いよいよ今日、新潟市で教育委員会が主導した食物アレルギーの研修会が開催されます。
私の恩師を迎え、盛大に開催されるはずです。私ももちろん駆けつけます。かかりつけの患者さんには申し訳ありませんが、新潟県の食物アレルギーのレベルアップのためなら休診もいとわない覚悟です。
いつも言っている通り、新潟県の食物アレルギーのレベルは全国的にも低いレベルと言って構わない状況です。本来、リーダーシップをとるべき小児科医の多くがアレルギー検査のみで食べる、食べられないの判断をしています。それを鵜呑みにした園や学校の先生方が、その通りに過剰な除去をすることにより、本来クラスメートと肩を並べて食べられるものを食べられなくしている可能性が高いのです。
何故こんなことが起きるのかと言えば、食物アレルギーはまだ不明な点が存在していることもあるでしょう。また食物アレルギーは最悪のケースでは死亡も有り得ます。口の周りの蕁麻疹程度ならそう恐くはないのですが、アナフィラキシーショックと言って意識がなくなり、手足が冷たくなるような重篤な状態に陥る可能性もあります。
医師は安易な指示をしてアナフィラキシーショックになれば、責任を問われます。「だったら厳しめに除去をしておけばいい」と考える気持ちも分かります。園や学校も何か不測の事態に陥っても責任を負えないので、リスクを避ける対応になることでしょう。医師と園•学校に共通しているのは、「よく知らないし、責任を負えない」ということでしょう。
以前、食物アレルギーの講演を聞いていて、目から鱗のデータを示されたことがあります。小児科医は「最悪死亡することもあるから、除去しておきなさい」とよく言います。そんなに食物アレルギーで死ぬものでしょうか?。私の記憶が確かなら、日本では年間で数人なのだそうです。食物アレルギーは乳幼児の5~10%にみられると言われていますので、患者数は膨大な数に上ります。そうだとすると、そんなに死ぬ病気ではないことが分かります。小児科医が慎重になり過ぎて、言葉は悪いですが、“脅している”という言い方も成立すると思います。やはり「よく知らないし、責任を負えない」ところがそうさせているのかもしれません。
私も食物アレルギーのことはよく分からない部分もあります。専門医がこんなことを言ってはいけないのかもしれませんが、知ったかぶりするつもりはありません。実際、最近は“食べて治す”という「経口減感作療法」という治療が注目されています。これまで「食べないこと」が唯一の対応だったのが、食べてそのアレルゲンに体を慣れさせようと対応が180度変わって来つつあるのです。
この方法だと、多少症状が出ても、立ち止まることはあれ、食べ続けて“無理矢理”慣れさせるのです。これまで「食べて症状が出るものは食べないのが大原則」だったので、専門医でもこれまで言っていたことが根底から崩されかねません。
この「経口減感作療法」はまだ研究段階ですので、開業医の立場ではこれまで通りの指導をするつもりです。機が熟したら、当院でもこの治療法に取り組みたいと思っています。
いずれにしても、間違いない事実は「アレルギー検査は信じ過ぎてはいけない」ということです。私が繰り返している「食物負荷試験」の重要性は変わりません。先程「よく分からない、責任が負えない」と言いましたが、私は食べられるかどうか、「よく分からない」から「食物負荷試験」をやっているのです。キチンとした必要最小限の除去をするための「責任が負えない」から「食物負荷試験」をやっています。
アレルギーを専門にしていないと、「臭いものにはふたをしろ」的な対応になっているように思います。「分からなければ、分かる医師に紹介する」のは患者さんを思えば、医師として当たり前だと思うのですが、それが実行されていないのです。私の印象では99%の小児科医が「食物負荷試験」をやっていないので、しない方が“多数派”なのです。
多数派なので「食物負荷試験」をしなくていいかと言えば、これは食物アレルギーのガイドラインに明記されていることです。私が専門医だからかもしれませんが、敢えて言えば、「食物負荷試験」のことを知っていて検査を行わない、紹介しないのは、医師としての資質を問われるくらいのことだと思います。私の地元でも紹介はまずありません。残念ながら、この現状はなかなか変えられないと思っています。
となると、作戦を変えるしかないのです。園•学校の先生方に「食物負荷試験」のことを知って頂くのがいいと思います。そうすれば、「これは専門医に診てもらった方がいいな」と思えば、園や学校経由で患者さんが受診して下さることにつながります。小児科医は内科医に比べると少なく、園医や校医は内科医のことが多いと思います。内科医で食物アレルギーに詳しい先生は、小児科医でもいないくらいなので、残念ながら大きな期待はできないでしょう。
園や学校の先生が、アレルギー検査の信用にし過ぎは良くなく、「食物負荷試験」という検査でシロクロをつける必要があることを学んで頂ければ、それだけで専門医にかかり、無駄な除去や制限をなくすことができる可能性が広がります。開業医間の連携はやはり期待できないのも事実でしょうから、園や学校の先生方に期待しています。
医師と園•学校の先生方が正しい知識を持つことによって、新潟県の食物アレルギーのレベルはアップすると思います。22日の研修会には大勢の関係者が集まると聞いています。恩師の力もお借りして、新潟が少しでも変われるようにと今回の研修会には大きな期待を寄せています。


