小児科 すこやかアレルギークリニック

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オボムコイド クラス6
2012年04月03日 更新

例年、3月から4月にかけて「食物負荷試験」のニーズが高まります。

新年度で、アレルギー診断書の記載を求められるからなのですが、いつも言っているように「アレルギー検査の数字が高いから食べられない」というのは正しいとは言えない判断です。

確かに高ければ、食べると症状が出る可能性があります。ただ、それは可能性であって、検査のみで食べられる・食べられないの判断ができれば誰も苦労しないのです。多くの非専門医が「検査が陽性」=「食べられない」という説明をしているがために、数で劣る一部の専門医が「そんなことはない。負荷試験で確かめるしかない。」と言い続けても、“真実”は伝わらない状況が続いているのだと思います。

週末にお会いした患者会のお父さんも「専門医に出会えるかどうかで、だいぶ違ってくる」とおっしゃっていました。日本人のマメさ、きめ細やかさをもってしても、“真実”が広まらない現実は嘆かわしい限りです。

先日、ある学会の抄録を見ていたら、アレルギーの専門医であってもアレルギー検査の値がクラス4以上だと負荷試験はほとんどやっていないというようなことが書かれていました。これはあるアレルギー専門病院とそこで学び、そこから開業された専門医との共同研究によるものです。

確かにクラス4だと、負荷試験をやる側からしても怖いというイメージがあるのかもしれません。ただ、アレルギー検査をやっているとクラス1とか2などは頻度が高く、クラス4以上は少ない印象です。

当院で負荷試験をやっている患者さんのデータで見てみると、中には以前クラス2以上だったものがクラス0や1に下がっていて、その状態で負荷しているケースもありますが、多くは検査が2以上で、それでも食べさせてあげたいと考え、負荷試験を実施しています。クラス4以上は14%でした。

当院は加工品を使って負荷試験をやっていますから、クラス4以上だから食べられないとは考えていません。実際、卵や牛乳に限らず、様々なアレルゲンでクラス4以上の患者さんに負荷試験をやった結果、4人のうち3人が食べられることを確認しています。

こういう実績があるため、勝算があれば、クラス4以上でも積極的に負荷試験を行っています。もちろん、最近アナフィラキシーを起こし、食べられないであろうと思われるケースは実施していません。

先日、卵白がクラス5の患者さんに卵製品の負荷試験を行ないました。この患者さんはオボムコイドという加熱卵白を示す値がクラス6と最高値を示していました。卵やミルクは加熱により抗原性が落ちるため、加熱したらどうかを見たい時にオボムコイドを調べたりします。

普通に考えると、加熱卵白の値がクラス6なので「食べられそうもない」となると思います。ずっと除去していたし、加工品ならいける可能性があると考え、負荷試験をやってみようと親御さんに説明していたのです。

結果は、見事に何も起きませんでした。つまり、食べてもいいのではないかという結論です。食材を卵焼きやゆで卵を用いていたら、多分、症状が誘発されたのではないかと思っています。こういう言い回しをしたのは、今回の負荷試験で逆に“限界”が見えなくなったからです。つまり、今回の食材よりももっと濃いものが食べられるであろうことが明らかになったと思います。

以前も、こんな感じでもっと卵を含む食品を負荷していたら、「これなら卵焼きも食べられるかもしれない」と考え、卵白がクラス6のお子さんに負荷試験をやってみたことがあります。この時も見事に完食しています。

これは例外的なことでしょうが、「6だから絶対に無理」と言ってはいけないことが分かります。無謀なことはしませんが、チャレンジ精神は忘れずに、患者さんが少しでも食べられるよう、努力していこうと思っています。