小児科 すこやかアレルギークリニック

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温度差
2011年01月07日 更新

正月休みが終わり、いつもの日々に戻りました。

休み前と違い、胃腸炎や溶連菌の患者さんがどっと来られる状況ではありません。よく言われるように、感染症は園や学校でもらうことが多いので、休みの間は感染症がさほど拡大しないことを実感しています。

そして、市外からの受診も、多分他の医院さんに比べて多いのだと思いますが、増えてきました。

先日、N市から受診された患者さんがいらっしゃいました。地元の小児科を回ったのですが、言われることが医師によって異なるため、何がなんだか分からなくなったのだそうです。

赤ちゃんの顔や体に湿疹が出たため、ある小児科に行ったら診断名は告げられず、キンダベートというステロイド軟膏が出されたそうです。治りが今一歩だったため、今度は病院の小児科を受診したそうです。そうしたら顔にはステロイドを使わない方がいいとコンベックというステロイドではない軟膏が出たそうです。

確かにステロイド軟膏を使うと使わないという点で双方の言い分というか、治療方針が異なっています。ただ共通している点があります。診断名が告げられていないという点です。

地元でもよく経験するのですが「診断もつけずに、よく治療に進めるな」と思います。偉そうに言うつもりはないのですが、この先生方がどこまで分かってキンダベートなり、コンベックという薬を処方しているのかということです。

私のよく言うように、今は各病気についてガイドラインがありますので、医師によって診断名が違ったり、治療方針が異なることはなくなっているはずです。つまり、今回のように患者さんが「分からなくなった」と混乱することはなくなるはずなのです。

このガイドラインに沿えば、今回の患者さんはアトピー性皮膚炎の診断基準は満たさないけれど、後に診断される可能性が高いと言えます。アトピー性皮膚炎の場合、ステロイド軟膏を上手に使うことが推奨されています。つまり、病院の先生の言っていることの方が“根拠のないこと”になります。よく開業医は軽い病気しか診られず、病院はハイレベルなことをやっていると思われがちですが、決してそうではないことを象徴しているのかもしれません。

ただ、最初の先生も「すぐに薬を止めるように」と指導しており、これはガイドラインとは異なるものであり、この指導も正しいとは言えないと思っています。

これらの対応をみて、予想するに、アトピー性皮膚炎とは思っていない、もしくはそうかもしれないと思っているが、自信がないのだと思います。症状が良くならないのに、そのままダラダラと様子をみられているケースがとても多いのが乳幼児の湿疹にはよく見られることです。

生まれてまもない赤ちゃんに治りづらい湿疹があれば、親御さんは不安になって当然です。医師も自信がなければ、専門医に相談してくれればいいのですが、ほとんどそういったことは行われていません。つまり、患者さん側と医師の間に相当の“温度差”があるのだと思います。患者さんは「何とかして欲しい」と考え、医師は「これくらいなら様子を見ていれば…」という感じなんだと思います。

皮膚症状が良くならなければ、良くなるように考えるのが医師の役目のはずです。いつも言っているように、診断名をうやむやにしているのが、そもそものつまづきの始まりではないかと思うのです。診断をつける、ガイドラインに沿って治療方針を立て、良くならなければ治療を見直す、このようにすれば良くならないことはまずなくなるのではないかと思っています。自信がなければ、紹介すればその先生にとっても勉強になるはずです。

この“温度差”がなくならない限り、湿疹で困る患者さんは減らないのだろうと思っています。