当院は、毎日のように“事件”が起こります。
事件と言うと物騒ですが、この場で取り上げたくなるような「出来事」と言った方がいいですね。
あまりにひどい医療を受けてきて、遠路遥々患者さんが救いを求めて受診されるなんてことが多いのですが、医師も自分の実力で治療しきれていないことを知っていて、専門医に紹介していないことが多く、それは医師のモラルの低下に基づくことを指摘しています。
医師がみな良心的なものと思うと、残念ながら裏切られる結果となります。これをご覧になっている患者さんには、そういう現実を知っておいて頂きたいと思っています。
例えば、咳が止まらないとか、湿疹が良くならないという理由で当院を受診される患者さんがいるとします。当院は、1週間後に再診して頂きますが、ほぼ全員が症状が改善します。
多くの親御さんが「今まで通っていたのは何だったのでしょう?」とおっしゃいますが、それだけ医師の間に実力の差があり、親御さんがそれを知らなかっただけなのです。敢えて言えば、患者さんのために努力をしていない医師は、それくらいおかしな医療をやっているということです。
そういう医療機関にかかっていれば、親御さんはお子さんの症状を速やかに改善できないことになります。ダメな医療をダメと誰かが言わなければ、「わたしのかかりつけ医が一番」なんて何の根拠もない“信頼”から抜け出せないことになります。当院にかかられた親御さんが「医療って怖いんですね」とおっしゃる理由はそこにあります。
医療の現実を知ってもらうことが、お子さんの症状を良くする第一歩と言わざるを得ないのが現状なのです。
こんな感じで、市内の小児科にかかって良くなっていない患者さんはもちろん、市外からもアレルギーの患者さんが当院を受診され、その数は日に日に増えています。それだけで手一杯になってきています。
専門分野に関して言えば、他院から移ってこられた患者さんの対処に困ったことはほとんどありません。話を聞いただけで、誤診されていたり、治療が適切でなかったことがすぐに分かり、どうすれば症状が改善されるかが浮かんできます。
真面目にやっていると、小児科医としてアレルギー以外の分野の相談も受けることもあります。それはそれで嬉しいことですが、私の手に負えるかどうかということもあります。
普通、慢性疾患と言うとアレルギーや神経、腎臓病などが浮かびます。神経や腎臓はやはり重ければ、その道の専門医が診るべきなので、紹介しています。意外と頻度が高く、相談を受けるのが夜尿症です。
先日、市外から夜尿症の相談に来られた患者さんがいました。なぜ市外からかと言うと、以前アレルギーで診ていたからです。小学校高学年なので、恥ずかしい話と誰にも相談できず、私に何とかならないかと打ち明けてくれたのです。私がアレルギーで診ていた頃は様子をみていたそうで、そういう話は初めて聞きました。夜尿症というと「専門外」ではありますが、頼られたからには何とかしないといけません。
ただ、専門外なので、その道の専門医よりは知識のないことは自覚しています。知識も経験も少ないのに、知ったかぶりをしては、日頃この場で書いているようなことが自分の身に降り掛かってきてしまいます。つまり、診断もできない、治療もできない、けれど医療費だけはかかってしまい、患者さんの時間とお金の無駄遣いをさせてしまいます。
私には秘策がありました。少し前にも書きましたが、夜尿症のガイドラインを参考にすればいいのです。夜尿症にはいくつかのパターンがあり、病型を判断することが大切とされます。膀胱にどれくらい尿を貯められるか、一晩の尿はどれくらい出るのか、尿の浸透圧はどれくらいかなどが決め手となります。
それで病型を決定し、それに見合った薬を使うのですが、それもこういう薬から試して下さいというパターンがあるのです。結局、この分野も診断や治療がマニュアル化されています。
ついでに言えば、ぜんそくやアトピー、食物アレルギーもガイドラインにより診断や治療がマニュアル化されているにもかかわらず、医師により診断や治療が異なるのはおかしな話で、ハッキリ言って医師の努力不足に基づくと言えます。
さて、先の患者さんにマニュアル通り、推奨の薬を処方し、先日再診して頂きました。私の経験がないくらい、著効でした。つまり、飲み始めた当日は失敗したものの、その翌日からピタリと止まり、かなりの頻度で起きていたものが、全くなくなったそうです。これには私も驚きです。本人も親御さんの長年の悩みだっただけに、いとも簡単に治まってしまい、私自身もやや半信半疑なくらいです。
アレルギーに関しては、ガイドラインを作成されるような日本の第一人者の先生方の下で勉強させて頂いたので、ガイドライン通りの診療を無意識みたいな感じで日々行なっていますが、「夜尿症のガイドラインは凄い」と肌で感じています。
みながみな、こんな著効するとは限らないでしょうが、最大公約数的な効果をもたらすのがガイドラインであり、これまで通りアレルギーのガイドラインの普及に努力していかなければならないと思っています。


