小児科 すこやかアレルギークリニック

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残念ながら、実例
2010年10月14日 更新

インフルエンザの流行期に急に高熱が出て、親御さんとしてはインフルエンザと確信して小児科を受診しても「インフルエンザではなかった」と言われることがあります。

インフルエンザの検査キットが病院や開業医で広く使用されており、それを元にインフルエンザかどうかの判断をしています。中には、熱が出てすぐに病院を受診したがために、まだ反応が出ずに、翌日改めて検査をしてもらい「やっぱりインフルンザでした」と言われることもあります。

この検査法も100%間違いがない訳ではないですが、かなりの確率で正しいと思われ、ほとんどの医師が使用するほど普及しているし、患者さんにも分かりやすいと思います。同様に、溶連菌、アデノウィルス、ロタウィルス、RSウィルスなども調べることができます。

一方、感染症でない場合は、こういう検査キットがないので、医師の腕の差が出やすいのです。つまり、日頃から勉強して、知ってる知らないということになってしまいます。昨日も言ったように、“ヤブ”か“ヤブじゃない”かの分かれ道とも言えます。

先日、咳が2ヶ月止まらないことを理由に当院を受診された患者さんがいました。キチンと小児科にかかっていたそうです。最初は風邪と診断されていたようなのですが、途中で新たに薬が加わりました。なかなか咳が止まらず、親御さんは「ぜんそくじゃないですか?」と聞いてみたところ、「ぜんそくじゃありません!」と言われたそうです。かれこれ2ヶ月咳が止まらないため、医者を替える決意をしました。それで当院を頼って来られたそうです。

過去の症状の流れを聞いてみると、小児ぜんそくの「ガイドライン」に照らし合わせてみても、ぜんそくと診断される状態でした。こんなことは当院では日常茶飯事なのですが、お薬手帳を見て驚きました。ぜんそくじゃないと言い切っておきながら、シングレアというぜんそくの治療薬が使われていたからです。

お薬手帳の出された薬の効能まで見ている方は少ないと思います。親御さんは医師を信用し切っていましたから、お薬手帳のシングレアの薬の脇に「ぜんそくの治療薬です」と書かれており、それを指さすと非常に驚いていました。敢えて言いますが、患者さんに対する裏切り行為をすることを私は許せません。あざむいていると言われても、反論はできないはずです。

何度通っても、1~2分の診察時間で、親御さんがおっしゃるには「大して話も聞かずに薬が出ていた」そうです。親御さんは、地元では“評判”のいい先生なので、短時間でも自分のお子さんのことをよく分かってくれているものだと思っていました。それが2ヶ月経っても改善せず、「良くなるまで飲み続けて下さい」と言われていただけだったので、医者を替える決意をされたのだそうです。

この状況ではかばうこともできず、私は「ガイドライン」を示し、ぜんそくと診断されることを説明しました。アレルギーが専門でない先生の場合、ぜんそくと診断されていないケースも少なくありません。「ぜんそくじゃないですか?」の問いに違うと言っていた訳ですから、その先生の知識を超えていたのだろうと思います。

違うなら違う根拠を示すべきだったのですが、何でも分かる小児科医なんていない訳ですから、分からなければ「分からない」と正直に言うのが、医師の良心ではないでしょうか?。患者さんの期待に応えるためには、専門医に相談することが一番だったのだろうと思います。

“こっそり”とぜんそくの薬が出されていた訳ですが、保険診療上、シングレアという薬を処方した場合、カルテには「ぜんそく」と診断したと書かないと保険では通りません。多分、カルテの病名には「ぜんそく」と書かれていると思います。

ぜんそくと診断されるのに、ぜんそくの薬を使っても良くならなかったことへの私の考察も説明しました。その対策もしましたので、あとは当院の治療で良くなるのを待つだけです。

申し訳ないですが、医療機関を替えて初めて“分かる”ことってあると思います。今回のケースでは、「医師の診断能力」、「説明をしてくれるかどうか」、「理解するまで説明に時間をかけてくれるかどうか」などです。

よく「あちこちと医者を替えるべきではない」と言われますが、「おかしいと思ったら医者を替えるべき」というのも真実だろうと思います。いつも言っているように、症状が良くなっていないにもかかわらず、同じ薬を出し続けるのは、医者のマナー違反です。分からなければ「分からない」と言ってくれる医師が極めて少ないことも大きな課題として挙げられると思います。

時間をかけて説明し、納得して頂けたと思います。診察室を出る時に親御さんはこんなことをおっしゃいました。「この2ヶ月を返して欲しい」と。患者さんは「医師は正しいことをしてくれるもの」と大いに期待して受診しますが、全ての医師が本当に親身になって適確な診断、適切な治療をしている訳ではないと思えてなりません。この際、医院のかかり方と併せて、「正しい医療って何だろうか」、「子どもを守るって何だろうか」と考えて頂きたいと思っています。