小児科 すこやかアレルギークリニック

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無駄遣い
2010年04月30日 更新

先日、市の1歳半検診に行ってきました。

今は外来が混雑しているため、診療が終わってご飯を食べる間もなく、検診会場に向かいます。実は車の中で、おにぎりを頬張っていました(汗)。基本的に1ヶ月に1回は順番が回ってくるのですが、今回は久々で2ヶ月ぶりくらいでしょうか?。

私の1歳半検診のイメージは、正常であることの確認だと捉えています。正常であることを確認すると、これまでかかった病気を記入する欄があるため、私はそこもチェックしています。突発性発疹、インフルエンザ、水ぼうそうなどと書いてあることが多いように思います。

今回は、今シーズンのRSウィルスの流行を受け、RSウィルスと書いてある赤ちゃんが数人おりました。RSウィルスは、この場でも繰り返し書いているように、私はそれなりにキチンと理解しているつもりですし、疑ったらその都度検査をしています。典型的な症状を呈することが多く、その場合ほとんどが陽性の結果となります。

一応、数人のRSウィルスと診断された患者さんに「熱が続き、痰がらみの咳が出て、ゼーゼーも言いましたか?」と聞くと、「そうでした」と返事が返ってきます。RSウィルスは外来で検査すると損になりますが、開業の先生でも真面目な先生は調べているようです。

ちょっと残念なのは、RSウィルスにかかってしまうと、過半数の患者さんがそれ以降の10年以上に渡り、かからなかったお子さんに比し有意にゼーゼー、ヒューヒュー言いやすくなることを説明されていないケースが多いのです。今回、RSウィルスにかかったという親御さんに聞いてみると、「治ったと思ったけれど、また咳が出て長引いています」とか「ゴロゴロ、ゼーゼーっぽい感じの咳が聞かれる」とおっしゃいます。やはり、RSウィルスが患者さんを咳が出やすい体質に変えてしまうことが確認できました。

今回の検診のこれまでかかった病気の中に、マイコプラズマと書いてあるお子さんが数人おりました。一般的にマイコプラズマは、もう少し高年齢のお子さんがかかりやすい病気です。おかしいと思い、お母さんに先ほどのRSウィルスの症状を言ってみて、こんな症状じゃないでしたか?と聞いてみると、「そうです。ゼーゼーも言っていました。」という返事。

マイコプラズマは、ぜんそくでも合併していない限りはゼーゼーは言いません。乾いた咳が長引くのが特徴の病気です。RSウィルスのように急激に痰がらみの咳が出るようなことは、まずありません。おまけにマイコプラズマは一度かかって治ると、その後はゼーゼーいいやすいことはないと思います。

マイコプラズマと診断されたお子さんは私が担当したお子さん達の中で3人程いたのですが、どれもビックリするくらいRSウィルスの典型的な症状でした。申し訳ないのですが、多分RSウィルスをマイコプラズマと誤解して診断していると考えられます。

当院は呼吸器感染症にも力を入れていますが、1歳代のマイコプラズマはまずみないし、仮にマイコプラズマであっても点滴をせずに、内服だけで治療できています。今回は全例、点滴されていて、にもかかわらず咳は改善していなかったそうです。RSウィルスは、抗生剤の点滴は効果がありません。点滴も脱水が顕著な時以外は症状を改善させる効果は期待できません。この経過もRSウィルスとことごとく合致します。

熱が出て、ゼーゼーいうような強い咳が出れば親御さんは不安になります。点滴に通って良くなるものなら、いくらでも通うことでしょう。診断が間違ってマイコプラズマの抗生剤を繰り返し投与されても、医療費はかかります。敢えて言わせて頂きますが、医療費の無駄遣い以外の何物でもありません。

当院は、医院の持ち出しと分かってもRSウィルスを調べており、熱が持続し明らかに脱水があるケースのみ点滴をしているくらいです。今シーズン80人以上診ていて、点滴したのは数人です。私はわざと間違おうとはこれっぽっちも思いませんが、間違って診断した方が、医院の収益を上げることができるのは納得できません。

そもそもRSウィルスとマイコプラズマはメジャーな感染症なのですから、小児科医ならこれらを区別できるくらいの実力を持つべきでしょう。できなければ、実力に「?」マークが付いてしまいます。と同時に「園でマイコプラズマの子が3人いる」などとお母さんから言われることもありますが、この情報すら信憑性に「?」マークが付いてしまいます。

日頃からアレルギーの専門かどうかで提供できる医療レベルは変わってしまうと言い続けていますが、呼吸器感染でも同様なことが言えるようです。

厚生労働省は医療費の削減に躍起になっています。なるべくジェネリック薬品を使う方針を進めています。医師が診断精度を上げ、無駄な検査や治療を少なくすれば、そちらの方が医療費削減につながるはずです。国はそういう観点でものをみて欲しいと思っています。