今月中旬に日本小児アレルギー学会が大阪で開催されます。
私も発表があるため、15日は休診にして大阪に向かおうと思っています。
今回は、結構“大仕事”です。例年なら、「一般演題」という部門で発表していました。平成14年から11年連続、12回目となる発表が続けてきました。最初は勤務医という立場でしたが、途中で開業医となりましたが、それでもこだわって発表を続けてきました。
そんな地道な態度が伝わったのか、今回は一般演題という形ではなく、学会側から「開業医だからできるアレルギー診療」というセッションで、当院がこだわってやっている「食物負荷試験」の話をやるように言われています。
一般的に「食物負荷試験」は専門病院が中心に行なっており、地方の病院でもやっているところもあります。一方、開業医は様々な理由から行なっていないことが多いのです。多分、開業医でしっかりとした負荷試験を、それなりの件数やっているのは、そういう統計がないから分かりませんが、全小児科医院の1%くらいでしょうか?。
多くの親御さんが誤解していると思いますが、病院がレベルの高いことをして、開業医は低いことをしていると考えてます。開業医に手に負えないと判断すると、病院に行きたがります。例えば、病院の経験年数の少ない先生に当たれば、さすがに私も20年以上小児科診療に携わっています。そうでないことが分かります。
そもそも、「医療」は患者さんの命や健康を扱います。そんな医療に、本来レベルの低い、高いがあること自体がおかしいと思っています。
ただし、現実問題として、目を覆いたくなるようなレベルの医療を行なっている医院さんも存在してしまいます。患者さんの話もまともに聞かず、すぐに点滴をやりがたったり、私のみた感じでは、研修医以下です。親御さんは、そんなことはつゆ知らず、せっせと通っており、子どもを守りたいのなら、各医師の医療を見極めるべきと言っているのは、そのためです。おかしなことをやって、儲かるなんて医療くらいとさえ思えてしまいます。
結局は、各医師の方針というか、医師が何を求めているかで医療が変わってきてしまうのだろうと思っています。
開業医である私の心掛けているのが、レベルの低い医療と思われたら心外です。市内や市外の開業医はもちろん、大きな総合病院で診てもらっていた患者さんが、より専門的な診療を求めて当院を受診されています。
食物アレルギーは、「食物負荷試験」をせずに正確な診療はできないとされます。大学病院も含めて、県内では当院が一番多くの負荷試験をこなしていると思っています。それこそ、「開業医だってやればできる」というところを見せたいという気持ちもあります。
今回の学会のセッションは、まさにおあつらえ向きと言えるのかもしれません。ただ、友人の浜松の川田先生も相当ハイレベルなことをやっており、「私が発表していいのか?」という気持ちはあります。
なぜ開業医の間で負荷試験が広まらないのか?。これは「除去しておきなさい」と言っておけば、医師は負荷試験もしなくて済むし、何も起きないから責任も取る必要がないということなのでしょう。根底には「放っておけば治る」という安易な気持ちがあるのだろうと思います。患者さんが必死に除去する姿を見れば、やたらと「除去」という言葉は発せられないはずです。
ある専門病院の負荷試験陽性率を示します。卵白44%、牛乳50%、小麦52%。これは、これらの食材を使って負荷試験をすると、半数に何らかの症状が出ることを表しています。蕁麻疹が少し出る程度のものからアナフィラキシーに至るものまであり、皆が重い症状を起こしている訳ではないでしょう。
こういう数字をみてしまうと、風邪などの診療に忙しく、「時間が取れない」、「場所がない」、「人手が足りない」、「重症時の対応ができない」といった様々な理由から「うちはやれません」と及び腰になってしまうのでしょう。
悪いことばかり考えると、もし何からのアレルギー症状が誘発されてしまえば、その対応にかかりっきりになってしまいます。診療を中断せざるを得ないのです。しかも重い症状が出てトラブルに発展し、「訴えてやる」なってなれば困るとなるのでしょう。
こう考えてくると、多くの開業医にとって負荷試験は実施困難と言えます。それはそれで、現実的だと思います。私自身も、今後も開業医が負荷試験をバンバンやる時代が来るとは思っていません。
でも、当院では多くの件数をやれている現実もあります。それは、それなりの工夫をしているし、新潟県では「私がやらなければ誰がやる」という使命感もあります。
私も、自らをトラブルに陥らせることは快しとしません。つまり、先ほど挙げた負荷試験の陽性率(症状が出る確率)をもっと下げればいいのです。その工夫を学会の会場で述べさせて頂こうと思っています。
開院してこの5年間に実施してきた当院の負荷試験のデータをいま分析しているところです。直前なのに悠長なものです(大汗)。ちなみに、卵の加工品を使った場合、陽性率は10%を切ります。卵焼きを使った場合でも20%程です。
私のやり方がベストだとは思いませんが、「これなら負荷試験をやってみようかな」と考える、真面目な小児科の先生が出てきてくれれば良いなと思っています。


