小児科 すこやかアレルギークリニック

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2010年07月30日 更新

児童、生徒のアレルギーについての講演が迫ってきました。

お門違いかもしれませんが、学校検尿で異常を指摘されたお子さんの話も加えようかと考えています。

養護の先生の話を聞くと、血尿タンパク尿でひっかかると無症候性血尿、無症候性タンパク尿と診断されてくるケースがほとんどだそうです。中には慢性腎炎も混じっており、本来なら腎臓の専門医に紹介しなければいけないケースも存在するはずです。開業医であっても、一歩踏み込めば診断を確定できることを知らせる必要があると思うからです。

以前も書いたのですが、タンパク尿の中学生が、早朝尿ではタンパクが出ないのに、来院時尿ではタンパクが陽性でした。慢性腎炎があって、たまたまた受診時にタンパクが出なかっただけかもしれませんが、「起立性タンパク尿」も疑わなければなりません。

これは成長期のお子さんの背骨が腎臓にいく血管を圧迫するがために、尿にタンパクが漏れ出てしまう病態で、腎臓は傷んでいないので“腎臓病”ではないのです。放っておいてもいいタンパク尿です。診断を確定するには、背中をのけぞらせて、より背骨で腎臓の血管を圧迫させ、一時的にタンパク尿が増加し、その後に圧迫を解除して、尿中のタンパクが消失することを証明すればいいのです。その検査を行い、「腎臓病でなかったので、安心して下さい」と親御さんに伝えることができました。

手間がかかっても、キチンと診断し親御さんに安心を与えることができるのは、医師の醍醐味でもあります。私が力を入れている「食物負荷試験」も同じです。開業医は時間や手間のかかることを避ける傾向がありますが、それではいけないと思っています。

これも先日触れましたが、高校生で皮膚科に行ってもアトピー性皮膚炎が良くならないので、治療することを諦めていた患者さんが「治療したい」と希望を胸に当院を受診されました。

治療していなかったので、立派な湿疹がありましたが、診察しながら「これなら治療できる」と考えていました。アトピーのお子さんを診察していると、必ずと言っていい程確認していることがあります。ぜんそくもないかどうかです。気の毒なことに、アトピーが重症だとぜんそくを合併していることが少なくないのです。

「ぜんそくと言われたことがありますか?」という聞き方をしてはいけません。専門でない先生が、ぜんそくなのに“気管支炎”などと診断していることもあるからです。「ゼーゼーしたことがありますか?」などと聞くと、「以前はよくしていました」とぜんそくを疑わせる症状が聞けたりします。

中学、高校生くらいになると気管が太くなっているので、かなりゼーゼーしにくくなっています。昨日も触れた「運動誘発ぜんそく」といって、運動した時に本性が現れることがあります。先の患者さんに聞いてみると、「激しい運動をした時に咳き込み、苦しくなることがある」のだそうです。ここで「ビビビッ」とこなくてはなりません。

アトピーの治療に来ている訳ですが、合併しているかもしれないぜんそくにも触れるのが、アレルギーの“プロ”でしょう。これは皮膚科にかかれば、絶対に聞かれることはないことですし、普通の内科、小児科でも触れられることはないでしょう。

ただ、診察の際にぜんそく症状が出ている訳ではないので、ぜんそくの状態かどうかを見極める必要があります。その際に有効なのが「呼吸機能検査」です。肺機能検査とも呼ばれています。先の患者さんにこの検査をしてみたら、正常とは言えない結果でした。ぜんそくが治っていない可能性が高いのです。アトピーの治療に来られたので、もちろんより良い状態にしたいと思いますが、ぜんそくも経過をみさせて頂くことになりました。

先程も言いましたが、開業医は手間のかかることを嫌います。アトピーの塗り薬をササッと出せば終わりだったかもしれませんが、ぜんそくを疑い、呼吸機能検査を行い、異常を指摘できました。手間がかかってもその患者さんに“プロ”としてベストのことをしてあげたいと思えば、ここまでやらなければならないと思っています。専門医にかかっていなければ、見落とされて、今後も時折ぜんそく症状が出て、それを仕方ないものと諦めざるを得なかったことでしょう。

親御さんにしてみれば、見落としなくキチンと診てくれる医師にかかりたいと思うと思うのです。となると橋渡し役である養護の先生にも、アレルギー専門医の技術がそうでない先生よりも長けていることを知って頂かなければなりません。今回の講演で、そういう努力もしなければならないと思っています。