昼休みに、医院の2階の私の部屋の電話が鳴りました。
普段、電話はかかってこないので「何だろう?」と思い出てみると、当院で診ている患者さんが園で誤食があり、アレルギー症状が出てしまったため、急いで当院に向かうという電話でした。
ミルクアレルギーの患者さんに、上越市がB級グルメとして売り出し中の「ホワイト焼きそば」(焼きそばにホワイトソースを掛けたもの)を食べさせてしまったようです。これは明らかなミスで、アレルギー症状が出たため、急遽お母さんが呼び出されたそうです。
唇が相当腫れたそうですが、受診時はそれ程でもなくて、引いてきているようです。ただ、顔から足までかなり広範囲に蕁麻疹が出ており、全身を掻きむしり、呼吸困難はないものの咳も鼻も出ていました。
誤食によるアナフィラキシーと診断し、アドレナリンンの筋肉注射を行ないました。また、血圧までは測れませんでしたが、やや血圧が下がることも多く、重めの症状の時は点滴が必要になることもあります。
受診前に、誤食時用に出している抗ヒスタミン薬も飲ませてありました。今回は症状が重く、それでは抑えきれていませんでした。アドレナリンを注射すると、みるみる症状が改善することもあるのですが、そこまでとは行きませんが、効果はあったようです。点滴の中にステロイド薬も入れ、様子をみさせて頂こうと思いました。
と同時に、市役所に電話しました。市内の園で誤食によりアナフィラキシーを起こしました。これは、この子の通う園だけの問題ではなく、たまたまその園で起きたのであり、上越市として再発防止にも動かなければなりません。園でなぜ誤食が起きたのかを検証し、当院でアナフィラキシーの治療をしており、それを見て頂く必要もありました。
職員の方が来られた時点で、治療はだいぶ進んでおり、蕁麻疹もかなり引き、いつも通りくらい元気になっていました。その状況だけを見たら、大して伝わるものはなかったと思います。親御さんの了解を頂き、処置が終わったところで皮膚の状態の写真を撮らせて頂いていました。その時の画像を示し、どれだけの蕁麻疹が出て、どれだけ辛い思いをさせてしまったのかを理解して頂きました。
お母さんがすぐに来られると言うことで、誤食時用の薬は飲ませることはなかったそうです。私もここまでの症状が出るとは思っていませんでしたので、エピペンを持っていた方が良いと判断しました。いまは厚生労働省が、園であってもエピペンを預かり、親御さんも救急隊も駆けつける前に重い症状を来してしまったら、エピペンを使う緊急処置を行なわなければいけないことになっています。
先日も、当院で診てる患者さんが誤食で、お住まいの近くの病院に入院するということが起きたばかりです。誤食は残念ながら、いつでも起こり得ます。上越のレベルアップを図るには、今回のことを教訓として活かして頂くしかありません。上越市は内服薬やエピペンを預かり、園が緊急時に対処することになっているはずですが、正直心許ないと思います。
他にエピペンを処方している園に、使い方に関する勉強会をやろうと働きかけても乗ってこないケースもあります。エピペンを処方されている児のいる園では、とりわけ勉強し、対処法を職員全員が理解しておかなければならないのに、理解が行き渡っているとは思えず、私は非常に案じています。
明日はエピペンの講習のため、隣の市に行くことになっていますが、当院のお膝元がこんな状況では、上越市民に申し訳なく思っています。患者さんは元気に帰っていかれましたので、起きてしまったことは仕方ありませんが、これを機に相当テコ入れをしなければならないと思います。
エピペンは勉強している医師しか処方できない決まりになっており、多くの医師がエピペンすら処方できない状況です。一昨日「世代交代」という題で書きましたが、この分野に関しては誰も手を出せないはずなので、地元の食物アレルギーの子ども達を守るために、ひと肌もふた肌も脱がなければならないと思っています。


