小児科 すこやかアレルギークリニック

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2012年08月22日 更新

21日も夜な夜な食物アレルギーの講演の準備をしています。

22日に上越文化会館で話す予定になっています。上越文化会館と言えば、上越では一番メジャーなイベントホールです。「医院からのお知らせ」でも紹介していますが、第3回すこやか健康フェアを開催した場所でもあります。

ちなみに、その時はちょうど経口減感作療法が脚光を浴びている頃で、その先陣を切った神奈川県立こども医療センターから高増哲也先生にお越し頂き、もちろん経口減感作療法のお話をして頂きました。

そんなイベントホールでなぜ私が話をするのか?。それは上越市が園でもようやく食物アレルギーの誤食時の対応など対策に乗り出したからです。

物事は何かしらの事件があって、対策に乗り出すことが多いと思いますが、先月上越市内の園で、ミルクアレルギーのお子さんにホワイトソースの乗った焼きそばを食べさせてしまったという事件が起こりました。

私もそこまで強く症状が出るとは思いませんでしたが、アナフィラキシーに至り、親御さんがあわてて当院に緊急受診されました。全身に蕁麻疹が広がり、体のあちこちを痒がり、機嫌も悪い状態でした。

アドレナリンの筋肉注射や点滴治療を行ない、ゆっくり症状は改善し、元気になってくれました。それを踏まえ、エピペンを処方しました。

エピペンは多くの小児科医が処方すらしたことがないと思います。同じ患者さんをみても、必要がないと思ったりします。そもそも、エピペンは医師なら誰でも処方できる訳ではなく、処方するためには研修を受ける必要があるのですが、過半数の医師が処方の権利すら持っていません。その辺に明るくないので、処方するべき患者さんにも処方されていないと言う状況です。

多分、市内の園に通うお子さん数名にエピペンを処方していますが、すべて当院の患者さんだと思っています。そういった意味では、当院がこの地で「独占企業」と言えると思います。別の言い方をすれば、自分でも小っ恥ずかしいのですが、「パイオニア」という言葉も当てはまると思います。

ところが、当院で診るべき患者さんが他院でも診られているケースは決して少ないと思っています。敢えて言いますが、専門的知識を十分持ち合わせていないのに、自分の医院に抱え込んで、絶対に他院に紹介しない医院さんもあります。

医師は自分の得意分野を活かし、地域の小児科医と連携してその道の専門医に紹介し合うのが「地域の子どもを守る」ということにつながるのですが、そうしない医院さんもあるのです。

結局、得をするのは医院、損をするのは患者さんです。

先日、ネットニュースをみていたら、元モデルの芸能人が少し前にお子さんを出産し話題になったのですが、そのお子さんが呼吸困難を起こしたそうです。救急車を呼んだのですが、搬送先が決まらない。いわゆる「たらい回し」ってやつです。

小児科の勤務医が減少しており、マンパワーの問題もあるでしょうが、残念ながら、医療のモラルの低下も関係していると思っています。ちなみに病気はクループだったそうで、乳幼児が呼吸困難を起こし、稀に窒息死する小児科医が注意すべき救急疾患でした。危ないところでした。

いずれにしても、モラルの低いとしか言いようのない医院さんも存在するのは確かです。当院は上越市で開院して5年になりますが、その間「食物負荷試験」の存在を知ってもらおうと日々努力してきました。

しかし、いまだにそれを知らない患者さんも多いのです。これも敢えて言えば、「食物負荷試験」の存在を知られてしまうと、患者さんをよそに紹介しなくてはならなくなるからだと思っています。ただただ呆れるしかありません。

上越文化会館には、上越市の園関係者が150人集まって下さるそうです。もちろん、食物アレルギーの基礎知識やアナフィラキシー時の対応について話をしますが、そのイントロダクションとして、こういった小児医療のモラルの低下等についても話さざるを得ません。

当院は保育士のお母さんのお子さんも診ていますが、口を揃えて言われるのが、医師によって言うことがこうも違うのかということです。それはアレルギーのみならず、感染症でもそうなのだそうです。

今はよく言うようにガイドラインが存在するし、例えば感染症の登園再開の基準も決まっているにもかかわらず、医師の言うことが異なるのは、ひとえに勉強している医師とそうでない医師がいるからに他なりません。医院が損になるのを嫌い、先のクループ並みに気をつけなければならない、乳児が呼吸困難をきたすRSウィルスを疑っても調べない医師もいます。

医師を疑うことをしない人は、そういう現状を「いろんな考え方があるんだ」と医師に好意的に捉えてしまうこともあるでしょう。地元の医療を立て直すには、現状を認識することから始めなければいけません。

スライドの準備をしています。もちろん食物アレルギーのことをよく学んで欲しいのですが、現状の認識して頂く話もしなければなりません。今回の講演は、上越市にとっての“前進”にしたいと思っています。