小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

総合的な診療
2010年07月26日 更新

日曜の夕方のテレビで、一人のドクターにスポットライトを当てた番組をやっていました。

千葉大学の大学病院に「総合診療部」という耳慣れない部門があるそうです。そこの教授の先生だったのですが、医療が細分化され、患者さんも病気になった場合にどこの科にいくか迷うこともあると思います。「総合診療部」とは、問診を丁寧に行い、病気の見立てをして、必要があれば専門分野の先生に紹介する方針の部門だそうです。道先案内をすると言ったら分かりやすいでしょうか?。そのためには、当然ながら広くさまざまな分野の知識を持っていなければなりません。

確かに、最初にある医師にかかった時に検査をして、治らなくて別の医院に行くとまた似たような検査をしたりして、患者さんにしてみれば二度手間です。その上、患者さんにしてみれば、どちらの医院からも検査費用を請求されることになります。私から言わせれば、というか患者さん自身もお気づきでしょうが、最初から専門医に紹介してもらえれば、最短距離で治療でき、症状が軽快するのも早道です。

番組の中では、ふらつきや腹痛などの症状で患者さんが受診されていました。問診も30分くらい丁寧に時間をかけてやっているそうです。腹痛の患者さんの診断は圧巻でした。他の医療機関でずっと良くならななかったのに、普通ならCTやMRIなどを調べるところでしょうが、きっと既に前医で調べてあったのでしょう。検査もせずに診察や問診から鎮痛剤の使い過ぎが原因と言い当てました。他の患者さんも、体のどの部分に異常があるか、豊富な経験をもとに診断していました。

この先生は目を輝かせながら、「膨大な医療費の抑制に一役買える」とおっしゃっていました。確かに、各病院を受診して検査を繰り返すよりは、最初から専門医に必要な検査をしてもらい、治療につなげればいい訳です。私も無駄を省いて、医療費は抑制すべきだと思います。

上越で初めて聞いたのですが、「点滴待ち」という言葉があって、点滴するベッドが一杯で、順番待ちをしなければならないのだそうです。当院は、上越で開院して3年近くになるのですが、そんな状況になったことは一度もありません。点滴は本当に脱水に陥っている時にやる処置だと思っています。そういう意味で、当院は医療費の抑制に少しは貢献していると自負しています。

番組の中で、この先生が「総合診療」に憧れたのは、アメリカの医療をみたことにあると言っていました。アメリカでは「家庭医」にまずかかって、その後に各「専門医」に紹介するというシステムを取っています。確かに日本よりは合理的だと思います。

頑張って知識を貯え、ある大学病院に設置された念願の総合診療部に務めることになったそうです。実は、あっけなくその病院を去らなければならなくなります。一人当たりに時間をかけたため、病院としての売り上げが伸びず、規模を徐々に縮小されたそうです。病院も不採算だと切り捨てざるを得なかったのでしょう。

それにしても、とてもおかしな話です。良心的に、利益を考えずに突っ走ると、理想とするような医療ができない国なのですから。だったら、利益を中心に考えた方が現実的に“良い医療”と言えなくもない訳です。そうなると、良心を押し殺して(?)おかしな医療をする医者が増えてしまうことでしょう。

開業医は、総合診療をする医師が望ましいのかもしれません。ただし、条件があります。千葉大の先生のように、診断を付けたら後は専門医に任せることです。私の不満は、地元ではすんなり紹介してくれる医師が多くないことです。ぜんそくやアトピー性皮膚炎が診断もつかずに、症状がよくなっていないケースが多い現状ですが、それをなくすのが私の目標です。

当院はアレルギーの患者さんの割合が極めて多いのも事実ですが、アレルギーしか診ていないかとそうではありません。元々は日本小児科学会認定の専門医ですから、「総合医」であり、「専門医」と言っていいでしょう。

アレルギーは慢性疾患ですが、急性疾患も真面目に診ています。上越はRSウィルスがほとんどおらず、マイコプラズマがとても多いことになっています。それが違うと言っているのは、プロとしての根拠があるのです。つまり、前医でマイコと診断された患者さんに採血をさせて頂いてもマイコの正式の抗体は上がっておらず、マイコでないのは明らかだと判断しています。

また、小児科のプロとしてのこだわりがあるからこそ、経営に有利とは分かっていても、必要のない点滴や検査はしていないつもりです。また、皮膚だと「皮膚科に行け」、鼻だと「耳鼻科に行け」と言われたという患者さんも多いのですが、自分の診れる範囲は診ているつもりです。「あそこはアレルギーしか診ていない」と言われる筋合いがないくらいことはしていると思います。病気がいくつか合併していたりすると、新患の患者さんに30分かけると言うことも、未だにやっています。

千葉大の先生の以前の勤務先のように、当院は小児科の開業医としては不採算かもしれません。一応生活はできているし、いまのやり方で総合的に、そして専門的に小児科らしく真面目に医療をやっていきたいと思っています。