小児科 すこやかアレルギークリニック

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2012年09月26日 更新

今の保険診療の問題点として、診療の内容はともあれ、大勢を診た方が経営に有利というのがあります。

特に小児科は、熱や咳、嘔吐などの症状があれば、親御さんはかかりつけに慌てて受診します。開業医は大勢の患者さんを一人で診なければなりません。この場でよく触れているように、特にアレルギーは誤診が多く、症状が改善していないということが、自分が誤診をしている証拠なのに、医師がそれに気付かないということはよくあります。

当院は、儲けようと思って開業を思い立った訳ではないので、「量」より「質」を求めています。つまり、とにかく大勢を診て、症状が良くなっていなくても「まあ、この薬で様子をみて」なんて無責任な対応はしていないつもりです。ですから、特に150人以上の受診があると、当院の診療キャパシティを完全にオーバーしてしまいます(汗)。当然18時半には診療が終わりませんが、それでも、待ってくれている患者さんのために、最後まで気は抜こうとは思いません。

他の小児科がどうなのかは分かりませんが、開院以来5年経っていますが、当院を初めて受診される患者さんが来なかった日はまずありません。とにかく市内外から新患の患者さんが受診して下さいます。

以前からなのですが、たまたま県外の方が上越に戻ってきていて、地元の小児科を受診しても良くならないため、当院を受診して下さるケースもあります。

ひとりは、東京都内の患者さんで、咳で受診されました。以前も都内の小児科を受診していましたが、風邪と診断されていたようです。いつも言うように、咳が長引いたり、繰り返したりすれば、別のことを考えなければなりません。

話を聞くと、ぜんそくが隠れているようです。初診された日に、東京には来週には戻るということでしたので、薬を出し、「もう一回だけ受診して下さい」と言っていました。薬の効果を判定するためです。

約束通り受診して下さり、症状は改善していました。親御さんには、「この薬が効くことが分かったでしょう?。またこんな症状が出れば、これを出してもらうといいよ。」と伝えることができました。もう東京に戻られたことでしょうし、多分、またの受診はないだろうと思いますが、どうせ来ないからと手を抜く医師もいるかもしれません。子どもの健康をも守るのが小児科医の役目ですから、自分が介入することで、患者さんの今後に役に立つと思えば、こういった対応もしています。

別の患者さんはつい先日受診されたのですが、神奈川県のK市の方でした。ちょっと「え~」って感じの診療がなされていました。

まずアトピー性皮膚炎があったのですが、アトピーとは診断されておらず、乳児湿疹と診断されていました。これは偉いと思うのですが、最初にかかった小児科では「湿疹はよく分からないので、アレルギーに詳しい医療機関を受診して下さい」と紹介されたようです。この点は、近隣の小児科に見習って欲しいと思っています。

ただし、紹介先がアトピーとは診断できず、アレルギー検査の採血も行なわず、「卵を除去するように」という指導を行なったそうです。確かに卵アレルギーは頻度も高く、合併している可能性もあります。ただ、何も調べず卵の除去というのは乱暴過ぎやしないかと思うのです。

お母さん曰く、「湿疹が良くなったようだ」ということですが、本当かもしれませんが、そんな感じに見えただけかもしれません。そもそも、アトピー性皮膚炎はいろんな悪化要因が絡み合っており、食事だけ気をつけていれば良い訳ではないはずです。

もちろん、軟膏治療やスキンケアも重要になってくるのですが、あまり指導もされていませんでした。また、卵の除去で皮膚症状が改善しているのが正しいとすれば、卵アレルギーがありそうで、今後どう解除していくかも課題となります。アレルギー検査もされておらず、血液検査で何もかもが分かる訳ではないですが、参考にはなります。

幸いというか、こちらの方に2か月程いらっしゃるそうなので、私のペースでじっくり指導ができそうです。それにしても“アレルギーに詳しい医療機関”って何なのだろうと思ってしまいました。

今回は挙げませんでしたが、埼玉県や千葉県などから同様なケースで受診されることもあります。関東の病院で良くならず、たまたま実家のあるこちらに戻ってきた時に、評判か何かは分かりませんが、祖母の強力なプッシュで当院を受診されることもあり、短期間の滞在でも受診されることもあります。

関東のように医療機関の沢山あるところに住んでいると、上越のような田舎にちゃんとした医療を行なう医師は少ないと思う方も少なくないと思います。私に言わせると、確かにアレルギー専門医は多いでしょうが、非専門医もそれ以上に多く、私が診てすぐに気付くような病気が見逃されたり、おかしな指導を受けている場合も結構あります。実際、学会などで知っている先生に診てもらっている患者さんにはほとんど遭遇したことがありません。

以前、ある方から関東は専門医が多いのだけれど、でもそういう医師に巡り会えない患者さんが大勢おり、“アレルギー難民”が多いという話を聞いたことがあります。新潟県の田舎で診療していても、今回のケースのように「これがそうなんだ」と感じることはあります。

周りを見ていると「アレルギーくらい、オレにも診られる」と思っている小児科医が多いと思いますが、私は一応専門医の資格を持っていても、まだまだ勉強不足、経験不足だと感じています。学会などに参加して、日本の第一人者の話を聞くと、自分のレベルがまだまだだと感じさせられるのです。

この小児科医の間の「アレルギー学」という学問の捉え方の差が、アレルギー診療の混乱を招いているのではないかと思っています。「オレにも診られる」と思っていても、ビックリするくらいの初歩的な誤診をしていたりするのです。

今回のように、紹介先の医師は正直「どうなんだろう」と思っていますが、「詳しくないから紹介します」と言った先生は間違いなく“いい人”です。医療は、“いい人”が増えなければ、もっと良いものにはならないと思っています。