小児科 すこやかアレルギークリニック

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まだまだ、です
2010年09月27日 更新

当院は、普段別の小児科にかかっていても、困り果てると受診される患者さんが少なくありません。

県外の別の小児科でアレルギー専門の先生が、似たような状況を嘆いており、ホームページで「もっとかかりつけ医を信頼すべきでは?」と書かれていました。確かそうかもしれませんが、致し方ない部分もあるでしょう。逆の立場なら、心の底では信頼されていないようで私なら嫌ですね。

以前も食物アレルギーで相談にきており、当院へは久々の受診でした。今回の相談はピーナッツアレルギーについてでした。

最近、時々蕁麻疹が出るということで、近医を受診されたそうです。いくつか心当たりの食品でアレルギー検査をしたそうですが、その結果、ピーナッツアレルギーが“判明”したのだそうです。具体的には、アレルギー検査がクラス3だったのです。

いつも言っている通り、食物アレルギーで大事なことは、食べてアレルギー症状が起きるかが最大のポイントです。食べて2時間以内に起こすのが、「即時型反応」とされる典型的な症状です。

よくよく話を聞いてみると、数時間経ってから蕁麻疹が出ることが多いようです。極めつけは、父がピーナッツバターの容器のふたを開け、その部屋にお子さんが入っただけで、耳が腫れてくるのだそうです。もし本当なら、ビックリするほどの重症なピーナッツアレルギーと言えるでしょう。

世界丸見え仰天ニュースという番組で、ピーナッツアレルギーのお子さんが、ピクニックに公園に来て、椅子に座って間もなくアナフィラキシー症状を起こしたという事例が出されていました。原因は、少し前に別の家族がその椅子でピーナッツを食べていたのだろうと推定されていました。親御さんの話を聞いて、この話を思い出しました。

問診の中で、親御さんにこれまでのピーナッツの摂取状況を聞きましたが、先のピーナッツバターの容器を開けた時の話を聞いて、とても違和感を覚えました。なぜなら、3日に1回くらいの割合でピーナッツバターをつけたパンを食べているからです。

医師から「ピーナッツが原因でした」と自信満々に言われれば、そうだと思うでしょう。ただ、時々ピーナッツバターを食べているのを、どうすべきなのかを知りたかったそうです。でも、本当はそれをかかりつけ医に聞くべきなんだろうと思うんですが…。

私は「ピーナッツアレルギーなんだろうか?」と思います。素人の方でも「おかしい」って思いますよね?。確かにピーナッツがクラス3だったのは、「どうしてかな」と思います。

新潟県では、「食物負荷試験」をやっている小児科はほとんどないし、ましてやアメリカではピーナッツが原因のアナフィラキシーショックで死亡者が続出していると耳にします。食物アレルギーにある程度理解のある医師であっても、「念のため止めておこうか」と指導するところだろうと思います。

“過剰”に除去をしておけば、何も起きません。指導すれば責任が生じますので、何も起きなければ、医師は責任を負う必要はありません。ただ、好きで3日に1度の割合で食べていたお子さんはどうなるでしょうか?。好きなものを、我慢させられ続けることになります。もし本当は食べられるのなら、“誤診”であり、誤った指導ということになります。

厳しいことを言うようですが、ガンなどの誤診は大きな問題になりますが、細かい“誤診”が問題にならないから、場合によっては医師がより努力を怠る結果につながるのかもしれないと考えています。食物アレルギーはその典型ではないかと思うのです。

確かに、ガンは見逃して欲しくありません。しかし、小児科医はガンを診る機会はあまりないので、小児に高頻度にみる食物アレルギーも“食べさせる努力”はすべきであり、分からない、できない時は紹介状を書くことはすべきなのではないでしょうか?。

結局、「食物負荷試験」をやることになったのですが、私も安易に負荷試験を引き受けた訳ではありません。もちろん勝算はあります。プリックテストをやったのです。これも専門医しかやらないでしょうが、皮膚にピーナッツのエキスを垂らし、小針で傷つけて、その傷からエキスが染み込み、アレルギーがあれば大きく腫れるという検査です。それをやったら、腫れませんでした。ピーナッツが原因でない可能性が高まったのです。

こうなったら、お子さんに無駄な除去をさせず、好きなものを食べさせ続けるために、ピーナッツを食べさせてみるしかないのです。新潟県ではトップクラスに「食物負荷試験」をやっていますが、私も食べさせてみなければ、何とも言えません。今回の検査のついては、アレルギー専門医の意地もありますが、その前にひとりの小児科医としての“良心”の方が強いと感じています。

先日も食物アレルギーの誤った判断の例を挙げました。蕁麻疹が出て、アレルギー検査をしたらミルクがクラス2の陽性で、3~4時間前に食べた食パンの中の乳成分が原因と判断された例です。しかし、この子は頻繁に牛乳を飲んでいるのです。申し訳ないですが、ミルクアレルギーであるはずはないのです。食物アレルギーの最低限の知識があれば、こんなことはあまり起きないと思うのです。

アレルギー検査の結果のみに固執した判断が、いまだに行われています。食物アレルギーを扱うのは小児科医のみではないのでしょうが、もうちょっと関心を持って頂きたいと思っています。嫌なことを書きますが、紹介状を持たずに当院を受診されたので、また同じようなケースで似たような判断をされると思います。苦手な分野は自分がどこまでできて、どこからできないのかを把握していないと、意思とは裏腹に患者さんに迷惑をかけてしまうのです。

来週に迫りましたが「すこやか健康フェア」を開催します。食物アレルギーの正しい知識を広めるのが狙いです。新潟は全国でも食物アレルギーのレベルが高くないので、私の力は大したことはないとは分かっていても、何もせずにはいられないのです。まずは地元からと思って、3年が経ちましたが、本当にまだまだと言わざるを得ません。

だからこそ、それがまた診療や講演など啓発活動をやるエネルギーになります。焦らず、腐らず地道に頑張っていかなければならないと思っています。