オリンピック真っ盛りですが、前半に行なわれた柔道は、特に男子は惨敗でした。
柔道は詳しくないのでよく分からないのですが、「一本」と思っても「技あり」だったり、「有効」というジャッジに「えーっ?」と思うこともありました。
ところで、昨日はT市まで行ってきました。当院から160キロ離れており、午前中の診療が終わってから、車を北上させます。
エピペンを処方されているようなのですが、現場がどのタイミングで使ったらよいかなどの知識が不足しており、そのままでは患者さんがいざという時に適切な対応をしてもらえないため、私の患者さんではないのですが、一肌脱ぐことにしたのです。
担当の方が関係者に声をかけてくださり、市の栄養士さん、食物アレルギーの子を持つ親御さんといった方々の参加もありました。
いつも言っているように、食物アレルギーは小児科医なら誰でも診ているのは診ていると思いますが、キチンと専門的な知識を持った医師はほとんどおらず、特に年配の医師達は、大昔の知識で指導しているため、アレルギー検査が高いと食べられないとか、「インタール」という抗アレルギー薬を食前20分前に飲ませるとか、専門医のやらないような指導をしていることが多いようです。
今回は、アナフィラキシー時の対応の話だったのですが、いつも啓発のチャンスとばかりに、話の前半は食物アレルギーの基礎知識について話しています。検査が高くても、それは食べられないということを意味していないこと、多くの医師がひた隠しにしていますが「食物負荷試験」という検査がこの世に存在すること、これは当院が積極的に取り組んでいることですが、加工品を用いれば多くの患者さんがアレルゲンを口にすることができることなどを解説というか、力説しています。
後半は、アレルギー症状が出た際の対処法をお話ししています。軽ければ抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬などの内服で対処し、それでも効かなければエピペンの出番になると思います。どのタイミングで薬を飲ませればいいか、エピペンを打たなければならないかなど園や学校の現場では知っておかなければならないことがあります。
兵庫でエピペンを預かっていた学校が、ケアレスミスで乳製品を誤食させ、アナフィラキシーショックに陥ったにもかかわらず、エピペンを使わなかったという“事件”が数年前にありました。当時は、学校がエピペンを預かるようにと言われ出した頃で、研修も何もなかったでしょうから、エピペンを打てる状況ではなかったと思います。学校側には可哀想だなと思うのですが、それが新聞記事となり「打つべきなのに打たなかった」と学校側に批判的な論調で書かれました。
それから時代もやや変わったので、打つべきタイミングで使わなければ、集中砲火を浴びることになり兼ねません。子どもを守るのは当然ですが、自分の身を守るためにも、いざという時の対応は知っておく必要があると考えます。
上越や長岡の方なら、私の話は聞いたことがあるという方もいると思いますが、下越となるとまずいらしゃらないでしょう。私は話は上手ではありませんが、“真実”を知って欲しいという気持ちは人一倍強いと思っています。
最後に、質問を受けましたが、いくつも出ました。ひとつひとつお答えしましたが、会場のテンションが明らかに下がっているのを感じました。参加者の多くが「これまで私たちのやってきたことは何だったのだろう?」と感じてくださったのです。まず、そこからスタートしなければならないのです。
ただ、これでT市も前に進んでいくと思っています。実は、担当の方に近隣の市の方にも参加を呼びかけて頂いていました。S市の栄養士さんも参加してくださったようです。処方されるべき薬が出されていないようです。
これまでは、地元の医師の言うことは正しいと思っていたはずです。しかし、S市は専門医はいないため、相当遅れた対応になっているようです。相当“衝撃”を受けて帰られたそうです。
下越地方は、食物アレルギーの対応が遅れているため、今回T市まで出向きましたが、今後は市をあげて取り組んでくださるそうです。
オリンピック期間中と言うことで、ついそれに絡めてしまいますが、T市にとっては「一本」もしくは「技あり」だったのかなと思っています。人口の多いS市にも、少しは「今のままではいけない」という危機感は伝わったと思われ、「有効」くらいは勝ち取れたのかなと思っています。
8月から9月にかけては、上越地方、中越地方での講演も控えており、県内をバランスよくレベルアップを図っていきたいところです。私としては、確実に県内各地に食物アレルギーの“真実”を広めているという実感はあります。「余計なことをしやがって」と思う医師もいるでしょうが、そう感じるのなら、是非とも食物アレルギーの理解を深めて頂きたいと思っています。
食物アレルギーで困り果てて受診される患者さんが後を絶たないため、私としては下越地方であっても、どんどん正しい知識を広めていきたいと考えています。


