先週末、学会に行って勉強してきたことはお話ししました。
16日は、その疲れを取ることに時間を充てたかったのですが、そういう訳にもいきませんでした。やることがあったからです。
先週、急に18日に市内の園で食物アレルギーの講演をすることが決まりました。その3日後にはN市でアナフィラキシー時の対応について話さなければなりません。園の現場では食物アレルギーの知識を持ちたいという機運が高まっており、近隣の園からも参加があるようです。話し慣れているとは言え、気を抜けません。
私のプレッシャーがややかかっているのは、25日の方です。この日は別のN市に行きます。その市の栄養士さんの会合で食物アレルギーの話をすることになっているのです。
栄養士と言えば、もちろん栄養のプロです。過去に、地元の栄養士の皆さんの前で食物アレルギーの話をしたことはありますが、その時は話す内容については、正直さほど悩みませんでした。今回は、病院勤務の栄養士さんだそうで、市の規模も大きいので、予想するに食物アレルギーの知識のある方もいらっしゃると思うのです。
例えば、卵にはアレルギーを起こしやすいオボアルブミンやオボムコイドというタンパクが含まれますが、加熱してアレルギーを起こしにくくなるのはオボアルブミンの方で、オボムコイドは熱に耐性があるため、あまり影響を受けないとされます。こういう話もしなければならないのか、それともご存知なのか、どうなのだろうと思っています。
病院勤務の栄養士さんとなると、小児科のある病院だと「卵だけ除去」とか「卵や乳、小麦も除去」などという小児科医からの指示書があるでしょうから、それに則り、アレルゲンを除去したメニューを考えることになると思います。多分、栄養士さんも医師の指示が間違っている可能性があるなんて思ってもいないでしょうから、私はいつも話している、「アレルギー検査の結果だけでは食べられる・食べられないの判断はできない」ということを強調することになります。
かと言って、医師が自分の指示が間違っていることに気付いて初めて、誤った指示を出さないようになりますので、栄養士さんの知識が上がっても、医師の指示に基づいた除去食を出さなければいけないので、あまり変わらないのかもしれません。
しかし、子どもの食事にかかわる職種の人間が正しい知識を持てば、自ずとレベルは上がっていくことが期待されます。まずはこれを先駆けとして、各方面に働きかけることも可能となってくるでしょうから、「勉強になったな」と思って頂けるような話をしなければなりません。25日が近づくにつれて、少々プレッシャーはかかってきています。
厚生労働省が、園でもアナフィラキシー時の対応をキチンとすべきという方針を打ち出しています。上越市といい、N市といい、行政側はエピペンを預かったり、内服薬を飲ませることを可能かどうかを決定する立場で、現場はそれに従うだけです。
アナフィラキシーが起こった時に実際に対応するのは、行政ではなく、保育園や幼稚園の現場なので、本当なら行政側が積極的に講習会を開いて、誤食をなくす努力をし、アナフィラキシーが起こっても、冷静に内服やエピペンの投与ができるような体制を作り上げることです。
残念ながら、それがなおざりになっていたようで、ここにきてようやく重い腰を上げたという印象は否めません。ただし、動かないよりはよっぽど良い訳で、県内には微塵も動きのない地域もあるようで、そういったところにも働きかける必要はあります。
先程も述べた通り、場合によっては医師がネックになります。本当はエピペンを持ち歩かなければならないくらい重症でも、エピペンが処方されていないケースは結構あります。内服薬すら出されていなかったりします。明らかに、患者さんの状況に見合った説明や対処法が知らされていないのです。
そういう医師ほど「食物負荷試験」の存在すら知らせておらず、専門医に紹介しようともしていません。いつも言うように負荷試験の存在を知っていて、専門医に紹介しないのは“悪質”ですらあります。私は、地元のこの悪質な医療をなくしたいと思っています。逆の立場からすれば、「食物負荷試験」の存在が知れ渡れば、患者が流出して困ってしまうので、知らせたくないと考えるのかもしれません。
医療は、患者さんにベストもしくはベターな治療方針を示すものでなければいけないはずですが、医師の都合でねじ曲げられていることもあるように感じています。本来なら、食物アレルギーは「食物負荷試験」なしに正しい診療はできないとされていますので、県内では「食物負荷試験」がほとんど行なわれていないので、医師の都合が優先されているようです。
園の先生方は、感染症でさえ、医師の診断や登園許可の基準がマチマチなのを、「医師により、いろんな考え方がある」と受け入れるしかないのです。患者さんにベストを尽くしていなくても、許されてしまうのは甚だおかしなことです。「食物負荷試験」なくして正しい医療ができないと言うだけでは、やはり「いろいろな考え方がある」だけで終わってしまうと思っています。
こんなことが許される限り、地元の医療レベルは上がってこないでしょう。そして患者さんも正しい医療を受けられないままになってしまいます。「食物負荷試験」を推奨しない医師は“悪質”であるくらいのことを言わなければ、伝わらないのかもしれません。
折角、ここ上越市も含めて、食物アレルギーの講演の機会をたくさん頂いているので、“悪質”さも含めて理解して頂けるよう努力していこうと思っています。


