以前、阪神で活躍して、大リーグに挑戦していたピッチャーの藪投手が久々日本球界に復帰しました。
10数年前に若手として頭角を現した時に、当時私が勤務していた病院の上司が「医者じゃなくて良かったね。医者なら『ヤブ先生~』なんて言われていたんだろうな」と冗談まじりに言っていたことを思い出しました。
つい先日、検察官が自分の手柄をあげるために、証拠品のフロッピーディスクを書き換える、という事件がありました。もしかしたら、実は無罪なのに、検察のウソが原因で罪を着せられた人が他にもいるのでしょうか?。今の日本は「ここまで落ちてしまったのか?」とさえ思ってしまいます。
これもネットニュースに書かれていたことなのですが、客を食い物にする弁護士がいるということが書かれていました。読んでみると、世の中には多重債務で苦しんでいる人がいるとそうです。詳しい数字は忘れてしまいましたが、100万~200万の返済に困っていて、弁護士に相談することで返済額はかなり軽減してみたものの、成功報酬として100万を請求されたなんて話もあるそうです。本来、先生と呼ばれるような立場の職業の人間がおかしなことをやることが目立ちます。
私の仕事はどうかというと、他の職種を責めることはできないでしょう。
この場でも触れたことがありますが、奈良の病院で、不必要なカテーテル検査を行い、診療報酬をだまし取った医師が逮捕されました。肝臓の腫瘍の手術経験も大してないのに手術を強行して、大量出血に陥れ死亡させたこともあったそうです。また東京の眼科医が近視の矯正手術であるレーシック手術を格安を歌い、患者を集めてずさんな手術を繰り返し、角膜炎などの感染症を多発させた事件もありました。
また、整形外科医が痛み止めの点滴を作り置きしていて、点滴内に菌が混入してしまい、それを点滴された患者さんが敗血症と言って、重症な感染症で亡くなったという事件がありました。畑違いのために、整形外科のことはよく分かりませんが、痛み止めとして内服薬を出すよりは、点滴をやれば利益が上がるため、1日に何十人も点滴をしていたのでしょう。もしかしたら何十人もやることがノルマになっていたのかもしれません。
多分、これらは氷山の一角だと思います。今の日本の保険診療が、患者さんを一人当たりに検査や点滴を多く行い、それを何十人、何百人と大勢診れば診るほど、収入が上がります。逆に診断が間違った方が、患者さんは何度も受診してくれて経営が潤うなんておかしなことが起きます。医師が良心的に医療をしていると言うことが大前提のシステムになっているのですが、中には利益を上げるためにルール違反スレスレのことをやっている医師もいるのだろうと思います。
ところで、私は自分のことをヤブ医者だと思っています。分からないことが沢山あります。小児科は子どもの病気を全般に診ることが求められます。内科は、呼吸器内科、循環器内科、神経内科、腎臓内科、内分泌内科など細分化しています。小児科も実は細分化しており、全てをそつなくこなす小児科医は存在しません。
自分の自信のない分野で、太刀打ちできなければ、迷わず紹介状を書いています。自分がヤブ医者であることを自覚していた方が、良い医療ができてしまうのだろうと考えています。
私の専門のアレルギーについても問題は多いのです。当院は上越市内はもとより、市外から受診される患者さんが多いのですが、いつも言っている通り、ぜんそくなのに“風邪”、アトピー性皮膚炎なのに“乳児湿疹”と診断され、過小治療で良くならない患者さんはとても多いのです。以前も触れましたが、その数や、3年前の開院以来、1000人や2000人ではききません。これをお読みの方はどうお思いでしょうか?。
医療は診断が付かなければ、適切な治療なんてできるはずがないのです。ほとんどの患者さんは「医師が間違ったことをするはずがない」と考えていると思います。ぜんそくを風邪、アトピーを乳児湿疹と間違えることを「誤診」という言葉を使っていいのか分かりませんが、私は敢えて使いたいと思います。同様に、食物アレルギーで検査だけで食べられる食べられないの判断をするのも「誤診」とすべきでしょう。
先日、県内の病院でガンを見逃し、数年後に死亡してしまった患者さんの遺族と示談が成立したというニュースがありました。治療していても治ったかどうか判断が難しいケースもあるでしょうが、今はこんな時代になったのです。医師は自分の“診断”に大きな責任を持たなければならないのでしょう。
子どものアレルギーに関しては、「誤診」しても責任を負っていないのが現状です。当院でぜんそくやアトピーと診断された患者さんのほとんどがそのまま当院に通院されますので、医師自身は自分の診断が正しくなかったことも把握できていないことがほとんどでしょう。
私もアレルギーはまだまだ修行中の身ですが、学会に参加したりしながら、それなりに知識や技術は身に付けてきたつもりです。新潟県内だけに限ったことではないでしょうが、アレルギーに関しては専門医と専門でない先生の間には驚くほどの知識の差があると思います。それを認識していない医師があまりにも多いと思います。アレルギーを志す者として、それはまず認識して頂きたいことです。
これは私にも言えることでしょうが、常に自分が“ヤブ”ではないかと感じながら、真面目に誠意を持って診療することが大事なのかなと思っています。


