当院は、普通の小児科と患者さんの構成がかなり異なると思います。
つまり、ほとんどの小児科が風邪や吐き下しなどの急性疾患を対象としていますが、当院はぜんそくやアトピー性皮膚炎といった慢性疾患の患者さんが多くを占めています。
慢性疾患は、放っておいても良くならないことがほとんどです。ぜんそくの場合、発症しやすい年齢は平均1歳であり、治る場合は12~13歳のことが多いようです。つまり、典型例の場合は10年以上の経過があります。
小児ぜんそくは成人ぜんそくと違い、治る可能性があります。そりゃ、親御さんはお子さんがぜんそくを持ってしまった場合、大人になってもゼーゼー、ヒューヒュー言って日常生活に支障が出ては困ります。何とか子どものうちに治しておきたいと願う訳です。
重症な患者さん程、大人に持ち越す可能性が高まります。ぜんそくは、ちょっと調子がいいと「もう治ってしまったもの」と勘違いされることの多い病気です。親御さんと小児科医が二人三脚で、時にはねじを巻き直し、発作を予防し続ける姿勢が大切だと思っています。
また、食物アレルギーの場合は、いつも言っているように「食物負荷試験」を行い、食べられる食べられないの判断をすべきと言われています。アレルギー検査だけですべてが判断できるようなものではないのです。
卵アレルギーなら卵焼き1個、ミルクアレルギーなら牛乳200ml摂取できることが目標になります。その目標に達するまでは、食事の制限が必要になります。「食物負荷試験」をやっている小児科は極めて少ないのと、食物アレルギーの専門知識を持った医師も医師もほとんどいないため、一生懸命診療していると当然ながら、親御さんとの信頼関係も出てきます。
ぜんそくや食物アレルギーは慢性疾患のため、同じ医師が同じ目線で経過を追うのがベストです。私自身もぜんそくや食物アレルギーが卒業できる日を夢見て、最後まで見届けるつもりで診療しているつもりです。
そんな時に一番困るのが引っ越しです。患者さんと信頼関係を持って診療しているところで、「実は来月引っ越しが決まりまして…」と言われると、正直ガッカリしてしまいます。ただ、これは仕方のないことです。
いつも困り、悩むのが受け皿探しです。引っ越し先で、私の思いを引き継いで下さる医師を探さなければなりません。例えば、私のやってきた治療から大幅に方針が変わってしまったりしたら、患者さんが混乱します。私もガイドラインに沿って治療しているつもりですので、医師が変わっても治療方針が大きく変わることはないはずです。
これは実話ですが、ぜんそくが重く、フルタイドという吸入ステロイド薬を県外の専門医から処方されていた患者さんが上越に引っ越してきて、ある小児科医に行った途端「こんな薬は必要ない」と言われ、中止されてしまいました。せっかく落ち着きかけていたぜんそくがまた悪化し、ゼーゼーを繰り返すようになりました。要は継続すべき治療を、勝手な判断で中断させられ、再悪化してしまったのです。
アレルギーの専門でない先生にかかると、こんなことになってしまいます。私が手塩にかけて行ってきた治療が、いい加減な判断で中止されてしまっては、腹も立ちますし、何より患者さんにご迷惑をかけてしまいます。
また、「食物負荷試験」をやっている小児科医は極めて少ないため、転居先で「アレルギー検査が高いから、強いアレルギー症状を起こしたくなかったら、食べてはいけない」なんて指導されたら、患者さんが混乱します。転居先で「食物負荷試験」をやっている小児科医を探す必要があります。
引っ越し先では私のやってきた医療のレベルを下げたくありません。私と同等、あわよくば更にレベルの高い医療をやって下さる小児科医を探したいと思います。自分で言うのも何ですが、そういった先生を見つけるのが難しい場合もあります。多少離れていても、良い医療をやってくれそうな先生を探して初めて、最後の責任を果たしたことになると思っています。
先日、食物アレルギーで診ていた患者さんが急に北海道に引っ越すことになったそうです。一般的に新潟も含め、北海道、東北は食物アレルギーの専門医が極めて少ないのが現状です。学会に参加していると、各地の専門医の先生と知り合いになれたりします。何とか知っている先生に紹介状を書きました。でも多くの場合、紹介先で苦労したりしています。
これは逆のケースですが、上越にアレルギーの患者さんが引っ越してこられる場合は、当院はまだまだ知名度が低いので、名のある小児科に行ってから、患者さんの判断で当院に移ってこられるケースが多いようです。今後は当院に紹介状を書いてもらえるように学会活動をしたり、日々努力をしなければならないと思っています。


