連休明けの外来は、とても混雑していました。いつまで経っても午前中の外来は終わりません。
いつも言っているように、他院で治療しても改善しない患者さんが、困り果てて当院を受診されると、大抵良くならない理由が“誤診”のせいのことが多いのです。ただし、これはアレルギーに限りません。
感染症の原因は大きく二つに分けると、「細菌」と「ウィルス」となります。細菌には抗生剤が有効で、ウィルスには抗ウィルス薬を使います。抗生剤は種類が多いのですが、抗ウィルス薬は種類が限られ、よく使うのはインフルエンザのタミフルと、水痘のゾビラックス、バルトレックスでしょう。現在、いわゆる夏風邪が流行っていますが、これらのような特効薬はないのです。
のどを見て、特徴的なら手足口病やヘルパンギーナと即座に診断できます。ただ、必ずしもそういう所見が得られず、のどが赤いだけというケースもあります。のどや扁桃腺にも細菌やウィルスが付き、病気を引き起こすことがあります。のどが赤いだけでは、原因が細菌かウィルスかさえも区別がつきません。
熱が2日以上続いていれば、採血させて頂くようにしています。血液検査で「炎症反応」を調べるためです。この値を元に、治療戦略が立てられるのです。
「炎症反応」はご存知の方も多いでしょうが、この数値が高ければ高いほど、細菌感染により病気の勢いが強いことを表し、低ければウィルス感染であると判断できます。
この数値は正常値は0.3以下なのですが、例えば10以上なら、とても高いことが分かります。「頼むから入院してくれ」くらいの悪い数値です。そこまで高くなければ、外来治療で何とかなりますが、それくらい高いと、病気の勢いが強過ぎて、入院して治療した方が望ましいと言われます。
17日の外来は、熱が続いているお子さんが多く、発熱の原因を探るために、この炎症反応を調べる必要のあるケースが多かったのです。診察して、検査の必要性を説き、結果が出たら再度診察室に入って頂き、結果を説明し、治療方針を立てます。
この日は炎症反応が10くらいの低年齢児が3人いて、3人とも入院治療をお願いしました。結果説明や紹介状を書いたりと、時間がかからないはずがありません。昼休みもなく、夕方まで働き続けました(涙)。
当院では炎症反応がそこまで高くなければ、外来治療が可能と判断しています。細菌感染なので、抗生剤が有効と判断されます。当院では、無駄な点滴はしないというポリシーがあります。1週間も点滴に通わせる医院さんもあるようですが、その「反面教師」として正しい医療をしたいと考えています。
ちなみに、熱があり、当院で抗生剤の点滴をした場合、9割以上だと思いますが、翌日までに解熱します。つまり、正しく診断し、適切に治療すれば、これくらいの確率で症状は改善させられると思います。1週間も点滴に通わせる医療が、いかに独りよがりなものかを証明できると考えています。
熱が続くと受診された患者さんのうち、検査がとても悪かったのは先の3人のみで、他の患者さんは炎症反応が低く、ウィルス感染が原因と診断しています。いわゆる風邪と判断され、これには特効薬はないので、解熱剤を出すくらいで、抗生剤は処方していません。要は“気合いと根性”で乗り切ってもらうしかないのです。
夏風邪は2日ほどで熱が下がることが多く、繰り返しになりますが、抗生剤が出されたとしても、これが効いている訳ではなく、免疫力で回復しているのです。ご存知ない方が結構多いのが気になります。
外来では、熱があるのに抗生剤を出さない理由を説明するのにエネルギーがいるというおかしな現象が起きていますが、地元の医療レベルを上げるには欠かせない作業だと思っています。
私は小児科医として当たり前というか、基本的なことをやっているだけなのですが、そうされていないケースもあるようで、その結果、患者さんに当院のやっていることが理解されないケースもあるようです。小児科医のいろはの「い」程度のことですが、こういったことも地元に広めなければならないと思っています。


