当院は、“結構忙しい開業医”を目指しています。
知名度を上げ、患者を増やして、それで忙しいなんて医院さんは他にもあるでしょう。それも大事なことでしょうが、私の場合は、それだけではつまらないと感じています。
毎日、自分を気に入ってくれる患者さんが、医院を受診されることを繰り返していると、いつしか“裸の王様”になってしまうことを恐れています。誰も「あなたの診断や治療は間違っている」とは指摘してくれません。学会でいろいろと新しい話を聞いて勉強してくるのは勿論のこと、自らにデューティを科し、それを果たすという刺激も必要だろうと思っています。
その一つが10年連続で続けている学会発表であり、県内の患者さんに各種アレルギーの「ガイドライン」を知って頂くように啓発活動を続けていくことでもあります。
この土曜は、当院は市外からの受診も多く、平日の午前中よりも受診は多いのですが、診療が終わってすぐにインフルエンザの予防接種も本格的に始まりました。夕方からは市の夜間休日診療の仕事がありました。21時まででしたので、12時間働き詰めでした。
それから学会準備と、あと、かかりつけの患者さんを守るために、中越の某市の園に行き、エピペンを預かってもらえるための説明の準備も並行してやらなければなりません。先週に続き、日曜は休みとは言え、出掛ける余裕もありませんでした(涙)。
先週末にこの場で、学校だけでなく、幼稚園や保育園でもエピペンを預かり、最悪の事態の際はエピペンを打つことも必要だと書きました。当院が開業医だからということもあるのかもしれませんが、アナフィラキシーショックという致死的な状態で患者さんが搬送されてきたことは、幸いと言いますか、まだありません。
負荷試験でアナフィラキシーを起こす患者さんは時折いらっしゃいます。少量から負荷しているせいもあってか、一気に悪くなるケースは遭遇していません。エピペンに関する文献も探して読んでいますが、アナフィラキシーを起こした保護者に対するアンケート調査によると、アナフィラキシーショックを起こすまでの時間は、平均18.59分だそうです。これをみると、かなり早く、躊躇しているヒマはないことになります。
特に重症な食物アレルギーのお子さんでは、エピペンの処置がなければ、かなり重い状態で病院に搬送されることになってしまいます。これだけ短時間だと、親御さんに連絡しても、20分以内に学校にたどり着けるケースはかなり稀でしょう。郊外だと、救急車も都会のように数分では到着しないと思われます。
新潟県は面積が広いので、なるべく園の先生方にご理解とご協力を頂かなければ、食物アレルギーの子ども達を守れないことになります。現時点で、園の先生方にエピペンのことを話しても、「医療行為だから」と打ったり、預かることも拒まれるケースが圧倒的に多いと思われます。
これまで「すこやか健康フェア」という食物アレルギーの啓発イベントを手作りで行なってきましたが、患者さんの方向のみを向いていました。患者さんが正しい知識を持てば、正しい方向に導けると考えていたからです。
ただ、それが間違いだったことに気付きました。小学校や中学校はエピペンの認識が広まっていますが、幼稚園や保育園は、保育所におけるアレルギー対応ガイドラインが発表されたのが今年の3月だったこともあり、認知は相当遅れているものと思われます。
行政のへの働きかけも必要だと思い知らされました。「すこやか健康フェア」も対象を広げていかなければならないと思っています。これまでも「こうすれば、患者さんのためになるのではないか」と思ったら、思うがままに突っ走ってきたつもりですが、“軌道修正”が必要のようです。ただ、対象が加わるだけで、方向性は変わってはいませんので、これまで通り進んでいくだけだと思っています。


