小児科 すこやかアレルギークリニック

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ひとつの目標
2011年12月15日 更新

私は小児科医ですので、子どものために一生懸命する人が好きです。

裏を返せば、一生懸命でない大人は嫌いです。私は子どものアレルギーに力を入れています。というか、入れざるを得ないとも言えます。

食物アレルギーでは、食べられる、食べられないの判断は「食物負荷試験」でしか言えないのですが、どんなに有名で、患者さんが集まる小児科でも、「食物負荷試験」のことを知っていて、それを患者さんに言わない医師は、私にとっては評価できない医師になってしまいます。ベストのことを望む親御さんの期待を裏切る結果になるからです。

先日、嬉しいことがありました。

今年の3月に厚生労働省が幼稚園、保育園でもいざと言う時にためにエピペンを園で預かり、最悪のケースで注射するのもやむを得ないということを「保育所におけるアレルギーガイドライン」で言っています。それはこの場でもよく触れています。

学校では、養護の先生が「そうしなければいけないこと」と考え、多くの先生方がエピペンを預かり、打ち方を勉強して下さっています。ただ、園ではとなると話は別で、「医療行為だから」と預かることさえ断るケースがほとんどだったと思います。

私がエピペンを処方している患者さんは上越市なみならず、周囲の市町村に及びますが、親御さんを通じて園に話をしてもらっても、すんなり引き受けて下さるところはまずありませんでした。

一番の要因は「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」が知れ渡っていないことかなと思っています。「こういうガイドラインがあるんですよ」と言っても、「市全体の問題だから」とかわされたりしていました。

私も、患者さんには食物アレルギーが軽くないから、エピペンを処方している訳で、園では誤配膳、誤食も起こり得ます。最悪のケースで、エピペンを打てるような体制を整えて頂きたいと思っています。

行政側も「そろそろやらないといけないのだろうな」と思って下さっていたようで、親御さんからの希望の声をもとに、エピペンを預かる方針を決めて頂いた市もいくつか出てきました。

先日、某市のこども課の担当者や患者さんの通う園の園長先生が当院を訪れて下さいました。エピペンを預かる手順などが書かれた資料を持参され、市として全面的に取り組んで下さるそうです。その資料を見ただけで、一生懸命体制作りに努力して下さったことが手に取るように分かります。

その市では、エピペンを預かっているのは、当院で診ている患者さん一人だけだそうです。子どものために一生懸命やる大人が好きだと言いましたが、一人のために、市が動いて下さったことに感激してしまいました。とても有り難いことです。

一人と言っても、既に園でアナフィラキシーを起こしたことのあるお子さんです。体制作りは、早くしておくに越したことはありません。他にもアナフィラキシーを起こしたことがあるのに、まだエピペンが処方されていないだけだったり、アレルギー検査が高く、完全除去の指示を守り通しているため、誤食を起こした時にどうなるか分からないお子さんもまだいると思います。潜在的にいるであろう、他の患者さんのためにもなると思っています。

この前も書きましたが、厚生労働省が推進し、行政もその方針に従うということになるのですが、しかしいざと言う時にエピペンを使うのは、園という“現場”になります。よく分かっていなければならないのは、園の先生ということになります。

先日の話し合いでも出たのですが、エピペンを処方されている子どもの通う園が当事者な訳ですから、園に出向いてできるだけ多くの職員にエピペンの使い方、打つタイミングを知って頂く必要があります。大勢が当院に来られる訳もありませんから、私が出向いて話をさせて頂くことになります。もちろん、それは私の望むところでもあります。

私も地域の専門医として、また園や市側も好きで病気になった訳ではない重症な食物アレルギーの患者さんのために、皆が協力して体制作りを進めています。私も望んでいたことがひとつ実現しようとしており、とても嬉しく思っています。

ひとつの目標に辿り着こうとしていると言えるのでしょうが、近隣の市町村だけ対応してもらえばそれでいいとは考えておらず、北は村上市から南は糸魚川市、島の佐渡市まで、そういった体制を実現することが私の目標です。そうできるよう、関係各所に働きかけていきたいと思っています。