルミも一括して除去というアレルギー診断書を書いていました。
例えば、“麦”にしても小麦アレルギーがあっても、大麦やオーツ麦、ライ麦は除去しないケースがほとんどです。実はナッツに関しても同様のことが言えると思います。ピーナッツや最近話題になっているカシューナッツはアナフィラキシーという強いアレルギー症状を起こすこともあるので、正直言って私自身も慎重になっていました。
先々月、新潟に来られた食物アレルギーの第一人者の先生は、ピーナッツの負荷試験も行っており、私もナッツに関しては慎重になり過ぎていたようだと反省し、最近はナッツ類の負荷試験もやるようにしています。
ただし、不用意に食べさせてアナフィラキシーを起こしてもらっても困ります。アレルギー検査も参考にするし、プリックテストという皮膚テストも積極的に併用しています。
先日、クルミでアナフィラキシーを起こしたお子さんが「学校生活管理指導表」を書いて欲しいと当院を初めて受診されました。以前ピーナッツは少し食べたことがあったそうです。親御さんもナッツ類ということで、ピーナッツを与えることに不安を抱えていらっしゃいました。クルミで全身蕁麻疹の他、呼吸困難も合併したので怖がるのもよく分かります。
食物アレルギーの対応は「必要最小限の除去」が原則です。給食で“ピーナッツあえ”やピーナッツバターなどが出ることもあるようで、白黒をつける必要があります。「ナッツ類は恐いから止めておいた方がいい」と言えば、2~3分で話が済み次へと診療を進められたのですが、プロなら最善を尽くすべきだろうと考え、「必要最小限の除去」にしようと思いました。
アレルギー検査で調べることのできるナッツ類は、ピーナッツ、アーモンド、ブラジルナッツ、クルミくらいしかありません。カシューナッツやマカダミアナッツはそのものを持ってきて頂き、皮膚テストをするしかありません。何の根拠もなく、いきなり食べさせてみるのは乱暴過ぎます。血液検査や皮膚テストが陰性なら、負荷試験をしても何も起きない可能性が高まります。
先のクルミでアナフィラキシーを起こしたお子さんは、お母さんはピーナッツを怖がっていましたが、血液検査も皮膚テストも陰性でした。そこで実際に「食物負荷試験」を行ってみたら、何も起きませんでした。私はクルミは除去しなければならないけれど、ピーナッツは除去する必要がないと考えました。結局、入念に問診をしてみて、ナッツ類の中で除去すべきはクルミだけであることが判明しました。
最近はこの患者さんだけでなく、他のお子さんもピーナッツの負荷試験を行っています。今のところ、アレルギー症状を起こしているケースはおらず、これまでナッツ類と一括りにして除去していたのが、やや過剰な指導であったと反省しています。ただし、繰り返しになりますが、ピーナッツは強いアレルギー症状が誘発される可能性もあり、今後も慎重に負荷試験を行っていきたいと思っています。
間もなく新学期が始まります。食物アレルギーの心得のあるつもりの私でさえ、ナッツ類に関しては慎重な対応でした。他の医療機関にかかられている患者さんは更に厳しい対応が求められている可能性があります。早めに相談して頂ければいろいろアドバイスができると思います。遠慮なくご相談下さい。


