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「突然来なくなった」
2010年07月20日 更新

アトピー性皮膚炎については、医師の間に知識や技術の差があるのは事実でしょう。

湿疹が良くならないと当院に相談に来られる患者さんは多く、周囲の市や70キロ離れた街からも患者さんが受診されています。遠くから来れる患者さんは、もちろん既に小児科か皮膚科を受診されています。

既に診断がついていたり、治療が上手くいっていれば、わざわざ離れた当院までは受診しないはずです。不安なり、不満があるから当院を頼って来られるのだと思っています。

当院では、当たり前のことですが、話をよく聞くことから始まります。アトピー性皮膚炎と診断されていないことがほとんどです。何をアトピーと診断して、何を診断していないのだろうと思います。以前、某県庁所在地の皮膚科の先生から「うちは2歳までアトピーとは診断しない」と言われたという患者さんが当院を受診されましたが、アトピーのガイドラインには0歳や1歳でも10%程の有病率があります。2歳以降になって診断すると言うのは根拠のないことです。多分、どの患者さんにもそういう対応をされているのだろうと思います。

私のよく言うガイドラインは、アトピー性皮膚炎にももちろんあります。そのガイドラインは小児科医も皮膚科医も対象にしていますので、子どもに湿疹があれば、ガイドラインに則って診断すれば、診断がバラつくはずはないのです。一応、私自身はガイドラインを理解しているつもりですが、診断だけとっても、少なくとも当院を受診される患者さんには、相当バラつきがあります。ガイドラインを参考にしていないということになってしまいます。

アトピーで困っている患者さん達が、どこに行っても同じレベルの医療を受けられるようにと、日本の第一人者の先生方がガイドラインを作成しているにもかかわらず、結局アレルギーにこだわっている医師、つまりアレルギー専門医がガイドラインを充分理解して使用しているのであって、他はガイドラインを見ていないんではないかとしか思えないケースもあります。専門でない先生が利用しやすいようにと作成されたのが元々だと思うのです。

治療は、ほとんどの医療機関でステロイド軟膏を出されています。しかし、ステロイドの副作用を心配される親御さんは少なくありませんが、ほぼ全例キチンとした説明はなされていないようです。もちろん、当院を受診される患者さんに限ります。キチンと説明している先生のところから当院へは患者さんが流れてこないのだと思います。

先日、ステロイドを使うのが心配だという親御さんからメールが届きました。当初は食物アレルギーの相談だったようですが、ステロイドを使いたくないとおっしゃるのです。市外の方で近くの皮膚科に通っておられるそうです。

こういう質問は時々あります。これまで私は専門医として、こういう質問にもキチンとメールで返事を書いてきました。でも本来は、主治医が説明すべきことです。当院に来られる患者さんから「前かかっていたところでは、診察があっという間に終わって聞きたいことも聞けなかった」とよく言われます。だいたい皮膚科も小児科も共通しているのは、診察の速さでしょう。

薬の副作用など、そんな基本的なことも聞けなくて、「主治医と言っていいのだろう?」といつも思います。私は“主治医”とは、責任を持ってお子さんの健康を守る人(医師)だと認識しています。「(主治医を)薬をもらう人と勘違いしているのではないか?」と内心そう思ってしまいます。

アトピー性皮膚炎に関しても、慢性疾患なので良くなったり、悪くなったりを繰り返します。通常は何年もの付き合いになるはずです。ところが、アトピーは医師の間では「ドクターショッピング」と言うのですが、医療機関を転々と渡り歩く患者さんが少なくないのです。

医師からすれば、「(数回の受診で)突然来なくなった」と思うのでしょうが、来なくなった患者さんが悪いのでしょうか?。私も“完全”な治療ができる訳ではないのですが、あちこち転々としたのにそのまま当院に留まってくれる患者さんも少なくないと思っています。医療者側にも問題というか課題はあると思うのです。

本来なら慢性疾患のため、何度も通う“常連さん”となってもおかしくない患者さんが、数回の受診で来なくなるのはおかしいと思うべきことでしょう。説明や治療効果に不安や不満を持つなどの理由で、通わなくなることが多いのだと思います。

当院にも途中で来なくなった患者さんがいない訳ではありません。「今頃どうしているだろう?」、「皮膚の調子はどうだろう?」と時々心配になります。また「自分に何が足りなかったのかな?」と悩んだりします。そういう患者さんを出さないように努力する必要があると思うのです。

アトピー性皮膚炎を取り巻く環境も課題は多いと思われます。せっかくガイドラインというツールがあるのですから、まず医師がガイドラインを認知し、ただステロイドを出すだけでなく、なぜ使う必要があるのか?、どう使うのか?、副作用に関する説明などを明確にしてから処方すべきです。それができなければ、専門医に紹介すべきだと思っています。「突然来なくなった」のなら、自分の診療や対応に落ち度がなかったか反省する必要もあるのだろうと思っています。