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ヒブ、肺炎球菌ワクチン再開…
2011年04月08日 更新

これは全国的な傾向なようですが、子ども達を「細菌性髄膜炎」という死亡や後遺症を引き起こし得る重い細菌感染症から守るためのワクチン無料化の動きが一気に高まっていました。

それで、どっと全国の小児科に接種希望者が集まり、接種が増加したのですが、ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの同時接種をし、不幸にも接種の翌日から3日以内に亡くなる子ども達が7件報告されたことを受け、一時中断されていました。

日本の有識者が集まり、この死亡とワクチンとの因果関係はないであろうとアナウンスされ、1ヶ月経たずして再開になりました。個人的には、同時接種が原因だと言い切る根拠を出すのも難しいですが、その因果関係を「完全にない」と言い切るのは難しいだろうと思っていたため、再開にはもう少し時間がかかるだろうと思っていました。

私の推測ですが、全国的にこれらの同時接種が急増したため、たまたまというか「乳幼児突然死症候群」が接種後に起こったものを、同時接種が引き起こしたように見えたのではないかと考えています。

確かに、ヒブワクチンは全国で既に150万人が接種をしており、そのうちのほとんどの子ども達に何も起きていない訳ですから、危険なワクチンとは言えないと思っていますし、それは肺炎球菌ワクチンも同様だと思っています。確か10年前からこれらの予防接種を積極的に行っているアメリカでは、細菌性髄膜炎の発生が100分の1に減ったという報告もあり、安易に中断して欲しくないとは思います。

ただ、ちょっと気になるのは、親御さんに“同意”を得れば同時接種はしてよい、とされていることです。昨日も触れたように、実際はそんなことはないのですが、医師から「マイコプラズマは点滴をしないと治らない」となかば脅されれば、普通は「分かりました」と言ってしまいます。「同意」というのは医師の言い方でどうにでもなると思っています。

今回の件も、ある程度のいきさつを知らないと、“同時接種”が悪いのかも?と評判が立った状況から、大して時間も経っていないのに「再開です」と言われても、多くの親御さんが、内心は「本当に大丈夫なの?」という不安を感じていらっしゃると思うのです。

当院はアレルギーにこだわっており、時間をかけて説明していますが、多くの患者さんが「こんなに説明してもらったことはない」と言って下さいます。とにかく、地元では小児科に行っても、「あっという間に診察が終わり、何も聞けない」、「診察室で目もあわせてもらえない」と口を揃えておっしゃいます。

今回のことに関しても、中断された経緯や、再開の根拠など患者さんにじっくり説明する医師は多くはないと思っています。「大丈夫だから、打ちなさい」なんて言われても、「はい、分かりました」と素直に言えない方も多いのではないかと思います。

私は、診察室で余計なことを話したりします。余計なことを話すことは大切だと思っているからです。

地デジのテレビを推奨する「地デジカ」の鹿のぬいぐるみが診察室にあるので、それを指差し、「お宅、地デジ化済んでますか?」とCMになぞらえて、質問したりしています。ちなみに今のところ、質問した家庭の100%が地デジ化が済んでいます(笑)。

ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの再開についても、関心は高く、院内掲示を見てご存知の方も多いのですが、親御さんに同時接種についての意識調査をしています。

そうすると、中には「打ちたくない」という親御さんもいらっしゃいますし、接種の重要性の認識は進んでいるらしく「片方ずつなら」という意見が多いようです。

当院も中止の前は同時接種をやっていました。お子さんにしてみれば2カ所、もしくは3カ所一度に接種をされることは災難だと思うのですが、親御さんにしてみれば2回もしくは3回予防接種に受診しなければいけないのが、一気に済ませれれば楽なはずです。その方が予防接種の接種率が上がることも期待されます。同時接種のメリットも理解しているつもりです。

今のところ、親御さんの心情を配慮すると、効率は悪くても、予防接種の中断と再開のいきさつを説明した上で、同時接種を希望されるか確認をして接種を進めていくしかなさそうです。事前のリサーチでは、ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンは片方ずつと言うことになると思います。

当院もかかりつけの患者さんがかなり増えてきていますので、予防接種の希望者もそれにつれて増加しています。子どもの健康を守るのが小児科医の役目ですから、予防接種も力を入れなければなりません。こういうことがあると現場が混乱するのですが、国の下した方針のもと、接種を進めていきたいと思っています。