開業医より、総合病院の方が医療レベルが高いと思う方が多いと思いますが、本当にそうでしょうか?。
一般的には、そういうことになるでしょう。例えば、大きめの手術が必要なら、まず開業医なら無理でしょう。医師が複数必要ですし、高価な医療機器が必要かもしれません。MRIが診断に不可欠なら、これを持っている開業医はかなり限られるでしょうから、やはり総合病院のお世話にならなければならないでしょう。
ただし、アレルギーは高度な機械が必要なことはまずなく、手術もありません。ぜんそくなら咳、アトピー性皮膚炎なら湿疹が慢性に経過をして、診断基準を満たせば、診断はできます。治療も私がいつも言うガイドラインがありますので、症状がイマイチならそれに則って治療を強化すれば、症状は安定するはずです。
総合病院に医師が5人いたとします。一人の医師が「1」という知識を持っていると、その病院のスタッフが総力を挙げると知識が「5」になるかというと、そうにはなりません。各々が基本的な知識を持っているとすると、どの医師もその知識は共通していますので、例えば「1.2」くらいに留まるのかもしれません。
例えば、食物アレルギーの診断には「食物負荷試験」が必要不可欠なはずですが、5人とも「食物負荷試験」の知識を持っていなければ、“三人よれば文殊の知恵”とはならないはずです。「食物負荷試験」をやり慣れた一人の知識や経験には、5人力を合わせてもかなわないことになります。
アレルギー専門医の知識は、専門でない先生よりは豊富ですし、より興味を持って学会などで勉強もしていますから、3倍あるとすれば、知識は「3」になります。「1.2」と「3」ならその差は歴然です。他の分野でも似たようなことが言えるのかもしれませんが、アレルギーは、様々な専門的知識を持った一人の開業医の方が、医師の数の多い総合病院よりもハイレベルな医療が行い得ることがご理解頂けると思います。
新潟県における食物アレルギーの対応は、全国的にもレベルは低いと言わざるを得ません。最近は、食物アレルギーの関心が県内で少しずつ高まっている気がします。5月に長岡市で開催されたプレアレルギー大学において食物アレルギーの基調講演を依頼されたのですが、それをきっかけに「是非、うちで講演をお願いします」と講演依頼がありました。たまたま9月1日、8日と2週連続と予定が入っていて、昨日も講演をこなしてきました。
以前は、特にぜんそくは重い発作を繰り返すし、夜に呼吸困難になることが多いので、病院で診てもらうべきという考えがありました。治療の進歩とともに、全国有数の専門病院でも、ぜんそく発作で入院する患者さんが激減するという事態になっています。と言うことは、開業医でも重いぜんそく患者さんを診ることが可能になったということです。
アトピー性皮膚炎も、ごく一部重症なお子さんもいて、最近当院で治療しはじめた赤ちゃんも以前は某大学病院で入院加療をしていました。その場合は、重い皮膚症状を改善させるには入院する必要がありますが、その後は外来でも対応できるはずです。
食物アレルギーも、「食物負荷試験」なしに適正な診療はできませんが、適確な知識と技術、そしてこれが一番大事かもしれませんが“やる気”があれば「食物負荷試験」は外来でも可能です。逆に、開業医がやらない(できない)検査だと言うのは言い訳にしか過ぎないと思います。
こう見てくると、アレルギーは子どもの間でも増加していますし、開業医の果たす役割は大きくなっていると思います。
開業医は、あまり講演活動をやらず、一般的には、総合病院の医師がやることが多いのかもしれませんが、アレルギーの場合は、確かな知識と経験のある医師が経験を含めて話すのが伝わりやすいと思うのです。開業医でも何ら問題はないと思います。開業医の方が機動力はあるでしょうから、開業医も自分の診療所だけの医療でなく、どんどん外に出ていって、地域の医療レベルを向上させる努力をした方がいいと思うのです。
これは全国的な傾向ですが、勤務医の小児科の先生が不足しているため、負担が増加しており、疲弊しているという話を聞いている方も少なくないと思っています。開業医は増えているはずです。そうなると、開業医の頑張りが新潟の子どものアレルギーのレベルアップには欠かせないと思っています。
私の知識や技術を新潟県のために役立てたいと思っていますので、講演の謝礼は欲しいとも思いませんし、体が空いていればどこにでも飛んでいくつもりです。予定が合えば3週連続、4週連続でも全く構いません。声をかけて頂ければと思っています。


