小児科 すこやかアレルギークリニック

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経口減感作療法
2010年08月27日 更新

26日のNHKで「経口減感作療法」を放送していたそうですね。私は観ていませんでしたが、診療していて患者さんから教えられて知りました。

食物アレルギーの報道では、だいたい相模原病院の先生が出てくることが多いのですが、今回は神奈川県立こども医療センターでの実際の様子が取材されていたようです。放送では、卵アレルギーのお子さんが、短期間でスクランブルエッグを食べていたとのこと。観ていた親御さんは、お子さんが卵アレルギーがあり、羨ましそうに放送の様子を話して下さいました。

この場でも時々触れていますが、「経口減感作療法」とはいま非常に注目されている食物アレルギーの画期的治療法です。食物アレルギーの対応の基本は、食べて症状の出るものは除去する、ということです。

ところが、食べて体をその食品になかば強制的に慣れさせてしまう方法と言ったらいいでしょうか?。もともとスギ花粉症の治療として、減感作療法という治療がありました。スギ花粉のエキスを薄い濃度から注射して、それを継続して徐々に濃度を上げていく方法です。確か7割くらいの有効率だったと思います。

スギ花粉症でも悩まされている患者さんは大人でも多く、「そんなに有効な治療法があるの?」ってお思いかもしれませんが、この治療法には課題があります。最初は1週間に1回程度の受診が必要であること、効果発現までに半年くらいはかかること、3年以上の継続治療が必要であることなどから、なかなか普及しないのです。

いずれにしても、この治療をそのまま食物アレルギーに応用したものとも言えるでしょう。この「経口減感作療法」の不思議であるところは、食べる量をゆっくり増やしていく方法と急速に増やす方法があるのですが、現在、各専門病院で行われている研究では、急速に増やすやり方の方が成績がいいようです。急速とは、期間にして2週間ほどを指します。

一応お断りしておきますが、まだ研究段階であり、患者さんによってはアナフィラキシーを起こすこともあります。最初は入院という形で治療をスタートしますので、今後、治療法として確立してきた場合、開業医でもできるのかどうかもまだ分かりません。ただ、画期的な方法であり、夢のような治療法であることには間違いないと思っています。

実は、この治療法は数年前から世界的に脚光を浴びてきていて、私も以前から注目していました。小児科医の間で少しずつ、知れ渡るにつれ、アレルギー学会でも「経口減感作療法」を扱う会場は立ち見が出るほどの盛況となっていました。残念ながらそんな状況でも、新潟県からの参加者はほとんど見かけませんが…。

どれくらいの量をどのように増やしていくかは、本物の専門家でも統一した見解ができていないにもかかわらず、「最近は食べて慣れさせるんだ」と聞きかじったような内容を話す医師もいるようですが、患者さんをぬか喜びさせるようなことは言わない方がいいと思っています。

いずれにしても、マスコミでも取り上げられるようになり、患者さんの間でも知名度が上がり、その治療法に期待を抱いている親御さんも増えてきているように思います。新潟県は、食物アレルギーの専門医が極めて少なく、いま本格的に研究がさかんに行われているのは日本有数の専門施設のみになります。新潟県の患者さんはすぐには恩恵に預かれないというのも事実だと思います。

10月2日(土)に当院のこだわりのイベント「すこやか健康フェア」を開催します。これは全国的にもレベルの高くない新潟県の食物アレルギー医療のレベルアップを図るために、当院開院の9月を記念して一昨年からスタートし、今年で3回目を迎えるイベントです。

実は、今年の2月くらいから、誰にどういう話をして頂こうか画策していました。そこで頭に浮かんだのが「経口減感作療法」のことです。患者さん大注目のこの夢のような治療法が、現時点でどうなっているかを知って頂くことは有意義だと思っています。ということで、冒頭に述べた、いま最もこの治療でよいデータを出している神奈川県立こども医療センターから講師をお招きすることにしています。とても良い話が聞けることと思います。

当日は、当院で勉強会として私もアトピー性皮膚炎と食物アレルギーについて話をさせて頂きますが、この「経口減感作療法」についての特別講演は上越市民会館の中ホールにて14時から行います。詳細はこの場でまたお知らせしていきますが、是非ともご期待頂きたいと思っています。