アレルギーで困っている子ども達は、アレルギーの頻度がとても高いため、大勢います。
当院は、この場でいろいろな情報を発信しているつもりです。今回もそうですが、患者さんにとって知っておくべき新たな動きがあれば、その情報を提供しようと思っています。
もうひとつは、例えば「食物負荷試験」をして無駄な除去をしないようにガイドラインで推奨しているにもかかわらず、負荷試験の存在を知っていても、患者さんが知らされていないケースがとても多いのです。中には、自院の患者を減らさないようにと、自分の都合を優先しているとしか思えない方針の医師も見受けられ、そういった患者さんのためにも正しい情報を発信したいと思っています。
ただ、アレルギーに限らず、感染症であってもちょっと理解し難い治療をされているケースもあります。例えば「点滴をしないと治らない」と言って外来点滴を繰り返している医院さんもありますが、私の考える“点滴をしないと治らない”ケースは、重症感染症で入院治療が必要な場合でしょう。外来点滴は必要最小限にすべきであり、なるべく必要のないであろう点滴を避けるのも小児科医の役目と考えており、地元の医療レベルアップのためにも、他の分野でも情報発信は続けていこうと思っています。
さて、今回はこの春に発表された「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」についてお話ししたいと思っています。
これは、3年ほど前に発表された、小学、中学、高校のアレルギー疾患の頻度が高いことから始められた「学校生活管理指導表」の幼稚園、保育園バージョンで、要はアレルギーの診断書と思って頂いて結構です。
この学校生活管理指導表、文部科学省が推奨していた訳ですが、私の聞く所によると教育委員会や医師会で積極的に動いてくれるところが少なく、全国的になかなか広まっていないのが現実です。3年経って、徐々に記載を求められる機会が増えてきました。
学校生活管理指導表があまり認知されていないのですから、この3月下旬に発表された「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」をご存知ない方がほとんどでしょう。しかし、学校生活管理指導表のように徐々に広まっていくことが予想されます。
内容は、厚生労働省のホームページからPDFファイルとしてダウンドロードできます。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/hoiku.html
学校生活管理指導表と同じく、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎の5つの病気について記入します。ただし、かなり専門的なので、小児科・アレルギー科を標榜する先生であっても、記載は難しいと思います。ハッキリ言って、すらすら書けるのは、アレルギー専門医くらいかもしれません。
当院を初診されたぜんそく患者さんの治療をみていると、まずぜんそくと診断されていないことも多く、逆に最近は過剰治療も目にします。ぜんそくにもガイドラインがあり、そのガイドラインをもとに治療法を選択すれば、すべての医師の治療が一致するはずです。そうでないところをみると、たまに発作を起こす「間欠型」、月に1度は具合悪くなる「軽症持続型」、それ以上に重い「中等症持続型」や「重症持続型」といった重症度の判断が、適切に行われているとは言いづらいのが現状でしょう。
同様に、アトピー性皮膚炎も“乾燥肌”などと診断されていることもかなり多いため、今回の診断書は適正に記入されるのだろうかと心配しています。
先に述べた学校生活管理指導表は、県庁所在地の新潟市では、昨年から食物アレルギーの部分のに運用が始まったと聞いています。ぜんそくやアトピーは学校での生活に支障がなければ提出する必要がないのですが、食物アレルギーに関しては、給食がある限り、避けて通れません。
今回の「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」で一番大変なのは、食物アレルギーの部分でしょう。特に新潟は食物アレルギーの専門医が極めて少ないので、適切に書ける小児科医は極めて少ないと言わざるを得ません。
私は小児アレルギー学会や食物アレルギー研究会で話題になっていたので知っていたのですが、ガイドラインを作る側も相当大変だったようです。なぜなら、低年齢のお子さんは、ピーナッツやエビなどをまだ食べていないことも多く、アレルギーがあるかどうかも分からないことも多いからです。
医療は、医学的根拠が重視されます。卵料理を食べて蕁麻疹が出れば、卵料理を除去する根拠になりますが、また食べたことのないピーナッツなどはどう判断すべきか、困ってしまいます。今回の診断書には「除去根拠」を記載することになっています。
また、学校生活管理指導表の時に話題になったエピペンも、今回注目せざるを得ません。どういうことかと言いますと、食物アレルギーの重症のお子さんは、食べてまもなくショック状態に陥ることもあります。これは「アナフィラキシーショック」と言い、生命の危機的な状況です。専門医であれば、そういう患者さんにエピペンという、ショック改善薬を処方します。使い方としては、太腿に筋肉注射という形で投与をします。
もし学校で誤配膳により、アレルゲンを食べてしまい、お子さんがアナフィラキシーショックに陥ったとします。その子がエピペンを持っていて、救急車や親御さんの到着に時間がかかる場合、その状況を救えるのは学校の先生しかいません。その状況下で、学校の先生はエピペンを打っていいことになっています。こういう注射は、医療行為に当たるはずですが、人命救助の点で例外的に認められているのです。
昨年、新潟県と新潟市の教育委員会の主催した学校生活管理指導表の講習会をやった際に、私の恩師にわざわざ福岡から来て頂いたのですが、会場は超満員でした。養護教諭の先生の間でも、関心が高いことが伺えます。
実は、今回の「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」でも、園でアナフィラキシーショックを起こした場合に、園の先生がエピペンを打つことも想定しています。今回ご紹介した厚生労働省のホームページにこのガイドラインに関するQ&Aもダウンロードできますが、エピペン使用についてもいざという時のために研修を受けておく必要があると記載されています。
先日も、市内の直江津地区の小学校の先生から食物アレルギーの講演をして欲しいと依頼がありました。この地区は私しか専門医がいないため、ふたつ返事でお引き受けしました。
幼稚園、保育園の先生方も食物アレルギーの認識を深めておく必要があります。私は体が空いている限り、出向いて話をしたいと思っています。食物負荷試験が普及してない新潟県を変えるために、講演料は気にしなくても結構ですので、気軽に声をかけて頂ければと思っています。


