小児科 すこやかアレルギークリニック

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なぜ使ってくれないの
2010年10月08日 更新

当院は、上越市内もしくは市外からもぜんそくやアトピー性皮膚炎、食物アレルギーの患者さんが受診されます。

先日も触れましたが、アトピー性皮膚炎があり、顔が一番顕著で、その他にも広がっており、なかなか良くならないお子さんがいました。これまでかかっていたある開業医の先生に、親御さんが「他に薬はないのですか?」と聞いてみたところ、いきなりすごい剣幕で「信用できないのか?」と“逆ギレ”されたそうです。

これは“逆ギレ”と言わざるを得ないでしょう。何故なら、いつも同じ薬が処方されていたからです。症状が良くなっていないのに、同じ薬を出し続けるのは、言い方は悪いですが「良くなって欲しくない」と思われても仕方がないと思うのです。親御さんの言うことの方が正論だと思うのです。

その一件がきっかけとなり、医者を代えようという気持ちも出てきたようです。そこで当院を次のかかりつけと指定して下さいました。

最近はお薬手帳があるので、前医がどう治療していたかが分かります。私もアトピーはかなり重症で、他の医院の先生がお手上げの患者さんでも何とか対応してきました。それなりに“心得”はあるつもりです。前の先生がどう考えて治療してきたかも、だいたい分かります。

全力を尽くしているにもかかわらず、治療法に文句を言われれば腹が立つのも分かります。逆ギレもしたくなるでしょう。しかし、申し訳ないのですが、全力を出しているとは感じられませんでした。いや、私なら「あそこは○○、ここは△△を使って…」と治療プランがすぐに浮かんできました。

この患者さんは、顔、特に額に苔癬化といって、象の皮膚のように赤く固くなった病変がありました。ある程度、長い時間かけて悪くなった時にこういう状態になることが多いと思います。私のよく言うガイドラインでは、ステロイド軟膏で皮膚の炎症を叩くことを推奨しています。

ただし、顔は皮膚が薄く、ステロイド軟膏を長期に渡って使用することは避けなければなりません。そう言うケースにおいて、ガイドラインではプロトピック軟膏を使用を推奨しています。

プロトピックは、ステロイドの欠点を補う特徴があるからです。それは、ステロイドは薬の粒子が細かく、治療を続けて皮膚の状態が改善してきても、皮膚から入り込むのに対し、プロトピックは薬の粒が適度の大きさのため、悪いところからは入るけれど、良くなってくると入らないのです。ということは、必要なところに効いてくれると言ってもいいでしょう。

ただ、掻き傷やジクジクしているところに使ってはいけないと言われていますので、まずはステロイドを使い、短期的に良くしてあげて、プロトピックに移行すると双方のおいしいところ取りができると言われています。

まず、弱いステロイドで額の苔癬化した病変の治療を開始させて頂きました。それなりに改善したところで、プロトピックに切り替えました。それで先日、再診して頂いたのですが、果たして効果は!?。

結果は、まさに作戦通り!。久々に“赤ら顔”から脱却できました。パッと見てもアトピーかどうかも分からないくらいです。本人もそうですが、親御さんも嬉しそうでした。と同時に、もうひとつの考えが頭に浮かんだそうです。「どうしてもっと早く使ってくれなかったのだろう?」という考えです。

私は初めて患者さんの皮膚症状を見た時から、この作戦で行こうと思っていました。前の先生も思いつかなかったはずはないと思うのですが、何故なのかはよく分かりません。皮肉っぽい言い方になってしまいますが、逆ギレしてもらって良かったのかもしれません。治療法が変わったがために、実際に皮膚の状態が良くなっている訳ですから。

他の部分も、広範囲にアトピーの症状が重かったのですが、明らかに改善しているようです。それも実は、別に難しいことはないのです。“良くならない薬”を塗り続けても良くならないのは当たり前で、“良くなる薬”を選択すればいいだけです。

ぜんそくもそうですし、アトピー性皮膚炎にも同じことが言えるのだろうと思いますが、通院して良くならなくても、今回の話のように諦めないで頂きたいのです。私が診れば何でも良くできると言っているのではありません。私の知識にも限界はあると思います。ただ、医師が替わることで治療方針も変わり、それが良くなるきっかけになることもあることを知っておいて頂きたいと思っています。