小児科 すこやかアレルギークリニック

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ぼくはたまごアレルギー
2010年04月21日 更新

新学期になり、子ども達にとって新しい生活がスタートしていると思います。

頻繁に熱が出て、「こんなに熱の出る子、いますか?」と聞かれることがあります。「結構いるよ」と話しています。ただし、リップサービスではなく、根拠を示さなくてはなりません。

話を聞くと、この春から園に預けているのだそうです。園は誰か風邪を引いている子が常にいるため、風邪をあげたりもらったりします。そのため、しょっちゅう熱を出すことは園に通い始めたお子さんには特によく見られることです。

食物アレルギーのお子さんにとっても、給食が始まります。実は、もう既に誤食で全身に蕁麻疹が出て、慌てて当院を受診されたお子さんもいます。この春に学校に上がったばかりなので、認識が不足していたと言っていいでしょう。誤食は春に限りませんが、今回のケースは「食物アレルギーはこんな症状が出るものなんだ」としっかりと認識して頂きたいと思っています。一度でもお子さんの辛そうな状況を目の当たりにすると、次は起こさせないという気持ちになると思います。

私の診ているお子さんで、卵アレルギーがあるのですが、この春に小学校に上がったお子さんがいます。幼稚園時代に友達から卵製品を渡されて食べてしまい、アレルギー症状を起こしたことも過去にありました。6歳にもなるとその時の辛さが身に染みているのでしょう。

小学校の授業の始まった初日に、子ども達に自己紹介をやることになったそうです。担任の先生と打ち合わせが事前になされていて、多分名前を言うくらいの簡単なことを言う予定だったようです。普通6歳くらいだと、言われた通りのことをやるのが精一杯だと思うのです。しかし、彼は違いました。名前を言った後に、アドリブで「ぼくはたまごアレルギーがあります。よろしくおねがいします。」と挨拶したそうです。

食物アレルギーがあると、何も知らない子から見れば“好き嫌い”だとか“わがまま”なんて誤解されてしまうこともあるので、他の子ども達に理解を求めるのは常套手段と言われています。以前も友達から渡されて卵製品を食べてしまったことがあるので、自分の身を守るために、何より自分を友達によく知ってもらうためにもアドリブを利かせて、卵アレルギーの話をしたのでしょう。本来なら大人が配慮すべきことなのに、自ら告白したのです。その話を聞いた時に、私は目頭が熱くなってしまいました。

彼の期待に応えるために、周囲の大人達が彼を守るためにも食物アレルギーをよく理解してもらう必要があると考えました。その学校では過去に重症な食物アレルギーのお子さんを受け持ったことがないようでしたので、平日の診療の終わった後に学校関係者の方々に来て頂きました。そのお子さんは卵アレルギーとしては重症なので、少しでも卵の含まれるものを口にすればアレルギー症状が誘発されると思います。どんな症状が出るか、誤食時の対応、アナフィラキシー時の薬の使い方などを説明しました。

ミルクアレルギーがあると診断されていて、牛乳を除去するように指示されているにもかかわらず、園で牛乳を飲ませてしまったという話を聞いたことがあります。結局何も起きなかったそうです。予想するにアレルギー検査だけで判断しているので、ミルクアレルギーが治っている(除去する必要がない)にもかかわらず、除去の指示が出されていたというケースだったのでしょう。中には「医師のアレルギー診断書って当てにならない」とお考えの関係者の方もいらっしゃるかもしれません。当院は「食物負荷試験」をやっていますので、“本物”の診断書を書いているつもりです。

できれば食物の除去や制限はしたくはありません。ただ、食べてしまって具合が悪くなるようなら除去や制限をせざるを得ません。今回のお子さんはしっかりしていましたが、もっと低年齢では出されたものは食べてしまいます。大人と違って自己管理ができないのです。大人がキッチリ理解して、食物アレルギーの子ども達を守ってあげなければならない、そう強く思いました。