小児科 すこやかアレルギークリニック

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目が肥える
2012年09月28日 更新

「目が肥える」ということわざがあります。

ネットで意味を調べてみると、良い物を見慣れてしまい、良い悪いを見分けることとあります。

先日、ある小児科に通院しても咳が良くならないという患者さんが、当院を初めて受診されました。

「咳」で受診される場合、心掛けていることは繰り返しているかどうかです。「繰り返す」と言うことは、咳の出やすいたちであることを表す可能性があります。この患者さんの場合、そういう傾向はないようです。

少し前に熱が4日続きました。かかりつけのこどもの医院で“風邪”と言われたそうです。その後、ひどい痰絡みの咳が続いているのだそうです。

おかしいと思って欲しいのは、風邪で熱が4日も続くでしょうか?。また、そんなに痰絡みの咳がひどくなるでしょうか?。

こういう時は肺炎を疑い、聴診を入念にします。ちょっと深呼吸が上手くできず、聞きづらい状況でした。バリバリ聴こえれば、肺炎が見つかる可能性が高いのですが、明らかな音がしないこともありますし、片側だけ音が弱くなっていることもあります。それも気付きにくいこともあります。

申し訳ないですが、いつも言っているように結構と誤診が多いので、私にはどう考えても“風邪”には思えませんでした。肺炎を疑っていました。レントゲンを撮る必要性を感じました。

胸のレントゲンを撮ってみると、右肺に明らかな影があり、「無気肺」といって痰が詰まっている所見も得られました。現在の流行状況を考えると、マイコプラズマの可能性が極めて高いのです。

なぜ肺炎を強く疑わなければならない状況で、レントゲンも撮らないのかちょっと不思議です。お母さんは「来て良かった」と言って下さいました。話を聞くと、学校の担任の先生が、某医院さんから当院へ鞍替えすることを薦めて下さったそうです。

アレルギーや呼吸器疾患を得意としない小児科医は結構多く、先日もやはり肺炎を強く疑う状況にもかかわらず、採血でマイコプラズマの反応が陰性ということで「マイコではない」と診断されたお子さんが、当院に移ってきました。聴診で異常を認め、レントゲンで明らかな肺炎像があり、結果的にマイコプラズマでした。

私も判断ミスすることがないとは言いませんが、これらの小児科さんよりは問診や聴診に時間をかけ、肺炎が疑われればレントゲンは撮っています。肺炎を強く疑う典型例なのだから、キチンと見逃しを少なくする努力はすべきでしょう。

いずれにしても、学校の担任や親御さん自身が症状が良くならないと、納得いく説明を求め、当院に来られるケースが増えており、私もいつも言っているように、正しい診断をし、適切な治療を選ぶよう心掛けています。自分の得意分野を活かし、他院で見逃しがあれば、それを見つけフォローしています。地元の患者さん達も、目が肥えてきたのかもしれません。

先日、卵焼きを日頃から食べているお子さんが、ラーメンを少し食べて蕁麻疹が出たため、ある小児科で卵白がクラス3であることを理由に「向こう3年は卵を完全除去するように」と明らかにおかしい指導をされた患者さんが、納得いかないと当院を受診されたことを話しました。当然のことです。

昨日来られた患者さんは、鋭いのでちょっと驚きました。ベビーフードで鮭のクリームソースを食べたら、体が赤くなったそうです。そこまで聞くと、鮭や牛乳アレルギーがあるのではないかと考えます。

その後、お母さんがこう付け加えました。「日頃から鮭や乳製品は摂れているので、鮭のクリームソースを食べた時の原因はよく分かりません」とおっしゃるのです。

「向こう3年は…」と言った小児科医よりは、よほど食物アレルギーの基本を分かっているように感じます。私が上越の地で5年地道に頑張ってきました。以前は「お医者さんが間違うはずがない」という風潮がありましたが、良くならなければ「医者を代えればいいんだ」という発想する親御さんも増えているように思います。

「私は何も分かりませんから、先生に全てお任せします」という患者さんもいるでしょうが、医師は誤診してもペナルティも何もないため、なるべく適正に医療をしなければ“患者が逃げる”という緊張感がなければ、医療の質はどんどん低下すると思います。

本当に目が肥えてきたのかは分かりませんが、私も含め、小児科医もウカウカしていられないと思っています。