私が学会に行くと、必ず立ち寄るところがあります。
書籍販売コーナーです。たいていの場合、学会会場に併設されており、新しい医学書を入手できるのです。
いつも言っている通り、開業医は孤独です。診断や治療が間違っていても、医師は一人しかいませんから、誰も間違っていると教えてくれません。ここが医療の難しさです。
日本の保険診療は、研修医が診ても、専門医が診ても医療費は同じです。医師が良心的に向上心を持って日々勉強し、診療していることが大前提なのです。よく話題に上げていますが、ぜんそくを“風邪”、アトピーを“乳児湿疹”、“乾燥肌”と間違って診断されても治療費はかかります。小児科医だから、アレルギーが皆詳しい訳ではないし、実際に“風邪”、“乳児湿疹”、“乾燥肌”と何に疑問も感じずに繰り返し診断されているケースも少なくありません。
小児科にはアレルギーの専門医がいて、専門医にかかることで症状が大幅に改善し、安定することは珍しくありません。まず、かかりつけで診てもらって、良くならない、いつも同じ薬が出ている、あまり説明してもらえないようなら専門医を訪ねる必要があることを理解しておかなければならないと思います。
4月末の学会に参加した際にも、書籍販売コーナーに寄ってきました。先に述べた通り、開業医は孤独なため、学会に参加して新しい知識を取り入れることは死活問題だし、医学書を読んで「この病気って今はこう治療するんだ」と記憶に留めておくことは大事なことです。
何気なく手にしたアトピー性皮膚炎の本があるのですが、筆者をみてビックリしました。知り合いの開業医の先生だったからです。以前もこの場でも触れましたが、食物負荷試験を3000件やっている先生でした。
よく開業医は軽い病気、総合病院は重い病気と使い分ける親御さんもいらっしゃると思います。開業医がレベル的にやや落ちると思っているかもしれませんが、それは医師によるのです。ハイレベルな医療をやっている開業の先生もいますし、そうでない先生もいるのも事実でしょう。最近は医学的根拠のある医療をしようということになっていますが、これはもちろん開業医にも当てはまります。開業医は1日に大勢の患者さんが受診されるため、診療の終わる頃にはヘトヘトになります。普通は、本を執筆する時間はなかなか取れないと思います。それでもやるには、相当の覚悟とエネルギーが必要でしょう。
実際に話をしてみると、温厚ですが、手間ひまを惜しまず、患者さんのために正しいことをやろうという気持ちが伝わってきます。こういう先生との会話は楽しいものです。アレルギーは医院の経営を優先しては、良い医療はできないと考えています。その点、こだわって「食物負荷試験」を多くやられている訳ですから、私と通じる部分も少なくないと思っています。更に本まで出されるとは「やっぱり本物は違うな」と思いました。
これからも学会でお会いする機会もあるでしょうから、充分刺激を頂きながら、私のひとつの目標として頑張っていこうと思っています。


