昨日、市内の園に食物アレルギーの話に行ってきました。
この勉強会が急に決まったこともあり、スクリーンの用意も時間がかかりそうだったので、マイプロジェクター、マイスクリーン持参で出掛けました。
市内のエピペンを預かる2園合同の勉強会でした。参加者は十数名という、こじんまりとしたものでた。昨日の勉強会は除くと、この2週間であと3回講演会があります。それぞれに70人、60人、200人くらい集まって下さるそうです。
それはそれで食物アレルギーの関心を表すものでしょうし、皆さんに満足してもらう話をしなければとプレッシャーを感じています。でも、人数が少ないから手を抜こうとは思わないし、逆にアットホームな感じの方が好きだったりします。
そもそも、この園に通うお子さんが誤食でアナフィラキシーを起こし、近々エピペンを買うことが決まりました。厚労省の勧める、保育所におけるアレルギー対応ガイドラインに則り、対応する必要が出てきました。既にちょっとした蕁麻疹が出た時用の薬は預かってもらっていたようですが、今回の誤食で出番はなく、誤食時に飲ませるとというシステムが有効に働いていなかったようです。
今回は、今後起こるかもしれない誤食で、しかも思いのほか強くアレルギー症状を起こし、親御さんも救急救命士も到着していない状況で、手を下せるのは園の先生方だけです。万が一に備えて、いつでもエピペンを打てる状況を作っておく必要がありますので、それを指導するのが主治医しかいないのです。
いろいろ啓発活動をしていると、ともて重症なのにエピペンすら処方されていないケースに遭遇することがあります。最近は、少しだけ機運が高まっているせいか、アレルギー専門医や専門医でない小児科医がエピペンを処方するケースが増えているようです。残念ながら、多くが“処方のしっぱなし”だと思います。
私は、主治医として自分の患者さんを守るために、園や学校に出向いて、「こんな時には躊躇なくエピペンを使って下さい」とお願いに行っています。それが最大の目的です。できれば、園や学校の職員全員が使い方を知っておく必要があると考えており、となると職員全員が当院に集合できる訳でもなく、私の方から“押し掛ける”必要があります。
今回、この園の園長先生から「まさか来てくださるなんて」という話を聞きましたが、私が特別なことをしている訳ではなく、子どもの命にかかわることですので、当たり前のことをしているという認識で行動しています。逆に、これがスタンダードになって欲しいものだと思っています。
これもよく言っていることですが、こういう勉強会の際に、食物アレルギーの最新の考え方を解説しています。具体的にはアレルギー検査の数値では食べられる・食べられないの判断はできないので、「食物負荷試験」で確認することが必要だと言うことを広く知って頂きたいのです。
いつも言うように多くの医師が「食物負荷試験」の存在すら患者さんに知らせておらず、患者さんもその医師をかかりつけとして信頼しているので、そんな検査はないものと“思わされて”います。本当にひどい話です。
となると、非専門の先生には任せておけない、という気持ちも湧いてきます。昨日も、当院がどれだけ「食物負荷試験」に力を注ぎ、食べられるようになっているかをデータを示し、披露してきました。「負荷試験なんて聞いたこともない」という声も聞かれ、行って良かったと思っています。
昨日も書きましたが、ウィルス感染なのに抗生剤の点滴をする医師がいるのも事実です。無駄に医療費を使わないためにも、おかしな医療をのさばらせないためにも、親御さんや園•学校関係者の方は“質の高い”医療をする医師と、そうでない医師がいることを理解しなければなりません。
そろそろ、地元のおかしな医療に対し「ノー」と言えるようになる必要があります。その例えとして、マイコプラズマの話も出させて頂きました。
医師によって診断が様々で、当院はマイコプラズマに点滴をしたことがありませんが、「3日点滴しないと治らない」という小児科医もいます。精度の悪い方法で診断されても、患者さんにはメリットは何もなく、何故か医師にはメリットがあります。
そもそも、今年のマイコプラズマはひねくれた菌が多く、切り札的な薬は内服薬です。百歩譲って点滴したとして、1日か2日で改善すれば“3日”も点滴する必要はないのではないでしょうか?。なぜ治療前から「3日点滴する」ことが既定路線なのでしょうか?。そろそろこういう「お医者さんが言うんだから間違いない」という考え方は捨てるべきでしょう。
昨日はアットホームな感じの勉強会でしたが、勉強会後の雑談の時に、地元の小児医療の“課題”についても話すことができました。お子さんを預かる職種の方の集まりですから、だいぶ有益な情報交換ができたのではないかと思っています。
その園の若い保育士さんから「なりたての頃は子どもに特有の感染症が分からなくて」と言われました。確かに自分が子どもが持ち、子どもが病気にかかって初めて学ぶことも沢山あるため、若い保育士さんには「手足口病って何?」、「ヘルパンギーナってどんな病気?」というようにチンプンカンプンでしょう。
ベテランの保育士さんには当たり前でも、若いと学びたくても学ぶ場がないことも理解できました。私は地元の小児医療のレベルアップのためなら、出向いて話してもいいと思っています。
これまでは小児科医が「来てくれる」ということがなかったのでしょうが、エピペンの啓発活動を通して、こういうやり方も「あり」だと思いました。いや、逆にAKBが「会いに行けるアイドル」なら、私は「来てくれる小児科医」を目指してもいいのかなと考えています。
自分の都合の悪いことは話さないなんてことはしませんから、アレルギーを中心に子どもの病気のことを知って頂く努力はしていかなければならないと思っています。


