当院は、正しい医療をやりたいと思っています。
0歳の時に卵がわずかに含まれたベビーフードを食べて、蕁麻疹が出た1歳過ぎのお子さんが食物アレルギーの相談に受診されました。
過去の食生活を聞いてみると、卵のどのレベルまで食べられるかどうかがだいたい分かります。よく「完全除去」を指示される患者さんがいますが、親御さんはお子さんのことになると必死になりますので、本当に卵を微量でも食べないように小児科医からのいいつけを守っています。
それが毎食、しかも何ヶ月、何年も続くとなると話は変わってきます。私からみれば、もっと患者さんの気持ちになって欲しいと思いますし、親身になればなる程、そんな指示は安易に出せないはずだと思っています。
確かに、そこまで除去しなければならないお子さんがいるのも確かです。しかし、私の経験上、そこまで除去しなければならないお子さんは、そんなに多くないのです。専門医は“不必要”な除去はなくす努力をしています。そうでないと、かなりオーバーな除去を強いられることになります。
この患者さんは、卵に強いアレルギー症状があると考えられたので、「食物負荷試験」を行いました。私も不安だったので、固ゆで卵黄の負荷を行うことにしました。“卵白”でなく、“卵黄”です。
卵黄とは言っても、ゆであがって分離しても、卵白と接しているため、微量の卵白が付着しています。この微量の卵白が大丈夫であるか?とも言えるのです。実際に負荷試験を行い、徐々に食べ進めてみると、口の周りに発赤がでて、広がっていきます。結局、負荷試験は続行不可能と判断し、卵は完全除去にせざるを得ないと思いました。先に述べた通り、親御さんに“完全”除去を指導するのは極力避けたいところでしたが、ここまでやって確認しているので、やむを得ないでしょう。
除去が必要だと説明をしていると、親御さんから予防接種の質問がありました。卵アレルギーが問題になるのは、麻疹ワクチン(実際にはMRワクチン)とインフルエンザワクチンでしょう。卵が完全除去なので、MRワクチンは慎重にやった方がいいと話していると、よその小児科さんでやったとのこと。結構大胆なことをやるなとビックリしました。
確かにMRワクチンにはほんのわずかの卵成分が含まれているようですが、一般的にはさほど気にするものではないことも、卵アレルギーがあるが故に、接種を一度も拒んだことのない私自身知っているつもりです。
卵白のアレルギー検査がクラス6、ないしは微量で即時型反応を起こしたことのある場合、医師や親御さんがアナフィラキシーを気にする場合は、ワクチンの原液を10倍に薄めて、腕に皮内注射を行い、腫れ具合で接種をするかどうかを判断することになっているはずです。テストもせずに接種したそうなので、「何も起きずに良かったね」としか言えませんでした(汗)。
巷には卵アレルギーの赤ちゃんは少なくなく、適正かどうかは分かりませんが“完全”除去を指示されているお子さんをそれなりの頻度で見受けます。1歳を過ぎるとMRワクチンの接種が推奨されますが、慎重になり過ぎても良くないですが、万が一のことを考え、大胆になり過ぎるのも心配です。
中には相当心配されている親御さんもいらっしゃり、卵アレルギーのお子さんに適切な接種が勧められるよう希望したいと思っています。


