小児科 すこやかアレルギークリニック

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「差し上げます」
2012年08月23日 更新

昨日は、上越文化会館に行ってきました。

昨日も言ったように、一度「すこやか健康フェア」で使わせて頂いた中ホールという会場でした。

4時からでしたので、医院からも近いこともあり、10分前に到着しました。会場入りし、パソコンのセッティングをしていると、空席も目立っていました。事前の情報では150人ほど集まると聞いていたので、「少ないのかな?」と思っていましたが、開始の頃には空席は見当たらなくなりました。

食物アレルギーの啓発活動は、10年前からやっており、新潟県の小児科医では間違いなく一番頻回にやっていると思っています。今年に入って、ほんの小規模のものも含めると、この講演がちょうど30回目でした。

どの地域にも小児医療上に課題などはあり、逆にない地域などないと思いますが、上越市の小児医療のレベルは決して高くないと思っています。いろいろ問題もあります。

昨日も、午前中の診療の際に、ある小児科さんにひどい咳で通っていたけれど、良くならないとおっしゃる患者さんが来られました。私に言わせれば、どう考えてもぜんそくがベースにあることは明白なのですが、前医では見逃されていました。夜の咳き込みが強く、お子さんも目覚めてしまうので、ご両親もともに寝不足の状態が続いており、藁をもつかむ思いで当院を初めて受診されたのです。

ぜんそくも、ある意味でありふれた病気であり、アレルギーが専門でない小児科でも対応しなければなりません。残念ながら、典型的な症状が出ているにもかかわらず、診断ができないのはかなり問題があると言えます。

これは上越に限らないでしょうが、咳が長引く患者さんを治療して良くならない場合、専門医に紹介されることはまずありません。多くの医師が「アレルギーくらい、誰でも診られる」と思っているようですし、今回のようにアレルギー疾患である、ぜんそくを見逃している訳ですから、アレルギーの病気であることも把握できていないのです。

結局、「どうせ感染症か何かの咳だろう」なんて考え、「様子をみましょう」と言って同じ風邪薬を出し続けています。これもよく書いていますが、治っていないのに同じ薬を出す医師は、本気で患者さんと向き合っていない医師のやることだと思っています。

先も述べたように、有名な小児科に通っているにもかかわらず、咳き込んで吐いて、その都度大泣きし、親御さんも寝不足となります。ご家族の立場からすれば、何ら改善の兆しも見られないので、今回のように前医に見切りをつけて、鞍替えされるのです。医師の「放っておけば治るだろう」という安気な気持ちと、「一日でも早く子どもの症状を取り去りたい」という親御さんの要望とは、相当に大きなギャップがあります。

親御さんの場合、「医者を代えるしかない」と思う程、追いつめられていました。何も展望が持てなければ、そうするしかないでしょう。

私は患者さんのために努力しない医者は嫌いです。軽蔑すらします。専門分野以外なら、早めに白旗を揚げ、専門医に紹介するようにしています。それが患者さんにベストな対応だと思うからです。

今回のように、診察するまでもなく問診票をみただけで、前医の見逃しに気付き、治療方針をすぐに立てられることは、実はしょっちゅうのことです。それだけ、医療レベルの格差が大きいことを表しています。

昨日は、食物アレルギーの講演に先立ち、宣言したように上越の医療の問題点をいくつか挙げさせて頂きました。マイコプラズマのこと、RSウィルスのこと、皮膚科でもとびひに使うべきでない軟膏を出す医師がいたり、アトピー性皮膚炎の際のステロイドの使い方がいい加減な医師もいます。また、確かな根拠もなく「蓄膿症」だと診断し、とにかく処置に頻回に通わせる耳鼻科医のいることなどに触れました。

昨日は、市内のすべての保育所から2~4人の参加があったようで、多分、アレルギーに限らず、園関係者の方が「どうして医師の言うことがこんなに異なるのだろう?」と多かれ少なかれ疑問を持っていると思うので、冒頭の話を聞いてみてスッキリされたのではないかと思っています。

後半は、食物アレルギーの基礎知識をお話しし、多くの小児科医が「食物負荷試験」の存在すら知らせていない現実も知って頂きました。要は“隠蔽”されているということです。市内には何でも「2歳まで除去しなさい」という小児科医もいるのですが、それが根も葉もない話であることも当院のデータを示し、根拠のないことを明らかにしてきました。

エピペンの練習用のトレーナーを使って、実際に自分の太ももにあてがい、打つ練習をすることも大事なことです。参加者全員に手に持ち、シュミレーションをして頂きました。もちろん、誤食により皆がアナフィラキシーに至る訳ではないので、多くは内服薬で軽快することもお話しし、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬も預かって頂けるよう、お願いしてきました。

これで、上越市内の食物アレルギーの対処のレベルアップが図れたと思いますし、おかしな指導を受けている場合は、専門医にかからなければならないことも多くの参加者に伝わったと思いっています。良心的でない医師は、自ら専門医に紹介しようとはまずしませんので、園の先生が専門医への受診を勧めて下さるケースも今後は増えるだろうと思っています。

近頃は、こういった講演が目白押しでしたが、本当は事前に資料を用意しておくべきでした。あとで見直すことができるからです。つい資料が用意できないこともあるので、最近は「今回の発表スライドを差し上げます」と言っています。

これが結構好評で、昨日も希望者が何人もいらっしゃったようです。またこんな機会もあるでしょうし、私としては地元の上越市には、新潟県で少なくとも食物アレルギーの分野でトップレベルになってもらわなければ困ります。

ということで、地元には今後も全力を挙げてバックアップしていきたいと考えています。