先週の22日に開催された、新潟県教育委員会の主催した食物アレルギーの研修会は大成功でした。
私の恩師にお忙しい中、はるばる新潟までお越し頂き、子どものアレルギーについてお話し頂きました。
ここ最近よく書いていたように、学校現場で児童、生徒がアナフィラキシーショックを起こし、そのお子さんが「エピペン」というショック改善薬を処方されていた場合、学校の先生が「エピペン」を注射する必要が出てきたため、特に養護教諭の先生は「是非とも知っておきたい」ということで、当日の会場は参加者で溢れかえっていました。
当日の講演は、まず文部科学省のお役人さんと言ったらいいのでしょうか、担当の方が食物アレルギーの対応、エピペンについてお話し下さいました。医師の話は聞き慣れていますが、文部科学省の立場からのお話でしたので、興味深く聞いていました。
その後、休憩時間があり、恩師共々控え室に戻りました。そこで、先程講演された文部科学省の担当の方と名刺交換を行ったのですが、私はその研修会には講師として呼ばれた訳でもなく、恩師をこの会にお呼びした“仕掛人”でしたので、自分をどう自己紹介すべきかと迷いました。恩師は日本のアレルギーの代表を務められた方なので、もちろん、文部科学省の方もご存知です。
ふと思いついたのが「先生の、できない元部下でして…」という紹介でした。それを聞いていた恩師が「それは謙遜ではなく、本当だ」とこちらを振り返り、おっしゃいました(涙)。確かに、有能な部下はたくさんいるでしょうから、私なんて一介の小児科医に過ぎません。「きついなー」と思いつつも、文部科学省の方と「なぜ学校生活管理指導表が広まらないか?」について私の意見を述べさせて頂きました。
小児科医は、子どもの病気のすべてを広く知っている必要があります。どの病院でも開業医でも受診する子ども達の一番多い病気は「感染症」で、二番目が「アレルギー」で間違いないでしょう。確かに優秀な医師は大勢います。しかし、どういうことかぜんそくを“風邪”、アトピー性皮膚炎を“乳児湿疹”と診断している小児科医はかなり多いのです。
当院に来られる患者さんは、既に他の小児科で診察を受けているお子さんが多いのですが、患者さんはその医師を信用して言われた通りに真面目に薬を飲んだり、塗ったりしています。過去の治療経過を聞いただけで、親御さんの必死さが伝わってきます。にもかかわらず、アレルギーの分野は過小診断、過小治療が繰り返されています。
自分で言うのも何ですが、“できない”私の方がよほど的確に治療していると自負しています。先日も触れましたが、1ヶ月も咳が続いているにもかかわらず、“風邪”と診断され“風邪薬”を処方されている患者さんの当院ではよくある話です。申し訳ないですが、常識的に考えて「風邪で咳が1ヶ月も続くでしょうか?」。
当院はさまざまな地域から「治療しても良くならない」とアレルギーの患者さんが受診されますが、その地元で一番人気の小児科にかかっていても、“風邪”や“乳児湿疹”と診断されているケースがあります。つまり「人気があるから」、「評判がいいから」というのはアレルギーに関してはあまり当てにならない気がします。
医療は“できる”、“できない”の問題ではないと思っています。当院に来られる患者さんは「こんなに説明してもらったのは初めてだ」とか「もっと早く来ればよかった」とおっしゃって下さいます。“3分診療”で同じ薬を出し続けられてきた患者さんのことを思うと、気の毒に思うし、「オレが何とかしなきゃ」と思います。やはり医療に限りませんが、情熱なり、良心がポイントになるのかなと思っています。
昨日も「医者を替える」ことについての話をしましたが、アレルギーに力を入れている小児科医とそうでない医師がいます。また私のよく言うガイドラインには「1ヶ月程度治療しても良くならなければ、専門医に紹介する」と書いてありますが、まず守られていません。
親御さん達には、アレルギーの医療について現実を知り、よく考えて頂きたいと思っています。結局、お子さんを守るためには、親御さんも知識を持たなければならないのです。


