ご存知のように新潟は米どころです。
そういう土地柄ということもあって、新潟県内には低アレルギー米を製造しているメーカーがあります。ただし、米アレルギーの患者さんは決して多いとはいえず、卵、ミルク、小麦アレルギーが圧倒的に多いのが現状でしょう。
県内のある企業が、「低アレルギー米を作っているなら、小麦も何とかならないか?」という声を受けて、低アレルゲン小麦を使ったパンや小麦を製品化したそうです。
子どもの食物アレルギーは、卵が最多で、ミルク、小麦と続きます。卵1種類ならまだしも、卵とミルクとなると大変になり、卵、ミルク、小麦となると除去は困難を極めます。世の中には更に甲殻類、魚類、ナッツ類なども除去しなければならないお子さんもいらっしゃいます。食物アレルギーのお母さん方の話を聞いても、小麦を摂れるかどうかが大きな壁となっているように思います。
理由は簡単、主食となり得るうどんやパン、その他麺類が摂れないからです。しかも子ども達が喜ぶビスケットやクッキーには小麦が含まれます。間食も厳しいということになります。
食物アレルギーの専門医は、何とか1品でも多くの食べ物を食べさせたいと願います。専門でない医師がアレルギー検査だけで食べられるかどうかの判断しているので、往々にして過剰な除去になってしまいます。だからこそ、「この子にいろんなものを食べさせるきっかけを作るのは自分しかいない」というくらいの気概を持って患者さんに接していると思います。
私もメーカーが開発したという低アレルゲン小麦で作ったパンやクッキーにとても興味を持っていました。代替食品として、小麦不使用の米粉パンを食べれば何も症状は出ませんが、最近は微量に入っているものでも食べないという完全除去よりも、“食べて慣れさせる”といった考え方も出てきています。現時点でこの製品を食べていれば、小麦アレルギーが治りやすいかどうかに関してハッキリした根拠はないので、研究結果を待たねばなりません。ただし、食材が増えることは歓迎すべきでしょう。
当院が食物アレルギーにこだわった医療をしていることは少しずつ認知が進んでいるようで、上越市や市外からも患者さんは受診して下さっています。卵やミルクアレルギーのお子さんが多いのですが、少量の小麦でも強いアレルギー症状が誘発されるというお子さんもいます。このメーカーのパンやビスケットが食べられれば、本人も親御さんも嬉しいと思うのです。
実は、メーカーの担当の方が当院に挨拶にきて下さいました。メーカーも小麦アレルギーのお子さんにどれだけ安全に食べられるか知りたいところでしょうし、私自身も小麦アレルギーでパンやビスケットを諦めていたお子さんに食べられるものなら食べさせてあげたいと思います。何より、新潟の地でアレルギーに理解を持ち頑張っている企業なら応援もしたくなります。
食物アレルギーは、アレルギー検査のみで判断されているケースがとても多く、食事に関して医師からのアドバイスもほとんどないように思います。「食物負荷試験」で食べられるかどうか判断する必要があることの他、患者さんは低アレルゲン化された食品に関する知識を多く持つことで、食事内容の幅も広がります。食物アレルギーを何とかしたいと願う医師や企業が、食物アレルギーで困っている患者さんに正しい知識を知って頂く努力をしなければならないのだと思っています。
私個人でできることは限られます。いろんな方々の協力を頂きながら、新潟県の食物アレルギーの啓発に努めていきたいと考えています。


