月曜が1週間ぶりの診療となりました。
正直、時差ボケのせいだと思いますが、朝は頭がスッキリという訳ではありませんでした(汗)。また、これも正直な話、長めに休むと患者さんから敬遠されてしまうのではないか?という不安はあります。
仮にそうだとしても、学会に出たり、親孝行の一環としての旅行にいくのも私の方針なので、診療を休むのは仕方なく、休診が終わったら、真面目に診療に取り組んでいくしかありません。
昨日も言ったように、医療機関を選択する最大の理由が「待ち時間の短さ」とおっしゃる患者さんには、当院は縁がないと思っています。ただ、往々にして待ち時間の短さは、医療レベルと比例するように感じています。“短い”には理由があると思います。
そもそも、アレルギーの本物の専門医で、待ち時間の短い医療機関はまずないと思います。結局、専門でない医院で誤った指導を受けて良くならない患者さんを相手にすることが多いので、そんな患者さんに“3分診療”なんてできるはずがありません。
当院は、毎日のように“事件”があります。ネタには事欠きません。地元の子ども達のために、医療レベルを挙げるために、これだけこの場で警鐘を鳴らしているのに、「誤診」を繰り返している医院さんもあります。地元の医療レベルの足を引っ張っているとしか言いようのない医院さんも存在しているのです。
いつもアレルギーが見逃されているとことを書いていますが、今日は別の病気が見逃されていたことを書きたいと思います。
月曜に他院で治療しても良くならないという患者さんが、当院を初めて受診されました。休み明けに合わせて来てくださったようです。
先週熱が出て、4日下がらず、ある医院さんを受診したそうです。他の症状として咳がひどい、というものもありました。
周囲では、結構マイコプラズマが流行しています。熱が4~5日続き、咳のひどい患者さんに胸のレントゲンを撮ると、かなりの確率で肺炎が見つかります。
ここで、マイコプラズマの診断について触れたいのですが、開業医で採血してその日のうちに「マイコプラズマです」と診断される、迅速キットを使って判断されているケースは、ハッキリ言ってかなりの確率で「有り得ない」と捉えてください。
マイコプラズマの診断の確定には、「マイコプラズマ用の迅速キット」が使えないことは真面目な小児科医なら知っているはずです。上越では、この検査法を誤って使用し、半年で3回もマイコプラズマにかかったと診断している小児科医もいます。これは不勉強といるよりも、作為的な印象もあり、悪質な行為と考えています。こんなに頻回にかかる病気ではなく、その都度誤った点滴治療がなされています。
昨年秋からゆっくりと流行していますが、3か月程前に大流行のピークだったようで、その後も低年齢を中心に流行っているようです。私は呼吸器疾患にも力を入れていますが、こんなにマイコプラズマが流行している年は初めての経験です。先の医院さんの情報では、毎年、いつもでマイコが流行しているように書いてあり、この場でマイコを的確に診断しようと書き続けていますが、一向に変更する気配もありません。
実は、マイコプラズマはやっかいな病気です。我々医師は、病気の経過中に確定する手段を持っていないのです。治った頃に抗体が上昇してくるので、マイコプラズマを疑った時点で、それに見合った治療を進めていくしかないのです。
先の患者さんの場合、周囲でマイコプラズマが流行しているという状況下で、熱が続き、咳もかなり出ていました。当院は休診だったので何も言えませんが、私ならマイコを疑って、レントゲンを撮っていたと思います。レントゲンで影を認めれば、その時点で原因は特定できないけれど、「肺炎」と診断できます。
健康なお子さんが、いきなり肺炎になれば、流行状況から言っても、確率的にもマイコプラズマを考えた方がいいでしょう。その上でマイコプラズマ用の治療をするのが普通です。
その患者さんは、かかりつけ医から“マイコプラズマの迅速キット”により検査を受け、「マイコプラズマではない」と診断を受けました。今日の説明を読んでくださった方には、「この診断の仕方、おかしいな」と思われると思います。
月曜の時点で、熱は下がっていました。ただ咳はひどかったのです。私は問診票をみながらマイコを疑っていましたので、聴診を入念に行ないました。そうしたら右の肺で異常な音が聴こえるのです。
肺炎を疑い、レントゲンを撮らせて頂きました。案の定、右肺に肺炎像が見つかりました。これだけではマイコプラズマを確定する根拠はないのですが、流行状況からマイコプラズマを真っ先に疑うべきでしょう。
確定診断には使えない“迅速キット”は、遅れて反応が陽性になることがあり、私は当てにならないので使っていませんが、どういう弱点があるか知っているから、診断には使用しないのです。つまり、検査のタイミングが早過ぎただけで、それをもって「マイコプラズマではない」と言い切るのはおかしいと考えます。
私も聞き漏らすこともあるでしょうが、慎重に聴診すれば治りかけの頃は典型的な音が聴こえることが結構あります。熱が続いている時は、呼吸音が弱いことで気付かれることもあり、この患者さんもそうではなかったかと予想します。
普通に考えると、マイコプラズマを疑うべき状況でした。血液検査をもって、ましてや確定診断に使えない検査を使って、「マイコプラズマではない」というのは、「木を見て森を見ず」ではないかと思うのです。もちろん、インフルエンザのキットなど、私も検査の恩恵に預かる場面はかなりありますが、今回のケースは検査結果に振り回される、現代医療の悪い面が出ているのだと思います。
当院の場合、検査結果よりも、患者さんが悩まされている症状が続いていることに重きを置いて診療しているつもりです。だから、アレルギー検査が高くても、「食物負荷試験」にも取り組めるのだと思っています。
親御さんは「マイコプラズマではない」、でも「言われた通り治療しても良くならない」ということに不満を持って、当院を受診して下さいました。
二人の小児科医が真逆のことを言うと、どっちを信じていいかの分からなくなります。医師がマイコプラズマや呼吸器感染症に一定の知識を持っていれば、同じ診断、説明になるはずです。
そうはなっていないので、やっぱり地元の医療は“宗教”の域を出ないようです。
当院はこういうケースに慣れていますので、時間を掛けて、もちろんレントゲン写真も指し示しながら、これまで述べたようなことを説明しました。仮に“宗教”だとしても、私の言うことを“信じて”、納得して頂けたようです。
古い医院さんが上越の小児医療のベンチマーク(平均的水準)になっているようですが、このベンチマークに当院が取って代われるよう日々努力していこうと思っています。


