小児科 すこやかアレルギークリニック

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2010年08月17日 更新

アレルギーは慢性の病気であり、患者さんから“逃げて”はいけません。

重症であればある程、患者さんと向かい合い、診断や治療に責任を持たなければなりません。食物依存性運動誘発アナフィラキシーという重い病態なら、つまらないミスは許されませんし、かなりの知識と経験が求められます。

ある中学生のお子さんが、給食を食べて顔が赤くなるということを数回繰り返していたそうです。ある日、起こして欲しくないようなアナフィラキシーショックを起こします。給食で麺類を食べて、昼休みに遊んだ後に、蕁麻疹が出て全身に広がり、呕吐を繰り返し、呼吸困難もみられました。救急車で学校医に搬送されましたが、その時には意識はなく、血圧もかなり低くなっていました。読んでいて背筋が寒くなったと思いますが、実際に起きたことなのです。

食事の後に運動し、生命の危機的なショック状態に陥る病気が食物依存性運動誘発アナフィラキシーです。小麦が原因食品として多いと言われており、この患者さんも、先に述べた給食を食べて顔が赤くなっていた時も麺類を食べた後でした。

この病気は当初は内科医の学校医の先生が対応していましたが、アレルギー専門医が対応すべき危険な病気です。すぐに紹介されれば良かったのですが、当院には親御さんの希望で受診されました。

原因食品として最も頻度の高い小麦が原因と考えられました。エネルギーの有り余っているような中学生が意識をなくしてしまうような恐ろしい病気です。次もまた起こす可能性があります。もっとも大事なのは、救命です。小麦を除去するだけでは完璧な対応とは言えません。こういう時ほどエピペンを持つべきなのです。

親御さんにエピペンを持つべきことを説明し、了承を得ました。基本は本人、家族がエピペンを使用するのですが、最近は学校の先生も救命のために必要時に対応が許されています。

私がやったことは、その子の通う学校の養護教諭に当院まで来て頂き、エピペンの使用法も含めて対応を説明しました。当院の休みの水曜の午後や週末にもショック状態に陥るかもしれません。エピペンがあっても、一旦改善がみられても、薬が切れて悪化することもあります。エピペン投与後は病院受診が義務づけられています。総合病院に紹介状を書いて、緊急時の対応をお願いしています。

食物アレルギーの基本はアレルゲンを食べないことです。この病気の場合は、「アレルゲン(小麦)を食べたら運動しない」、「食べなければ運動していい」というのが対処法です。かなり危険な状態になったので、本人はもちろん、周囲も小麦を摂らなくても、昼の運動は控えていたそうです。昼休みは教室でやりたい運動まで避けていたのです。

ここで何かあっても責任が取れないといって、きつめの指示を出す医師もいるでしょうが、この病気は私もそれなりに対処した経験がありますので、「運動してもいいよ」と言い、患者さんもうれしそうな表情を見せました。

先日、お聞きしたところ、今では活発さを取り戻し、好きな柔道の地区大会で入賞したそうです。だから小児科医は止められないんですよね。