先日、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーのお子さんが私のもとを受診されました。
この春に、県内の某市から上越市に引っ越してこられたそうです。それまではステロイド軟膏を使って治療されていました。上越に引っ越して来てから、近くの小児科に通いはじめたそうですが、アトピーの症状がイマイチだったため、その先生は「○○先生のところにまた行って診てもらったら?」と言ったそうです。
○○先生とは、以前にかかっていた医院の先生で、上越からは100キロくらい離れています。当院にも100キロ以上離れた街から受診して下さるお子さんはいますが、通院に片道100キロはさすがに遠いですよね?。
一般的にステロイド軟膏の使い方は、一般的に小児科医よりは圧倒的に皮膚科医、小児科のアレルギー専門医が使い慣れています。確かに気心の知れた先生に診てもらうことは安心感があるでしょうが、これから冬を迎えることを考えると、雪道100キロだと運転好きの私でも気が引けます。「専門医へ紹介してくれればいいのに…」と思ってしまいます。地元の患者さんは、なるべくは地元で対応すべきだと思っています。
食物アレルギーが絡むと、申し訳ないですが皮膚科の先生のはお手上げでしょう。県内には食物アレルギーに詳しい、昨日も言ったように「食物負荷試験」をやって正しく診断している皮膚科の先生はいないと思います。アトピーは皮膚科、食物アレルギーは小児科でも良いですが、両方に対応できる小児科のアレルギー専門医が最も適任だと思うのです。私がこだわってやっていることはご存知なのに、まだ信用されていないのかもしれません。
親御さんからアトピーと食物アレルギーのことをかなり時間をかけて問診しました。私はいつも言っている通り、「我流の治療をすべきではない」と言っています。ともするとガイドラインから外れた、おかしな対応になってしまうことがあるからです。そのためにはガイドラインを熟知し、対応し慣れていなければならないと思います。
アトピーについては、何故良くならないか?、どうしたら良くなるか?、食物アレルギーの対応について、つい熱く語ってしまいました。
敢えて言いますが、軽症しか診ていない医師は軽症しか対応できないはずです。重症を診慣れていると軽症から重症まで対応できると思います。例えば、軽症の治療をして良くなれば軽症ですが、良くならなければひと回り重症である可能性があり、治療を強化しないといけないからです。やはり重症の治療にも精通している必要があります。
ステロイド軟膏の副作用に関する説明もあまり受けたこともなかったようで、この説明は外せません。当院は他の医療機関がサジを投げたような重症な患者さんも診ています。治療開始当初は、ある程度はステロイドを使用することになりますが、患者さんや小児科の先生が考えるより副作用は出るものではありません。実際に治療し慣れていれば、その辺もキチンと説明できると思います。
話は食物アレルギーの方に移行しても、しゃべりたいことは山程ありました。アレルギー検査が思いのほか当てにならないこと、食物負荷試験で白黒をつける必要があること、負荷試験を実際にやっている医師の強みですが、検査の値が高くてもかなりの割合で食べても症状は出ないことも力説することができました。ちょうど外来が空いている時間帯でしたので、1時間ほど話し込んでしまいました(汗)。
何故そうしたかと言えば、変な言い方になりますが、「前の先生のところに戻りたくさせなくする」ためです。私もアトピーや食物アレルギーは県内ではかなりこだわって勉強しているつもりです。地元で、治療に専念して頂きたいと思ったのです。
ただし、ご自分の大事なお子さんを守るためです。充分説明した上で、あとはどこで治療を受けたいかは親御さんが決めるべきだと思います。これは外来でよく言うことなのですが、「2人の小児科医の話を聞いて初めて、医療の差を見極められる」のです。信頼できる方を選ぶくらいのことはしても構わないと思うのです。最終的には、私のもとでの治療を希望されたので、あとは責任を持って症状を改善させるのみです。
これは噂で聞いただけなのですが、下越の方の患者さんがアトピーで名古屋まで行っているお子さんがいると聞きました。それを聞いた時は、とてもショックでした。地元の患者さんは、地元の医者が守ってあげるべきなのです。県内の医療機関にかかっていたでしょうが、地元の医療に失望しなければ、そんな遠くには行かないと思うのです。
名古屋までは300から400キロはありますから、遠くない訳はないのですが、親御さんにとっては“近い”のかもしれません。いや、お子さんのために「“近い”と思わざるを得ない」状況なのだと思います。実際にその患者さんの皮膚の状態がどうかは分かりませんが、「当院にかかってくれていれば」という思いはあります。
このケースでも、やはりなるべく地元の患者さんは地元で対応すべきだと思っています。新潟県の医師はプライドを持って、県内の患者さんを守る努力をすべきなのだと考えています。


